全国屈指の桜の名所、吉野山の桜の見頃は?

奈良県中部の吉野山は、古くから修験者(山伏)の修行の場として栄えるとともに、源義経、後醍醐天皇、豊臣秀吉など、様々な人物が足跡を残し、歴史の舞台にもなってきました。
吉野の山を覆うように咲くシロヤマザクラ

吉野の山を覆うように咲くシロヤマザクラ


そして、吉野山は何よりも、全国でも屈指の桜の名所として知られます。全山でおよそ200種3万本が咲き誇りますが、その多くは、「シロヤマザクラ」という桜の原種ともいえる種類。

桜の咲く場所は、麓のほうから下千本(しもせんぼん)、中千本、上千本、奥千本と呼ばれ、例年、4月の初めから4月末にかけて、下千本から順に咲いていくので、長い間、花を楽しめます。

2017年のお花見、どこへ行こうか迷っている人には、吉野山の桜、おすすめします。

現存する日本最古のロープウェイ

吉野山へのアクセスは、電車であれば近鉄線の特急を使うと便利です。大阪阿部野橋からは吉野行きの特急が出ており、所要時間は1時間20分ほど。

また、京都からであれば、途中の橿原神宮前で乗り換えが必要ですが、2時間弱で到着します。

近鉄吉野線「吉野」駅

近鉄吉野線「吉野」駅


吉野駅から、徒歩3分の所に「吉野山ロープウェイ」の「千本口」駅がありますが、なんと、このロープウェイは、我が国に現存する中では最古のロープウェイ。開業したのは昭和4年3月12日で、80年以上の歴史があります。

ちなみに、日本初のロープウェイは、昭和2年5月29日に開業した三重県南部の尾鷲市と熊野市を結ぶ「矢ノ川(やのこ)峠旅客索道」。

現在、三重県内でロープウェイを運行する「御在所ロープウェイ」が運営する「ロープウェイ博物館」に問い合わせてみたところ、矢ノ川峠旅客索道は、昭和11年10月に営業を終了したそうです。

現存する中では最古のロープウェイ「吉野山ロープウェイ」

現存する中では最古のロープウェイ「吉野山ロープウェイ」


話を吉野山ロープウェイに戻すと、「千本口」駅から終点の「吉野山」駅までは3分ほどの短い空中旅。周囲を下千本の桜に囲まれています。

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■吉野山ロープウェイ
ホームページ → 吉野大峯ケーブル自動車株式会社

大仏建立で余った銅で造った鳥居も

ロープウェイの「吉野山」駅前からは、奥千本方面へのバスが出ており、桜のシーズンは増便されるので、最初にバスで奥千本まで行き、桜を見ながら山を下ってくるという人も多いようですが、今回は歩くことに。

駅の先にある金峯山寺(きんぷせんじ)の総門「黒門」をくぐり、道脇に土産物屋が並ぶ坂道を登って行きますが、この細い坂道が、実は県道だったりします。

この細い道が、実は奈良県道15号線

この細い道が、実は奈良県道15号線


そして、その先に見えてくるのが「銅の鳥居(かねのとりい)」。この鳥居には、奈良東大寺の大仏を建立するときに余った銅で造った、という伝承があります。

銅の鳥居をくぐると、金峯山寺の仁王門が見えてきます。金峯山寺は、奈良時代に修験道の開祖である役行者 小角(えんのぎょうじゃ おづぬ)が開いたとされる修験道の中心寺院。

金峯山寺の本堂「蔵王堂」の大きな提灯

金峯山寺の本堂「蔵王堂」の大きな提灯


寺の名前の金峯山とは、吉野山から大峯山山上ヶ岳にかけての一帯の古い名前だそうです。

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■金峯山寺
住所:奈良県吉野郡吉野町吉野山
アクセス・地図:金峯山寺ホームページ

吉水神社"一目千本"へ

観光という意味で興味深いのは、金峯山寺から300mほど南東にある吉水神社。境内がやや高台にあり、一目で桜千本を見渡せることから"一目千本"と言われる、絶景桜ビューが楽しめます。

吉水神社境内の"一目千本"。3月下旬だと、桜はまだ咲きはじめたばかり

吉水神社境内の"一目千本"。3月下旬だと、桜はまだ咲きはじめたばかり


ところで、太閤秀吉の花見といえば、秀吉晩年の慶長3(1598)年に催された「醍醐の花見」が良く知られていますが、秀吉は吉野山にも花見に訪れています。

文禄3(1594)年、天下統一を成し遂げ、絶頂期にあった秀吉が、徳川家康、前田利家、伊達政宗らの武将や茶人を引き連れて吉野を訪れ、花見の宴を催しました。その際、本陣とされたのがこの吉水神社(当時は吉水院)でした。

吉水神社

吉水神社


また、吉水神社には、鎌倉時代に兄・源頼朝に追われた義経が、静御前、弁慶らとともに吉野山に逃れ、隠れ住んだという「義経・静御前潜居の間」や、南北朝時代に後醍醐天皇が吉野に南朝を開き、皇居として使われた際の玉座なども残されています。

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■吉水神社
住所:奈良県吉野郡吉野町吉野山579
アクセス・地図:吉水神社ホームページ

吉野山の桜について

吉野が桜の名所になったのは、奈良時代に吉野山を開いた役行者が、桜の木で本尊の蔵王権現像を刻んだという伝説から、桜が神木として保護され、その後、多くの人々が桜を献木して増えてきた歴史によるものだそうです。

「花矢倉展望台」からは、遠くに、金峯山寺の蔵王堂も見える

「花矢倉展望台」からは、遠くに、金峯山寺の蔵王堂も見える


また、古くから、吉野山の桜は文人にも愛され、和歌にも詠まれてきました。中でも桜をこよなく愛し、奥吉野に3年もの間、庵を結んで暮らした西行法師は、数多くの吉野山の桜の歌を残しました。

西行の歌集『山家集』を見ると、歌の中に、"吉野山"が出てくるものだけでも、随分とたくさんありますが、

吉野山 梢の花を見し日より 心は身にも 添はずなりにき

などは、もう旅に出たくてウズウズしてる気持ちが伝わってきて、面白いですよね(笑)

吉野山で一番の桜のビューポイントといえば、上千本付近の「花矢倉展望台」。遠くに、金峯山寺の蔵王堂も見えます。
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