メキシコ

葬儀にジーンズで参列、お墓の前で歌って飲んで団らん。首都在住の日本人が見た「メキシコの葬式事情」

国民の約7割以上がカトリック教徒のメキシコでは、葬式もその流れに沿って行われることがほとんど。今回は筆者が暮らす首都メキシコシティでの葬儀の作法や流れなどを説明していきます。

長屋 美保

執筆者:長屋 美保

メキシコガイド

墓地に集まる家族の姿

墓地に集まる家族の姿

メキシコでの葬儀はカトリックの教義にのっとった形式で行われることがほとんどです。通夜を自宅か斎場で行うかの違いはありますが、その内容に大きな差はありません。ただ、先住民の伝統や風習が濃く残る場所では、やり方も変わってきます。今回は、筆者が暮らす首都メキシコシティの葬儀について、その流れを説明していきましょう。
 

葬儀の流れや決まり

亡くなって9日後の棺の上には墓に設置するための十字架がある。写真提供:Karla Plascencia Valencia

棺の上には墓に設置するための十字架がある 写真提供:Karla Plascencia Valencia

通夜にあたる「ベロリオ(Velorio)」は参列者が最も多く訪れる日で、自宅、あるいは斎場を借りて行います。どちらの場合も、棺の周りには生花が飾られ、ろうそくの火が灯され続けます。カトリックの聖書の中の「ロサリオ(Rosario)」を唱えて、故人が天国で安らかに過ごせるように祈ります。

翌日、遺体は土葬か火葬され、同日の晩から自宅で「ノベナリオ(Novenario)」という儀式が始まります。夜に9日間にわたって続けられ、参列者はロサリオを唱えます。そして最終日に、故人の墓に設置される「十字架建立」の儀式が行われ、翌日に墓地(火葬の場合は遺灰を設置する場所)へ十字架を持って行き設置。再びロサリオを唱えます。

葬儀中、遺族は参列者のためにサンドイッチやクッキーなどの軽食やチョコラテ(ホットチョコレート)、コーヒーなどの飲み物を用意します。

参列者はお供えする花を持って行きます。厳格な決まりはありませんが、色は白が一般的で、品種はユリ、菊、バラが多いです。

最近では、参列者の服装もジーンズなどのカジュアルなものになりつつあって、身に着ける色も特に決まりはありませんが、中にはフォーマルを好んで黒いスーツを着用する人もいます。
 

埋葬方法

故人が土葬されたばかりの場所。この後にコンクリートやタイルで覆い、墓の形を作る

故人が土葬されたばかりの場所。この後にコンクリートやタイルで覆い、墓の形を作る

筆者が暮らすメキシコシティでは、かつては墓地での土葬が一般的だったので、日本のように家族が一緒の墓に納められることはありません。家族である場合は、同じ墓地内の別の場所に埋葬されることが多いです。

なお、現在は火葬がかなり増えているので、遺灰を墓地や霊園、または教会の地下にある壁型墓地に納めます。あるいは自宅に祭壇を作って遺灰を祀る場合もあります。
 

墓参りと日本のお盆のような、メキシコの「死者の日」

家庭の祭壇の一例

家庭の祭壇の一例

日本と同じように、メキシコの墓参りでも花をお供えしたり、墓石を掃除したりします。

ほとんどの墓地には流しの楽団がいるので、故人の好きだった曲をリクエストして演奏してもらったり、中には一緒に歌い出して、墓前で酒盛りを始める家族もいたりします。
 
毎年10月31日から11月2日まで祝われる「死者の日」には、墓や自宅の祭壇を飾り付けします。日本のお盆のように、亡くなった人たちがこの世に戻ってくる期間なのです。とはいえ、オレンジ色のマリーゴールドの花、カラフルな切り紙の旗の「パペルピカド」、愉快な表情のシュガースカルやガイコツの人形なども飾られ、祭壇には故人の好物が供えられます。墓や祭壇の周りに家族が集まり、夕食を食べたり、お酒を酌み交わして故人との団らんを楽しむ大切な行事なのです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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