食事ダイエット

炭水化物ダイエットの是非とプチ糖質制限のススメ

【管理栄養士が執筆】ダイエットを考えるとき、炭水化物は本当に不要なのでしょうか? 糖質オフダイエットの流行で、炭水化物を糖質と呼んで、食べ控える自己流のダイエットをしている人も少なくありません。炭水化物の役割や、炭水化物ダイエットの有効性について解説します。

片村 優美

執筆者:片村 優美

食事ダイエットガイド

炭水化物は要か、不要か?

炭水化物ダイエットの是非とプチ糖質制限のススメ

炭水化物ダイエットの是非とプチ糖質制限のススメ

炭水化物は要か不要か。炭水化物を巡るダイエット論争は未だに落ち着きを見せません。炭水化物のことを糖質と呼ぶこともあり、そもそも炭水化物の正体がよくわからないまま、自己流のダイエットをしている人も多いのではないでしょうか。炭水化物の役割や炭水化物抜きダイエットの有効性について管理栄養士の視点から解説していきます。
 
<目次>
 

そもそも炭水化物ってどんなもの?

炭水化物を多く含む食品

ご飯、パン、麺、芋など

 炭水化物が多く含まれている食品といえば、ごはん、パン、麺といった主食と呼ばれるものが該当します。その他の食品では、芋類やコーン、砂糖にも多く含まれていますが、実際は野菜や豆などほとんどの食品に含まれています。

意外と知られていないのが、炭水化物は糖質と食物繊維をあわせたものということ。食物繊維が含まれていれば、その食品は炭水化物を含んでいるということになります。
 

炭水化物の働きは?

糖質と食物繊維をあわせて炭水化物と呼びますが、この2つは同じ働きをしているわけではありません。糖質は体を動かしたり、脳の機能を正常に保つためのエネルギーとなります。一方、食物繊維は腸の働きに関わり、便通を整えたり糖質や脂質の吸収を抑制する働きがあります。
 
炭水化物は悪者との見方がされることもありますが、糖質と食物繊維はどちらも体にとって大切な栄養素であることは事実です。
 

炭水化物ダイエットが流行った理由

エネルギー源となる炭水化物、脂質、たんぱく質の三大栄養素は、炭水化物→脂質→たんぱく質の順で使われていきます。体の中の炭水化物がなくなればエネルギー源として直接脂肪が使われ、効率よくダイエットができるというわけです。
 
ここは推測ですが、炭水化物の「摂りすぎ」は太るという説が、いつの間にか炭水化物を摂ると太るに変換され、さらに炭水化物は食べたらいけないという極端な考えにまで発展した部分もあるかもしれません。
 

炭水化物を抜くデメリットはある?

 炭水化物を減らすと早い段階で体重が落ちていくという体験談をよく見かけますし、主食を減らすだけの簡単な方法なので実践しやすいというのも魅力的ですよね。

しかしその一方で、体臭がきつくなる、リバウンドしやすいという人も多くいます。さらに、炭水化物を減らしすぎると頭がボーっとしたり疲れやすくなったりするという脳への影響も懸念されています。
 

炭水化物が多くなりやすい食生活ってどんなもの?

ラーメンと餃子のセット

外食は要注意!

炭水化物は適正範囲内で摂っていれば問題はありませんが、食の簡便化が進み外食やコンビニ弁当を食べる機会が増えた現代社会では摂りすぎやすい栄養素であることは確かです。適量を守るということは簡単なようでそううまくはいきません。

炭水化物を多く摂ってしまいやすい食生活には次のようなものがあります。
 
・単品料理が多い
食事を簡単に済まそうとすると丼物や菓子パン、ラーメン、パスタといった単品料理に頼りがちです。このような料理はたんぱく質、ビタミン、ミネラルが不足してしまいます。ビタミンやミネラルは炭水化物の代謝に関わる栄養素なので、不足すると炭水化物が代謝されずに体に残り、中性脂肪として蓄えられてしまいます。
 
・間食の食べ過ぎ
主食を減らしているからといって甘いお菓子を減らさなければ意味がありません。砂糖は糖質の主たるものなので、余分な糖質をカットするためにはまずは甘いものを制限することが基本です。お菓子だけではなくジュースにも気を付けましょう。
 
・果物の食べ過ぎ
果物はビタミンやミネラル、食物繊維など不足しがちな栄養素を摂取できる優れた食品ではありますが、果糖が含まれていますので摂りすぎは禁物です。特にバナナや栗には炭水化物が多く含まれています。

・芋類、コーンなど糖質の多い野菜
糖質というと主食を意識してしまいがちですが、一般的に野菜と呼ばれる食品でも糖質を多く含んでいるものがあります。特に気を付けたいのが芋類です。フライドポテトやポテトサラダはカロリーも高く、同時に多くの脂質を摂取することになります。また、ヘルシーなイメージのある煮物にもよく使われているので気を付けましょう。
 
・餃子の皮、春巻きの皮、揚げ物の衣、練り物
餃子や春巻きはおかずとして食べることが多いかもしれませんが、皮の部分は小麦粉が使われています。揚げ物の衣や小麦粉をつなぎとして使っている練り物は、量が多くなければ問題はありませんが、炭水化物が含まれている食品として知っておくに越したことはありません。
 

摂取量の目安は? どのくらいの炭水化物をとればいい?

厚生労働省の日本人の食事摂取基準では、1日の炭水化物の摂取量を1日の摂取エネルギーの50~65%として設定しています。
 
それでは成人女性を例として、実際の炭水化物量を計算していきましょう。
1. 成人女性の1日あたりの推定エネルギー必要量 約2000kcal
2. 2000kcalの50~65%は1000~1300kcal
3. 炭水化物は1gあたり4kcalなので1000~1300kcalは250~325gに値する。
4. 250~325gから1/3量を減らすと167~217g
 
成人女性の場合、この167~217gという範囲がプチ糖質制限の目標値となります。
 

主な食品に含まれる炭水化物の量(1食あたり)

食品名 1食あたりの量(g) 炭水化物の含有量(g)
ごはん1杯 130 48.3
食パン6枚切1枚 60 28
うどん1玉 140 79.5
そば1玉 130 70.9
パスタ(乾) 80 59.1
中華麺1玉 120 66.8
餃子の皮10枚分 60 34.2
とうもろこし 50 35.3
じゃがいも 中1/2個 75 13.2
焼きちくわ1本 100 13.5
バナナ1本 150 33.8
ショートケーキ1個 100 43.6
りんごジュース 150 17.7
炭水化物はいろいろな食品に少しずつ含まれていますので、1日のトータルで目標の範囲内に収まるようにできるのが理想です。
 

プチ糖質制限の工夫の仕方

炭水化物の適量

適量であれば大きな問題はなし

・主食の量は適正を守る
活動量にもよりますが、女性ならごはんは1食130g、男性なら180g程度までを目安としましょう。もちろんダイエット中なので、大盛りやおかわりはNGです。
 
・おかずに合わせて主食の量を調整する
ぎょうざや芋を使ったおかずを食べるときはその分主食の量を調整する必要があります。例えばぎょうざの皮5枚の炭水化物量はごはん約45g、じゃがいも1/2個はごはん約35g分に値します。食べる量に合わせて主食の量を調整しましょう。
 
・果物や間食の摂り方に気を付ける
基本的には適正といわれている量を守りバランスよく食べていれば問題はありません。果物の推奨量は1日200g、間食はダイエット中であれば100kcalが理想です。炭水化物の量を意識するよりも、量とカロリーを意識することで自然と良い食べ方ができるでしょう。

・遅くなった日の夜は主食を抜いてもいいかも……?
炭水化物は体を動かすエネルギー源となる栄養素なので、活動量の減る夜にはそこまで多くの量を必要としません。寝る2~3時間前に食事を終えられる場合は通常の量でも構いませんが、遅い時間に夕食をとる場合は「主食なし」でも良いでしょう。その場合は夕方におにぎりやサンドイッチのような軽食を摂っておくのが理想です。
 
炭水化物は太りやすいというイメージがありますが、それは摂りすぎた場合の話であり、脂質やたんぱく質など他の栄養素にも同じことがいえます。炭水化物だけにとらわれず、食事の全体的なバランスを整えることとカロリーを適切に保つことが大切です。
 
また、炭水化物というとごはん、パン、麺類を抜いたり減らしたりする方法が一般的ですが、基本的には主食は適量の範囲内に抑えていれば問題はありません。糖質を多く含むおかずや野菜、間食、果物の摂り方を見直して、炭水化物をちょこっと控える「プチ糖質制限」を意識していきましょう。


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※ダイエットは個人の体質、また、誤った方法による実践に起因して体調不良を引き起こす場合があります。実践の際には、必ず自身の体質及び健康状態を十分に考慮したうえで、正しい方法でおこなってください。また、全ての方への有効性を保証するものではありません。

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