ミニバンの走りでは物足りないユーザー、結構多かった
ここにきて3列目シートを持つSUVの人気が上昇している。なぜか? 親子3世代でのドライブを考えると3列目のシートは必要。かといって常時使うワケでもない。ミニバンだとクルマ好きとして納得できないという状況なのだろう。いや「だろう」でなく、これを書いている私自身、その通りだと思う。昨年発表されたマツダCX-8は月販目標1800台に対し、受注3ヶ月で2万台近く売れたという。ほぼ同じ時期に発表されたレクサスRX450hL(全長を伸ばして3列目シートを加えたタイプ)も好調な売れ行きらしい。SUVの3列目シート付き車は実用的なのか? CX-8にジックリ試乗してみた。
3列シートSUVは普通のSUVと「走る楽しさ」はどう違う?
まずクルマ好きにとって重要な「走る楽しさ」だけれど、普通のSUVと全く変わらない。CX-8の場合、同じマツダのSUVであるCX-5より240kgほど重くなっている。これだけ重くなると普通は走りに影響を与えるものの、低い回転域からパワーを出すディーゼルエンジンを搭載しているため、あまり気にならない。むしろ街中でも高速道路でもワインディングロードでも余裕タップリ。大人4人+幼児2人で試乗してみたが、性能にウルサイ私ですら「問題無いですね」。燃費だって上々。ロングドライブなら15km/L程度走るし、街中でもよほどの渋滞でない限り12km/Lを割ることはない。
ボディが長くなった影響はあまり感じられない
CX-5より355mmも長くなったボディによる影響やいかに? 私もジックリ試乗するまで「長さで苦労するかな?」と考えていた。例えば最小回転半径が5.5mから5.8mになっている。しかし意外にもあまり気にならず。もちろん普段ギリギリで曲がれるような道路状況なら難しい。しかし1000kmくらい乗った限り問題は無し。このあたりは現在乗っているクルマとのサイズ差からイメージして頂ければ良いと思う。いずれにしろ街中を普通に走っているクラウンと同じ長さで(4900mm)、幅が40mm広いだけ(1840mm)。通常の運転技量があれば大丈夫だと考える。
3列目シートの居住スペースも確保された作りのCX-8
肝心の3列目シートの実用性はどうだろう。アウトランダーやランクル・プラドのように2列シート車と同じ全長で3列目シートを加えたモデルについていえば「お客さんを近所の駅まで送っていく」程度の使い方しか難しい。スポーツカーのリアシートのようなものだと割り切るべきだ。全長を伸ばしているCX-8やRX450hLの3列目シートは、なかなかの居住スペースを確保出来ている。身長170cmくらいまでであれば、何のストレスもなく長時間ドライブだって可能。加えて前出の2車種ならシートの厚みや座り心地だって上等。身長170cmを超えると、少し狭さを感じるようになる。
また、CX-8についていえば、追突時の3列目シートの安全性(生存空間を確保しているという)を視野に入れており、チャイルドシートを3列目シートに付けることも可能。大半の3列目シート付きミニバンは、追突された時の安全基準を「燃料漏れしない」という点だけしかクリアしていない。
参考までに書いておくと、ボルボXC90も安全して座れる3列目シート付きのSUVとして知られている(価格帯はRX450hLとほぼ同じ)。親子3世代でドライブに行きたいという人は、御予算に合わせてこういったクルマを選ぶのも良いのじゃなかろうか。
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