メキシコで最もフォトジェニックな町、グアナファト
迷路のように入り組んだ石畳の路地と、丘陵に無数の歴史的建造物が立ち並ぶ姿が美しい、世界遺産のメキシコの中央高原部の都市、グアナファト州都グアナファト。先スペイン期より、豊かな鉱物が産出される土地として知られていました。植民地支配期の1540年以降は、ヌエバ・エスパーニャ(新スペイン)において、金や銀などの産出で、最も栄えた都市でした。その当時をしのばせる、石畳の道に瀟洒な建物や美しいバロック様式の教会が並ぶ風景は、メキシコにあるスペイン性を強く感じさせることでしょう。
グアナファトは、メキシコ誕生のきっかけとなった独立革命(1810年)ゆかりの地でもあります。そんな歴史的背景から、グアナファトの歴史地区とその銀鉱群は、1988年に世界遺産に認定されたのです。独立革命の英雄である炭鉱夫ピピラこと、フアン・ホセ・マルティネスの記念像とともに、1939年に建設された展望台のピピラ(El pipila)からは、夕暮れの町に灯りがともる頃、息をのむほど美しい風景を眺めることができます。
日本からグナファトへのアクセス
最もよく利用されるのが、日本からメキシコシティまで飛行機で行き、メキシコシティから長距離バスで、グアナファトまで移動する方法。メキシコシティからグアナファトまでは、直行バスで5時間ほど。グアナファトへの空路での行き方
10もの航空会社の飛行機が運航(C)SECTUR GUANAJUATO
空港からグアナファト中心街までは50分ほど。タクシー料金は通常より、だいぶ高いですが、500ペソを超えることは、まずありません。タクシー・メーターがないので、金額の事前交渉を忘れずに。
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■Aeropuerto Internacional de Guanajuato (グアナファト国際空港)
住所:Carr. Silao-León Km 5.5, Nuevo México, 36270 Silao, Gto.(Googleマップ)
メキシコ国内から長距離バスでの行き方
日本人から最も人気があるETNの車両(C)ETN
メキシコシティの長距離バスターミナルの情報を記載しています>>>メキシコの長距離バス
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■Central de Autobuses de Guanajuato(グアナファトのバスターミナル)
住所:Silao 450, Ejido La Yerbabuena, Burocrata, 36230 Guanajuato, Gto.(Googleマップ)
気候とベストシーズン
年間平均気温は18度で、やや乾燥気味の高原気候。最も寒い時期の12~2月の最低気温は5度(ただし、寒波が訪れると、零下まで冷え込むこともあるので注意が必要)、最も暑い時期の3月末~7月は常に23~27度の気温(最高気温は30度)を保っているため、いつ訪れても快適に過ごせます。雨が降りやすいのは、6月から9月までですが、年間降水量は650mmほど(東京1800mmほどの半分以下の降水量)と少なく、激しい雨は降りません。3月は、世界的モーター・スポーツの祭典、ワールド・ラリー・チャンピオンシップや7月のグアナファト国際映画祭、10月は、セルバンティーノ国際芸術祭など、行事が盛りだくさんで、街も賑わい、楽しみも増します。しかし、行事開催時期や、3月終わりまたは4月初旬の聖週間のバケーション、7月の夏のバケーション時期は、バスのチケットやホテルの予約が取りづらくなるので、気をつけましょう。
気になる治安は
2016年から日系企業工場が多数進出している、グアナファト州のレオン、セラヤ、イラプアト周辺では、強盗、窃盗、誘拐といった駐在員狙いの犯罪が急増しています。世界的観光地であるグアナファト市内では、比較的、犯罪被害は少ないものの、注意は必要です。観光スポットを訪れているぶんには問題ありませんが、入り組んだ路地の多いグアナファトなので、人気のない道を通るのは避けましょう。観光スポットのピピラの展望台でも、夜間の強盗が起こっているので、なるべく日暮れ前に訪れ、完全に日が暮れる前には、市内中心部へ戻るようにしましょう。スマートフォンを見ながら歩いたり、高級な持ち物を人前で見せたり、犯罪者から目をつけられそうな派手な服装をしないように。
見どころと、おすすめのアクティビティ
グアナファトの魅力のひとつが、傾斜に沿って建てられた家々と、石畳の路地が迷路のように入り組んでいる姿。家と家がくっつきそうなくらい近づいて建てられているところも多いです。かつて向かい合わせの家に住んでいた恋人どうしが、恋愛を禁じられ、密かにバルコニーを使って口づけを交わしたといわれる、カジェホン・デル・ベソ( El Callejon del Beso、口づけの小径)は、有名なスポット。美しいバロック様式の教会として名高い、バレンシアナ聖堂(Iglesia de la ValencianaまたはTemplo de San Cayetano)、ラ・コンパニア聖堂(La iglesia de la Compañía)や、独立革命の激戦舞台となった場所で、現在は郷土博物館となっている、アルオンディガ・デ・グラナディータス(Alhondiga de Granaditas、Museo Regional de Guanajuato)などの歴史的建造物を見学するのもおすすめ。
また、鉱物学博物館( Museo mineralogía)、フリーダ・カーロのパートナーとして知られる有名画家の生家を改修した、ディエゴ・リベラ博物館(Museo Casa Diego Rivera)、 ミイラ博物館(Museo de las Momias)など、個性あふれるミュージアムもあり、散策にはこと欠かしません。
エンチラーダス・ミネラス(C)SECTUR GUANAJUATO
長い階段が特徴のグアナファト大学(Universidad de Guanajuato)や、活気のあるイダルゴ市場(Mercado Hidalgo)を訪ねるのも、現地の生活を垣間見れて面白いです。
また、車に乗る機会があるのならば、車道が地下のトンネルを通るようになっている、不思議な町の造りを体感できます。
旅で絶対にはずせないのが、夕刻に、丘の上のピピラ(el Pipila)の展望台から眺める町全体の姿。 丘で夕景を満喫した後は、夜8時以降に中心街のフアレス劇場(Teatro Juárez)前の階段、ウニオン庭園( el jardín de la unión )、中央広場(la plaza central)などの屋外で演奏される、エストゥディアンティーナ(14~16世紀のスペインで発祥した、弦楽器、パーカッションによるスペイン民謡グループ。中世風の衣装を身につけた学生たちによる演奏)の音楽を楽しみましょう。
グアナファトの伝統、エストゥディアンティーナ楽団(C)SECTUR GUANAJUATO
少し足をのばして、グアナファト周辺の町をめぐるのもおすすめです。グアナファトのバスターミナルから、長距離バスを利用して、それぞれの町へ移動できます。
グアナファトから車で約1時間20分のレオン(Leon)は、革製品の町として知られ、安価でバッグや靴などが購入できます。グアナファトから車で約1時間40分のサンミゲル・デ・アジェンデ(San Miguel de Allende)は、アメリカ人が多く移住しているため、外国人経営のオシャレなレストラン、B&Bホテル、バーなどを町のあちこちで見かけます。そのせいか、ほかのメキシコの地域と趣の異なる洗練された民芸品に出会えます。ブリキ細工の星形ランプ、ハートや花、鳥を象った壁飾り、シルバーアクセサリー、革細工までバラエティ豊富です。
近年注目されるグアナファト州産のワイン(C)SECTUR GUANAJUATO
またサンミゲル・デ・アジェンデから、メキシコ独立革命の指導者、イダルゴ神父が革命を宣言した地として知られる、ドローレス・イダルゴ(Dolores Hidalgo )の間には、ワイナリーがいくつかあるので、訪れるのも良いでしょう。毎年8月の各週末には、ワインの収穫祭が行われます。
記事協力・写真提供 Secretaría de Turismo del Estado de Guanajuato(グアナファト州政府観光局)