フリーランスに支払う報酬で、源泉所得税の対象になるものとは?交通費や消費税はどうなる?

給料や支払手数料、報酬等を支払う相手である、支払者には「源泉徴収対象取引」というものが存在します。「源泉徴収対象取引」があるのにうっかり取り忘れると、「源泉徴収義務違反」として本税のみならず、不納付加算税や延滞税を課される可能性があるので発注する側は注意が必要です。

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この支払者の中にはカメラマンや税理士など自営業つまりフリーランスの人たちも含まれるのですが、

報酬に交通費を上乗せして支払う

あるいは

報酬に消費税を上乗せして支払う

という場合に、「源泉所得税をいくら差し引けばいいのか?」という質問が多いのでその点について整理しておきましょう。
 

報酬に交通費を上乗せして支払うケースの問題点

たとえば「パンフレットを作成するために南の島の風景の撮影をカメラマンに依頼した」というようなケースで考えてみましょう。

カメラマンの撮影にかかる報酬は「源泉徴収対象取引」なので、原則、10.21%の源泉所得税を差し引く必要があります。ただし、撮影報酬に交通費を上乗せした場合、

「航空券代や現地のホテルの宿泊代を依頼主が準備して渡した」

のか

「撮影報酬に航空券代や現地のホテルの宿泊代を交通費分として上乗せした」

のかで、源泉所得税の対象額が違ってくるのです。

「航空券代や現地のホテルの宿泊代を依頼主が準備して渡した」ケースでは、カメラマンに渡る金銭は撮影報酬だけとなります。したがって、このケースでは撮影報酬が源泉所得税の対象になり、航空券代や現地のホテルの宿泊代は源泉所得税の対象になりません。

一方、「撮影報酬に航空券代や現地のホテルの宿泊代を交通費分として上乗せした」ケースでは、航空券代や現地のホテルの宿泊代分も含めてカメラマンに支払われることとなりますが、ポイントとなるのは「交通費分として上乗せした」ということです。

つまり、格安航空券や格安ホテルを活用するかもしれないので、これは「交通費そのものではない」と税務上は判断されることとなります。このようなケースでは「交通費相当額」と言われ、撮影報酬に航空券代や現地のホテルの宿泊代を含めた全額が源泉所得税の対象になります。

「著名な大学教授に地方での講演を依頼した」

あるいは

「ファッションモデルの撮影をヨーロッパで行った」

というような場合も同様の取扱いとなりますので、注意してください。
 

報酬に消費税を上乗せして支払うケースの問題点

「会計事務所に決算書作成報酬20万円支払った」というケースはどうでしょうか。この場合、消費税込みだと実際は21万6千円となります。この場合、20万円が源泉所得税の対象なのか?あるいは21万6千円が源泉所得税の対象なのか?という問題です。

このケースでは本体(20万円)プラス消費税(1万6千円)という形式で別書きしてあるか、総額で21万6千円という表記なのかがポイントとなります。
源泉所得税の実務は請求書を起こす側でも重要です

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本体(20万円)プラス消費税(1万6千円)という形式であれば、本体価格が源泉所得税の対象になるのに対し、総額で21万6千円という表記であれば、21万6千円が源泉所得税の対象となります。

本体価格のみが源泉所得税の対象の方が、受取側の手取りも多くなります。仕事の依頼元および依頼先がともに経験が浅いとこのような源泉所得税の税務に疎い場合も想定されます。

しかしながら、年一回行う確定申告と違い、「源泉徴収対象取引」に対する「源泉徴収義務」は取引ごとに判定しなくてはいけません。

人によっては、毎月のように同様の取引がある、という方もいるでしょう。だからこそ、注意しなくてはいけないのが、「源泉徴収対象取引」に対する「源泉徴収義務」の適否判断なのです。

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