秀吉の"醍醐の花見"の舞台・醍醐寺の桜の見頃は?

2017年の春の花見はどこへ行くか、皆さんはもう決まっていますか。京都の桜の名所の中で、とくに人気が高い場所のひとつに醍醐寺があります。

醍醐寺の桜といえば、歴史好きの人であればすぐに、天下人・秀吉が催した豪華な「醍醐の花見」が思い浮かぶことでしょう。
花見客でにぎわう桜の時期の醍醐寺境内(2016年3月29日撮影)

花見客でにぎわう桜の時期の醍醐寺境内(2016年3月29日撮影)


醍醐寺の境内は、大きく醍醐山(標高450m)の麓に広がる下醍醐と、山上に広がる上醍醐の2つのエリアに分かれますが、秀吉は下醍醐から上醍醐に登って行く途中の「槍山(やりやま)」という場所に建てた「花見御殿」から、桜を一望したそうです。

今回は、まず下醍醐で桜を楽しんだ後、「醍醐の花見」の跡地である槍山を経由して、上醍醐まで山登りをしてみたいと思います。

なお、ウェザーマップが発表した2017年の京都の桜(ソメイヨシノ)の開花予想は、平年並みとのこと。醍醐寺境内には様々な種類の桜があるので、3月中旬~4月中旬頃まで、比較的長い期間、桜を楽しめます。

醍醐寺で必見「三宝院」の桜

京都駅から醍醐寺へのアクセス方法は、電車ならJR線で1駅の「山科(やましな)」駅に移動して、地下鉄東西線に乗り換え、4駅8分ほどの「醍醐」駅で下車します。

醍醐駅から醍醐寺までは歩くことも可能ですが、おすすめなのは「醍醐コミュニティバス(DCB)」の利用。桜の見頃の季節は、醍醐駅から醍醐寺への直通バスが10分間隔で臨時運行されます。(2017年は、3月25日~4月9日まで直通バスを運行予定。詳しくは運行を委託されているヤサカバスへお問い合わせください)

「醍醐コミュニティバス(DCB)」の一日乗車券

「醍醐コミュニティバス(DCB)」の一日乗車券


また、300円で一日乗り放題となる「一日乗車券」を購入すれば、周辺の観光もお得に楽しめます。

三宝院の「太閣しだれ桜」(2016年3月29日撮影)

三宝院の「太閣しだれ桜」(2016年3月29日撮影)


醍醐寺の広大な境内には、およそ1000本の桜が花を咲かせますが、一番の見所は醍醐寺の本坊的な存在である「三宝院」だと思います。

三宝院の大玄関前には、太閤秀吉の「醍醐の花見」で集められた桜の子孫のうちの一本とされる、樹齢160年以上の「太閣しだれ桜」が見事に花を咲かせます。このしだれ桜は、日本画家・奥村土牛(とぎゅう)の作品『醍醐』に描かれたことから、「土牛の桜」とも呼ばれます。

また、三宝院境内には、平成16(2004)年に住友林業によって世界で初めて開花に成功した、「太閣しだれ桜」のクローン桜「太閤千代しだれ」も植えられています。

京都府で最古の木造建築、醍醐寺五重塔

さて、仁王門をくぐり、境内奥へと進むと見えてくるのが、天暦5(951)年に完成した醍醐寺五重塔。

醍醐寺五重塔と桜(2016年3月29日撮影)

醍醐寺五重塔と桜(2016年3月29日撮影)


京都の古い建物は、室町時代に勃発(ぼっぱつ)した応仁の乱(1467~1477)で、ほとんどが灰燼(かいじん)に帰しましたが、この塔はその戦火を免れた貴重な建物で、京都府で最古の木造建築です。

この古建築としだれ桜のコラボは、とても美しいですね。

さらに奥へ進むと、池に囲まれた弁天堂が見えてきて、その周囲にも桜が植えられ、とても絵になります。

弁天堂と桜(2016年3月29日撮影)

弁天堂と桜(2016年3月29日撮影)


弁天堂の少し奥にある女人堂の付近にゲートがあり、ここが上醍醐への登山口。昔は上醍醐は女人禁制だったため、女性はこの女人堂で山上の諸仏を拝んだのだそうです。

上醍醐を目指して

上醍醐へは割と急な山道が続き、山頂までおよそ3.2km、1時間ちょっと。上醍醐の諸堂を巡拝して麓へ戻ってくるのに、およそ3時間は見ておいたほうがいいでしょう。

途中の槍山は、秀吉が花見御殿を建てた「醍醐の花見」跡地とされ、案内板が立っていますが、現在は周囲を木立に覆われ、眺望はほとんどありません。

槍山の「醍醐の花見」跡の立て看板

槍山の「醍醐の花見」跡の立て看板


「醍醐の花見」のときには、女人堂から槍山までの間に、趣向を凝らした茶屋8軒が設けられ、道の両側には畿内から集められた桜の木800本が植えられたそうですが、今は桜もなく、まったくその面影は残っていません。

さて、上醍醐に到着したら、何はともあれ訪れたいのは、清瀧宮の脇に湧く霊水「醍醐水」。蛇口があり、コップが置いてあるので飲むことができます。

醍醐水

醍醐水


伝説によれば、その昔、横尾明神というこの土地の神様がこの水を飲み、「醍醐味なるかな」と言ったのだとか。

その横尾明神から、聖宝(理源大師)というお坊さんがこの山を譲り受け、准胝(じゅんてい)、如意輪(にょいりん)の2体の観音像を山上にまつったのが、醍醐寺のはじまりとされます。

ちなみに、「醍醐味」とは"最上の味"を意味し、転じて現在は、物事の本質的な部分や真髄を意味する言葉として使われますが、醍醐水は一体どんな味がするのだろうと思いながら口に含んでみると、とてもまろやかな軟水でした。

醍醐山頂上付近からの宇治方面の眺望

醍醐山頂上付近からの宇治方面の眺望


西国三十三所観音霊場巡りの11番札所「准胝堂」など諸堂を巡った後、醍醐山の頂上付近に立ってみると、宇治川など宇治方面の景色が一望できました。

<DATA>
■醍醐寺
住所:京都市伏見区醍醐東大路町22
アクセス・地図:醍醐寺ホームページ

なお、醍醐寺では、4月の第2日曜日に「豊太閤花見行列(ほうたいこうはなみぎょうれつ)」が開催されます。

花のいろは……随心院

醍醐寺の桜を堪能した後、ぜひ立ち寄りたいのが、平安朝時代の歌人で絶世の美女と名高い小野小町ゆかりの随心院というお寺。

小町は平安時代初期、仁明天皇に更衣(こうい 女官の位の一つ)として仕え、30才を過ぎた頃に宮仕えを止めて、随心院のある小野の里にひきこもったと伝わります。

小野小町の歌碑

小野小町の歌碑


この地に伝わる最も有名な話が、深草少将の「百夜通(ももよがよい)」の話。

小町に熱心に求愛する深草少将に対して、彼の愛を疎んじていた小町は、あきらめてもらおうと、

「もし、百夜休まず通い続けてくれたなら、あなたの意のままになりましょう」

と無理なことを伝えます。ところが、少将は雨の日も雪の日も小野の里に通い続け、ついにあと一夜という99日目の夜に、降り続ける雪の中、発病してこの世を去るという話です。

随心院の桜

随心院の桜


ちなみに、随心院は梅の名所で、桜はそれほど知られていませんが、『小倉百人一首』に収録されている小町の有名な歌、

花のいろは うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

から、なんとなく儚(はかな)く散りゆく、桜の花が想起されます。

このほか、随心院境内には、小野小町が化粧に使う水を汲(く)んだと伝わる「小野小町化粧井戸」などがあります。

<DATA>
■随心院
住所:京都市山科区小野御霊町35
アクセス・地図:随心院ホームページ
醍醐寺から随心院方面へは、醍醐コミュニティバスが出ています

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