ストレス

つまらない人生を変える「サードプレイス」の探し方

【現役カウンセラーが解説】「毎日がつまらない」「人生がつまらない…」そんな思いを抱えている方は、第三の居場所となる「サードプレイス」を探してみましょう。既存の場所、リアルな人間関係にこだわる必要はありません。ネット時代だからこそできる、自分を癒し、育ててくれるサードプレイス開拓のヒントをお伝えします。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

自分を支えてくれる「居場所」の種類は3つある!

コーヒーを飲む女性

自宅、学校・職場、そして第三の居場所「サードプレイス」を持っていますか?


みなさんは自分の「居場所」を持っていますか? 超プライベート空間である自宅、勉強や仕事に励む学校・職場……これらはみな大切な居場所。でも、それだけで本当に毎日の疲れが癒されていますか? 人生を楽しめていますか?

ストレスの多い現代を生きる私たちにとって、これら以外にぜひ持っておくべき大切な居場所、それが「サードプレイス」(第三の居場所)。人はサードプレイスを持つことによって、自分を癒し、見つめ、新たな自分づくりをしていくことができます。では、サードプレイスとはいったいどんな場所なのでしょう?

まず、サードプレイスを理解いただく前に、「ファーストプレイス」「セカンドプレイス」について説明しましょう。

完全なプライベート空間である自宅、それが「ファーストプレイス」。ネクタイを外し、化粧を落としてパジャマで過ごせる自宅は、自分がいちばんの素顔でいられる最も重要な居場所です。そして、社会における自分の拠点となる学校や職場、それが「セカンドプレイス」。外の世界で学び、働くことによって、社会の中での自分の役割を見つける。アイデンティティを形成するためのとても大切な居場所です。
 

日本人こそサードプレイスの達人! その理由とは?

駄菓子屋の前にいる女の子

大人のも子どももも、日本人はサードプレイスを通じて支え合ってきた


しかし、このファーストプレイス、セカンドプレイスを往復しているだけでは、いつしか人生がつまらなく感じてしまう、そう感じる人が多いものです。「自宅では素の自分でいられるし、学校・職場では社会とかかわって生きている自分の意義を実感できる。でも、そのままでは何か物足りないような……」、そんな気持ちを覚えていくのかもしれません。

そこで重要になるのが、第3の居場所、「サードプレイス」。これは1990年前後に米国の社会学者 オルデンバーグが提唱した概念で、家庭や職場以外の第3の場所で人と色々なことを語り合い、情報を交換し合う場です。

たとえば、パブやカフェ、サロン、公民館のように、誰でも気軽に立ち寄ることができて、無料もしくは安い価格で飲食を楽しみながら、人と人とが交流できる居心地の良い場所。それがサードプレイスなのです。

実はこのサードプレイス、私たち日本人にとって古くからなじみのあるものです。たとえば、銭湯は最も日本らしいサードプレイスの一つ。風呂なし部屋が当たり前だった時代には、夕暮れ時のほんのひととき、銭湯で一風呂浴びながら他人と語り合い、日頃の憂さを晴らしていたのです。

また子どもにとっては、駄菓子屋もとても大切なサードプレイスでした。子どもは愚痴を駄菓子屋のおばちゃんに聞いてもらい、そこに集まった子と遊んでいるうちに、元気を取り戻していくことができました。今でも細々とこうした場所は残っていますが、昔に比べるとずいぶん減りつつあります。
 

最近毎日がつまらない……そう感じたら、サードプレイスを見つけてみよう!

パブの前にたたずむ人々

こんな立派なパブでなくても、身近なところにサードプレイスはたくさんある


「そういえば、家と学校・職場の往復だけ……。だから最近、毎日がつまらないのかな?」、そんな感じを覚えるようになったら、「サードプレイスを作る」ことから生活に小さな変化を起こしてみるとよいかもしれません。

もちろん、仕事帰りに1人でお酒やお茶や飲んで帰るのもよいリフレッシュになります。しかし、せっかくならサードプレイス本来の楽しみ方を体験してみてはいかがでしょう。つまり、人との出会いや交流によって、頑張っている自分が癒され、元気づけられ、生活へのちょっとしたアイデアを得られること。サードプレイスは本来、こうした人と人との交流の場所なのです。

では、現代のサードプレイスにはどのようなものがあるでしょう。たとえば、街角にある屋台のコーヒーショップや立ち飲みのバー。こうした場所は、パリのカフェやロンドンのパブのように、さくっと立ち寄れてその場に集まったもの同士で気軽な会話が楽しめる、誰もが楽しめるサードプレイスです。

また、習い事教室や専門ショップもサードプレイスの定番。学校や仕事の帰りに教室やショップへの立ち寄りを通じて、先生や店主と交流し、そこに集まる人との会話を通じて生きがいを見つけている人は多いものです。たとえば、楽器店ならそこに集まる仲間とバンドを組んだり、絵画や手芸ならグループ展を開いたり。このようにして、文化や芸術は花開いてきたのです。
 

リアルとオンラインのサードプレイスを有機的につなげる方法も

カフェでパソコンを使う男性

リアルにこだわる必要なし。とはいえ、オンラインにこだわる必要もなし。サードプレイスは有機的につなげるべし


では、身近に立ち寄れる場所がない、そもそも知らない人とのリアルなかかわりは苦手……そういう人はどのようにサードプレイスを見つけたらよいのでしょう? 心配はまったく無用。なぜなら、誰でも思い立ったらすぐに利用できるサードプレイスがあります。もう既に夢中になっている人も多いはず! それこそ、インターネット上のサードプレイス。つまり、ネットの掲示板やSNSです。

ネットの掲示板やSNSは、場所や属性、見た目や社交性を問わずに、誰もが気軽に意見を交換できる巨大なサードプレイス。匿名であるがゆえに、心ない言葉に傷つけられるリスクもあります。しかし、検索さえすれば、同じ趣味を持つ人、同じ悩みを持つ人が見つかり、すぐに情報交換ができたり、気持ちを共有することができる。匿名同士だからこそ、本音を打ち明け、勇気づけ合える。このメリットを実感している人の方が断然多いはずです。

これからのサードプレイスは、飲食店やショップのようなリアルな場を開拓しつつ、インターネット上でもたくさんの領域で人とのつながりを見つけ、さらに、そこで出会った人たちとリアルな場でもサードプレイスを形成する。このようなサードプレイス同士のつながり、サードプレイスを育てる楽しみ方が増えていくものと思います。

個人を活性化させ、発展させてくれる情報は、いつの時代も人づてにやってくるもの。だからこそ、リアルでもオンライン上でも、自分に合ったサードプレイスを積極的に開拓していきませんか?
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