もらったポイントの税金は?所得として確定申告するべき?
キャッシュレスや仮想通貨での決済というものが進展すると、様々なサービスがでてきます。その一つに「ポイント」というものがあり、量販店やコンビニ、あるいはガソリンスタンドなどに行くと、必ずといっていいほど「○○カードはありませんか」と聞かれるようになってきました。ポイントサイトというものがあり、そのサイトに登録し、簡単なゲームやアンケート、ショッピング、新たな登録者の紹介などで「小遣い稼ぎ」ができるサービスもあります。
相談者の中には「買い物にいった他の従業員が個人のカードにポイントを付しているのは不公平ではないかというクレームがあるのだけれど」といった質問も増えてきました。
カードでもらったポイントの税務上の処理、およびポイントサイトで儲けたポイントの税務上の処理の立ち位置について解説します。
カードでもらったポイントの税務上の処理は
「パソコン5台を従業員に買いに行かせ、会社のお金で精算したのだが、その精算時に個人のカードにポイントを付与したので他の従業員から不満がでている」「重要な会食があり、持ち合わせがなかったので、個人のカードで代金を払い、マイルポイントが個人に付されたのだけれど問題はないのか」
クレジットカードでもらったポイントが税務上、問題になるケースはこのようなことが多くなっています。税務の解釈の問題というより、どちらかといえば「公私混同」といえるので、以下のような方法をとれば問題になるケースは少なくなると考えます。
それは、会社宛ての請求書を起こしてもらう、あるいは事前に会社名義のクレジットカードを信頼できる従業員に渡し、法人のクレジットカードで精算するという方法です。特に、「法人のクレジットカードで精算する」という方法は、後日、利用明細が残りますし、それが領収証代わりにもなるので有用です。
また、仮にそれを利用することにより、ポイントやマイルなどが付加されたとしても、「将来、会社が支出する必要経費を少なくさせる」効果がありますので、税務上、問題とされることは少ないと考えます。もちろん、法人でなくても、「個人事業主がその事業のみで活用しているクレジットカード」を活用する場合も同様のことがいえます。
個人カードにポイントを付与した場合の実務的対応は
では、「パソコン5台分の代金が従業員の個人カードに付与」された場合の取扱いは、どうすればいいのでしょうか。この場合は、税務の問題というより社内のガバナンスの問題であると考えます。このケースでよく行われているのは、いくらポイントが付与されたのかわかるレシートを経理等に見せ、上長の決済を仰ぎ、付与されたポイントを差し引いた代金を精算するというものです。
この方法であれば、「ポイント付与分の利益」が一個人に付加されることもなくなりますし、結果として、「損益計算書に計上されている経費計上額」と「精算のために会社の金庫等から支出した現金」が同額であるので、税務上、問題とされることは少ないと考えます。
ただ、その場合、税務調査等で「レシートの金額と出納帳の金額が違うのはなぜか」という疑念が生じるケースも考えられるので、経緯がわかるようにレシート等に記載しておくといったように、経緯の顛末がわかるようにしておくという必要があるでしょう。
ポイントサイトで儲けたポイントの税務上の処理
ポイントというと量販店などでのポイント付与の他に、ポイントサイトでポイント、つまり、銀行や電子マネー、他社が運営している各種ポイントなどと交換できるといったサービスがあります。仕組みとしては、
ポイントサイトに広告主が広告を依頼する
↓
広告主がポイントサイト運営業者に広告費を支払う
↓
アンケートに協力してくれたユーザーに広告費の一部を還元する
あるいは
新たなユーザーを紹介してくれたユーザーに広告費の一部を還元する
といったものです。
ユーザーが一個人だとすると、それは一般的にはなんらかの「経済的利益」つまり「所得」ではないかとする考え方も成りたつので、確定申告の必要性の有無も出てくるということになります。
ポイントサイトで儲けたポイントの所得の計算
ただし「ポイントサイトで儲けたポイントの税務上の処理」については、まだまだFAQも含め、個別具体的な法令整備が追い付いていないので、現状の税務上に通則からみて判断することになります。ポイントをいくつかみていきましょう。
■換算レートはどうする?
現在、ポイントサイト運営業者はいくつかあり、ポイントサイト運営業者ごとに換算レートが異なっているのが実情です。たとえば「20ポイント=1円」のところもあれば「2mile=
1円」「10ウェブポイント=1円」のところもあったりで、換算レート、呼び名もポイントサイト運営業者ごとに異なりますが、「一年間合計で円に換算するといくらになるのか」という視点からみていきましょう。というのも、所得税の基本は歴年基準といって1月1日から12月31日までをひとつの単位としてみるからです。もちろん、確定申告の必要性も年間トータルでみていきます。
■所得の計算はどうする?
税務の通則から考えると「ポイントサイトで儲けたポイントの税務上の処理」は、「小遣い稼ぎ」と捉えると、それで生計を立てている場合を除き、雑所得と考えることができます。つまり、換算レートで円単位に引き直したものが税金の対象ではなく、ある程度必要経費が認められるというものです。
このケースでは「ポイントサイトにアクセスする」ということがなければ、ポイントを得ることはないのですから、少なくとも、通信回線料金、通話代、電気代などはかかっているものと考えます。ただし、ポイントサイトでポイントを稼ぐために使用しているものと、プライベートで使用しているものとが混在しているとも考えられるため、プライベートで使用しているものは使用割合等の合理的基準により差し引く必要があるでしょう。
ポイントサイトで儲けたポイントの確定申告の必要性の有無
このようにして計算した所得で確定申告が必要になるケースと必要ではないケースがありますので整理しておきましょう。
■サラリーマンが副業等で行っている場合
上記で計算した結果、算定された所得が20万円以下なら、確定申告する必要はありません。給与所得や退職所得を得ている人で、給与所得および退職所得以外の所得が20万円以下なら、確定申告する必要はないとする規定が税務上あるためです。
しかし、「医療費控除は受けたい」あるいは「住宅ローン控除は受けたい」というように、他の何らかの事情で確定申告を提出する場合には、「ポイントサイトで儲けたポイントの所得」も含め、確定申告を行う必要があります。「都合のいいとこだけ」とはいかないと押さえておくといいでしょう。
■専業主婦が小遣い稼ぎで行っている場合
他にまったく収入を得ていない専業主婦が小遣い稼ぎで行っている場合には、「ポイントサイトで儲けたポイントの所得」が38万円以下であれば、確定申告する必要はありません。これは、所得税法上、基礎控除というものがあり、一律に無条件で差し引くことができる所得控除が38万円だからです。
つまり、「ポイントサイトで儲けたポイントの所得」が38万円ちょうどであったとしても基礎控除38万円を差し引くことにより、税率が課される所得はなくなるということです。
ただし、現状においてポイントが付与された時点で課税すべき、つまり、確定申告の記載内容に含めるべきか?ポイントが費消された時点で課税すべき、つまり、確定申告の記載内容に含めるべきか?は、ハッキリした見解が出ていませんが、おおまかな論拠は以下のとおり。
ポイント付与時に課税すべきとの論拠
所得の形態は現金の形をとった利得のみでなく、現物給付・債務免除益等の経済的利得も課税の対象となるのであるから、ポイント付与時に現金または現金等価物を付与されたのと同様であると考える。
ポイント費消時に課税すべきとの論拠
ポイントによる経済的利益は、ポイント保有者がした時に得られることから、課税されるべき所得としての認識時期はポイントの使用時であると考える。
このあたりは法令通達やタックスアンサーに明記された時点で最新の情報にアップデートしていきたいと考えていますが、ポイントサイトなるものの歴史がまだ浅いため、税法のキャッチアップが追い付いていないこともあるでしょう。
いずれにしても上記の金額超である方は「確定申告しなくてもバレないのではないか」と考えるのはおすすめできません。
ポイントの所得と税金、確定申告書に反映させるならココに書く
上記の2つの規定、つまり、サラリーマンが副業等で行っている場合で20万円を超える、あるいは他にまったく収入を得ていない専業主婦が小遣い稼ぎで行っている場合であって38万円を超えるというような場合には確定申告書に反映させる必要性がでてきます。
その場合、「仮想通貨・ビットコインの税金と確定申告の書き方」で解説したように申告書A様式の雑所得の記載欄の収入金額と所得金額に金額を記入することになるでしょう。
ポイントサイト運営会社も数社あり、それぞれ運用形態も微妙に相異しているのでここに記載してあることですべてにあてはまるわけではないでしょう。
ただし、- 1月1日から12月31日までをひとつの単位として所得を算定
- サラリーマンが副業等で行っている場合、上記所得が20万円以下なら申告不要
- 他に無収入な人で、上記所得が20万円以下なら申告不要
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