「日本三大桜」と「五大桜」 どこにあるかご存じでしょうか?
北は北海道から南は九州・沖縄まで細長い日本列島の中で、春を迎えると共に、風景を美しく彩るのが桜の風景。国内にはさまざまな桜の名所があり、多くの人に親しまれていますが、その中でも「日本三大桜」と「日本五大桜」に選ばれている桜があるのをご存じでしょうか。桜の風景が好きな人なら、ぜひ一度は見ておきたい日本三大桜と五大桜、さらには三大桜の名所について、ご紹介します。
<目次>
日本三大桜・五大桜の定義とは?
数ある桜の名所の中から選ばれた日本三大桜・五大桜。どんな基準で選ばれた桜なのでしょうか。
日本三大桜・五大桜は、大正時代に制定された法律「史跡名勝天然記念物保存法」(現在の文化財保護法)に沿って選ばれた桜の名所より構成されています。当初は3つの桜の古木が日本三大桜として注目を集めましたが、最近では2つの桜の古木が加わり、日本五大桜といわれるようになったとのことです。
桜の名所を集めたものとしては「日本さくらの名所100選」もよく知られるようになりましたが、国が認めた桜の名所として百年近くが経過した日本三大桜、五大桜はやはり目の前で見ておきたいですね。
根尾の淡墨桜(岐阜):樹齢1500年を越えるヒガンザクラ/日本三大桜
日本三大桜に数えられる桜、最初にご紹介するのは「根尾の淡墨桜」です。"うすずみさくら"と読み、岐阜県の北西部、福井県との県境も近い本巣(もとす)市の山間に咲く桜です。桜の種類は長寿で知られるヒガンザクラで、10メートル以上の太い幹から東西南北に大きく枝を伸ばす姿に圧倒されます。20メートル以上伸びた枝の先に咲く花の色に特徴があって、つぼみはうす桃色ですが、満開を迎えるに連れて白い花が咲き、ピークを過ぎると「淡墨」という名前の由来でもある淡い墨色に変わっていきます。
桜の見頃は例年だと4月上旬~中旬です。淡墨桜がある淡墨公園ではソメイヨシノも咲きますので、長い歴史を見守ってきた淡墨桜の花と共にゆっくりお花見を楽しむのもよさそうですね。
■根尾の淡墨桜
地図:Googleマップ
アクセス:
<鉄道>
東海道新幹線 名古屋駅より、東海道線に乗り換えて大垣へ。
大垣から樽見鉄道に乗車し、樽見駅下車。樽見駅から淡墨桜のある淡墨公園まで徒歩約15分。
<車>
東海北陸自動車道 岐阜各務原(ぎふかがみはら)インターチェンジより、岐阜市内を経由して国道157号線に入り、根尾へ。
淡墨公園に駐車場があります。ただし淡墨桜の開花時期は駐車場から国道まで1時間以上渋滞することもありますので、時間に余裕を持って訪れましょう。
【関連記事】 【関連サイト】
- 根尾谷淡墨ザクラ(岐阜県本巣市)
山高神代桜(山梨):2000年の歴史を見守ってきた大きなエドヒガン/日本三大桜
日本三大桜に数えられる桜、2つ目にご紹介するのは「山高神代桜」です。山梨県の北西部、北杜市武川町(旧 武川村)に咲く桜の木です。樹齢2000年を越えるといわれており、日本三大桜の中でも一番の古木です。桜の種類はエドヒガンで、太い幹から周囲に大きく伸ばした枝に桜の花が咲き誇ります。一時期樹勢が弱まったこともありましたが、樹木医のケアを受けて甦り、訪れた人たちに毎年美しい花が咲く風景を届けてくれます。
桜の見頃は例年だと4月上旬。山高神代桜は実相寺の境内にあるのですが、黄色いスイセンの花やソメイヨシノ、そして日本三大桜仲間の三春桜の子孫樹なども加わって、素晴らしい風景を楽しむことができます。
お天気に恵まれたなら、南アルプスに含まれる鳳凰三山をバックに桜が咲く鮮やかな風景もぜひ見ておきたいものです。
■山高神代桜
地図:Googleマップ
アクセス:
<鉄道>
新宿駅より、中央線特急「スーパーあずさ」「あずさ」「かいじ」で甲府へ。普通電車に乗り換えて日野春駅下車。日野春駅からタクシー利用。
<車>
中央自動車道 須玉インターチェンジから、国道141号線を清里方面に進み、薬師堂橋交差点を左折して県道へ。七ヶ岩トンネルを越えて国道20号線を横断し、神代桜へ。
神代桜そばに駐車場があります。山高神代桜の開花時期は多くの車で渋滞しますので、時間に余裕を持って訪れましょう。
【関連記事】 【関連サイト】
- 山高神代桜(ほくとナビ)
三春の滝桜(福島):丘に咲く美しいしだれ桜/日本三大桜
日本三大桜に数えられる桜、3つ目にご紹介するのは「三春の滝桜」です。福島県の中央部、中通りにある三春町に咲く桜の木です。梅と桃と桜の花がほぼ同じ時期に咲き、三つの春が同時に来るという謂れから「三春」と呼ばれるようになったこの地には、たくさんの桜の木がありますが、その中でも小さな丘の途中に咲くとても大きな桜の木が選ばれました。
樹齢は1000年強といわれており、桜の種類は紅枝垂桜。流れるように下がる枝にかわいらしい花がたくさん咲きます。
桜の見頃は例年だと4月中旬~下旬で、日本三大桜の中では一番最後に満開を迎えます。花がピークの時期にあわせて行われるライトアップでは、日中の美しい姿とはまた違った妖艶な美しい姿を楽しむこともできますよ。 ■三春の滝桜
地図:Googleマップ
アクセス:
<鉄道>
東北新幹線 郡山駅より、磐越東線に乗り換えて、三春駅へ。三春駅からはタクシー利用か、観桜期のみ運行されるバス「滝桜号」で三春の滝桜へ行くことができます。
<車>
東北自動車道 郡山ジャンクションから磐越自動車道 郡山東インターチェンジへ向かい、国道288号線経由で三春の滝桜へ。
常磐自動車道 いわきジャンクションから磐越自動車道 船引三春インターチェンジより三春の滝桜へ行くこともできます。
滝桜のそばに駐車場があります。また観桜期のピークには周囲に臨時駐車場が設けられ、シャトルバスに乗って滝桜へ向かうことができます。
【関連記事】 【関連サイト】
- 三春滝桜(Find!三春)
狩宿の下馬サクラ(静岡):戦国武将ゆかりの美しい桜/日本五大桜
続いては日本五大桜から。日本三大桜の次に数えられる桜の1つは「狩宿の下馬サクラ」。静岡県の東部、富士宮市に咲く桜です。富士山周辺の有名観光地の1つ、白糸の滝の近くにあって、その昔、源頼朝が富士山麓で巻狩りをした時に近くの陣屋で馬を下りて、この桜の木に馬を繋いだという言い伝えがあります。この故事から「駒止めの桜」とも呼ばれています。
樹齢は約1000年、昔はもっと大きな木だったのですが、厳しい自然の中を生き抜いていくうちに現在の大きさに落ち着きました。桜の種類はヤマザクラ系の赤芽白花山桜紅枝垂桜です。
桜の見頃は例年だと4月中旬~下旬で、お天気に恵まれれば富士山をバックに咲く美しい姿を望むことが可能です。
■狩宿の下馬サクラ
地図:Googleマップ
アクセス:
<鉄道>
東海道新幹線 三島駅より、東海道線に乗り換えて富士駅へ。身延線に乗車し、富士宮駅下車。
富士急静岡バス 白糸の滝行きに乗車し、狩宿下馬桜入口バス停下車。バス停より徒歩約10分。
<車>
東名 富士インターチェンジ、新東名 新富士インターチェンジから国道139号線 西富士道路へ。
上井出インターチェンジから白糸の滝方面に向かい、上井出交差点を左折して県道75号線に入り、案内に従います。
【関連サイト】
- 狩宿の下馬サクラ(富士宮市観光ガイド)
石戸蒲サクラ(埼玉):小さなお寺の境内に咲く美しい桜/日本五大桜
日本五大桜に数えられる最後の桜は「石戸蒲サクラ」。埼玉県の中部、北本市に咲く桜です。東光寺という小さなお寺の境内に咲く桜で樹齢は約800年といわれています。エドヒガンとヤマザクラの自然交配によるカバザクラという品種で、世界中を探しても自生しているものはここだけという貴重な桜の木です。
名前の由来は源頼朝の弟にあたる源範頼(みなもとののりより)の別名「蒲冠者(かばのかんじゃ)」から来ており、一時期は樹勢が弱ってしまったものの、多くの方の努力によって毎年美しい桜を咲かせるまで復活することができました。
桜の見頃は例年だと4月中旬。小さいけど深い由緒を持つ桜ですね。
■石戸蒲サクラ
地図:Googleマップ
アクセス:
<鉄道>
高崎線 北本駅より、川越観光自動車バス 北里メディカルセンター・石戸蒲サクラ入口行き」に乗車し、石戸蒲サクラ入口バス停下車。バス停よりすぐの東光寺境内にあります。
<車>
圏央道 桶川北本インターチェンジより、国道17号線上尾道路を北本方面へUターン。県道57号線に入り、石戸宿一丁目交差点を左折。東光寺周辺は道が狭いので運転には注意が必要です。
臨時駐車場が設けられますが、収容台数は多くありませんので、入場待ちになることを踏まえてお出かけ下さい。
【関連サイト】
- 日本五大桜・石戸蒲サクラ(埼玉県北本市)
「日本三大桜の名所」とは?青森の弘前城址・長野の高遠城址・奈良の吉野山
ちなみに、桜の名所としては「日本三大桜の名所」も良く紹介されますが、これは日本三大桜とは異なるものです。 「日本三大桜の名所」に数えられるのは下記の3ヶ所。- 弘前城址(青森県)
- 高遠城址(長野県)
- 吉野山(奈良県)
弘前城址は江戸時代から残る天守閣との組み合わせやお堀端の桜並木が有名ですし、高遠城址は桜の木々が城跡があった山を覆いかぶさるかのように咲いていたり、吉野山は「一目千本」でも知られるように山全体で桜の花が咲く素晴らしい景色が楽しめます。
日本三大桜、五大桜に会うことができたら、次は日本三大桜の名所を訪ね歩く……というのも楽しそうです。
【関連記事】
奈良県の吉野山。画像は記事「奈良吉野山の3万本の桜」より
ただ桜の風景が好きな方でしたら、一度は見ておきたい風景だと思いますので、ゆっくり時間をかけて日本三大桜、五大桜を見て廻ってください。
◇「桜の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで桜の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。