60代の朝食……60代のお腹ぽっこりには"腸の若返り"を
善玉菌が多い若い腸は太らない!
【INDEX】
食欲を抑える「善玉菌」は、加齢とともに減少!
食べないダイエットでは「痩せない体」から「動けない体」に
1.オメガ3たっぷり! 毎日1食は「魚」をおかずに
2.ごはんのお供には、ひとつまみの「じゃこ」
3.コンビニでもOK! 面倒な時は「玄米おにぎり」
4.「わかめやあおさの味噌汁」は、お腹ぽっこり解消スープ!
5.「ぬか漬け」のこうじ菌&乳酸菌は強力な整腸剤に
6.夜食や晩酌には、夜に働く「納豆」を
60代だけじゃない!親子3世代で摂り入れたい腸活習慣
60歳を過ぎると、今ままで痩せ型だったのに、だんだんお腹だけがぽっこり……という声をよく聞きます。基礎代謝は20代がピークで、年齢とともに徐々に落ちていきます。加えて、60歳になって急激に変化するのが腸内環境です。これが、60歳を過ぎるとお腹ぽっこり太りに陥りやすい原因のひとつです。
でも、安心してください! 腸内環境は、体質や遺伝子などの個人差もありますが、毎日の食事習慣で改善できます。腸が若ければ体も若い! 結果、太りにくくなります。
腸内環境の改善をする食事……というと難しそうに感じますが、実は特別な知識は必要ありません。シンプルでふつうの”ニッポンの朝ごはん”にヒントがあるんです。順に紹介していきましょう。
食欲を抑える「善玉菌」は、加齢とともに減少!
まず、腸内細菌には「善玉菌」と「悪玉菌」の2種類があるのはご存知でしょうか。食欲を抑えてくれるレプチンや、血管を若く保ち代謝をあげてくれるアディポネクチンに代表される「善玉菌」。体の代謝バランスを整えてくれて、極端に太ったり痩せたりしない健康な体を維持する菌です。
一方、血栓を作り代謝を妨げるPA1、糖尿病などになりやすいTNF ~αといった、「悪玉菌」と呼ばれるその名の通り、太りやすくなってしまう菌です。
この2つが共存していて、善玉菌が多いと腸内環境が良い、つまり「若く、太りにくい腸」といえます。
善玉菌は乳幼児期が最も多く、加齢とともに減っていきますが、40代ではまだ善玉菌の割合はさほど減りません。しかし、60代が近づくと、急激な変化が始まります(※出典)。これまで食欲を抑制してコントロールしたり、血管を若く保ってくれたりと、太りにくい体をコントロールしてくれていた「善玉菌」の割合が減り、悪玉菌が増えてしまいます。
この年齢になると、「以前よりもついつい食べ過ぎたり、間食をしてしまう」……というふうに食欲を抑えにくくなるのも善玉菌レプチンの減少が影響しているのです。
食べないダイエットでは「痩せない体」から「動けない体」に……
太ってきた、お腹が出てきた……と言っても、60歳からの食べないダイエットは非常に危険! 体が「省エネ」になってしまい、少ししか食べていないのに「痩せない体」に拍車をかけるだけでなく、タンパク質・カルシウム・ミネラルが不足してしまい、筋力が落ちると、ちょっとした段差で転倒しやすくなります。栄養素が足りていないと、骨がもろくなってしまい、骨折や腰痛につながり「動けない体」に……。さらに骨折は認知症のリスクを高めてしまいます。必要な栄養素をきちんと食べれば、腸の環境が良くなって、善玉菌が働いてくれ、太りにくくなり、結果的に痩せて若々しい体になれます。人生100年時代、これからの人生を楽しむために、おいしくしっかりと食べるダイエットをしましょう。
以上を踏まえて、6つの食材を紹介していきます!
1.オメガ3たっぷり! 毎日1食は「魚」をおかずに
魚脂で善玉菌をアップ!
魚の脂は不飽和脂肪酸と呼ばれ、ラードなどの脂に比べて、悪玉菌の発生を抑えて腸の環境を整えます。それに加えて、体全体の炎症を抑えて太りにくい若々しい体を作ってくれる毎日食べたい食材です。魚の種類としては、イワシ、サバ、アジ、秋刀魚などの青魚、そしてスカベンジャー食材でもある鮭には、炎症を抑える脂「オメガ3」が豊富なのでオススメです。
食べ方としては、刺身やタタキなど生食が栄養価を損ねずオススメですが、水煮缶詰もGOOD! オメガ3をそのまま1缶に閉じ込めてあり、骨まで一緒に食べることができるので、60代に必要なカルシウムも同時に摂取できる優れものです。買い置きできるのも嬉しいですね。
また、焼き魚にする場合は、レモンをぎゅっと絞りましょう。「焦げ」の老化成分AGESをケアします。
脂肪の多い肉類は消化しづらく、大量に摂取すると消化の段階で大腸を傷つけ、悪性物資である悪玉菌の温床になります。また、便秘により便が腸に長くとどまると、悪玉菌によって腐敗し毒素が発生。その毒素が腸の免疫を低下させ、悪玉菌が過ごしやすい環境をつくってしまうのです。肉類や揚げ物を食べすぎた翌朝の悪臭便は、腸が汚れている証拠。気になったらまずは、お魚をメインに切り替えてみましょう。
2.ごはんのお供には、ひとつまみの「じゃこ」
ジャコはイワシの稚魚!
じゃこはイワシの稚魚なので、立派な青魚。毎日ひとつまみ10gで、食欲抑制効果のあるレプチンのエサになります。納豆や味噌汁など大豆製品にちょい足しすると、効果がアップしますよ。頭からまるごと食べることができるので、60代に不可欠なカルシウムも摂取できます。
合わせて焼き海苔を添えるのもオススメ。なぜなら海苔は3分の1が食物繊維。1枚でも腸内環境を整えるパワフル食材なんです。
3.コンビニでもOK!面倒な時は「玄米おにぎり」
玄米おにぎりは万能!
そういう時こそ、コンビニやスーパーの玄米やもち麦のおにぎりを利用しましょう。
玄米は白米よりもどうしてもパサパサしやすいので、混ぜご飯風ものが入門編として食べやすいはず。最近はコンビニの玄米おにぎりも種類が豊富になっていて、胡麻やひじき、じゃこといった腸ケア食材が一緒に摂れる優れものもありますから一石二鳥!
これさえあれば、おかずを用意しなくてもほぼ栄養バランスが整います。忙しい朝やランチに食べれば、その日は快腸ですね!
4.「わかめやあおさの味噌汁」は、お腹ぽっこり解消スープ!
味噌汁は腸にいいスープ!
腸の粘膜を傷つける塩分を排出し、血糖値の上昇を抑制するなど、お腹ぽっこりの原因と徹底対決してくれる頼りになる食材!
味噌汁の味噌も、善玉菌の大好物である「大豆オリゴ糖」がたっぷり。あたたかい汁物で腸をリラックスさせて排便をスムーズにします。ぜひ海藻たっぷりのあたたかい味噌汁を食事に取り入れて、お腹すっきりを目指しましょう。
5.「ぬか漬け」のこうじ菌&乳酸菌は、おいしくて強力な整腸剤
乳酸菌と麹菌の強力タッグ!
それほどぬかのこうじ菌は腸を整える力を持っています。
野菜を発酵させることで、免疫を上げる野菜の栄養素がさらに凝縮。人蔘や大根などを栄養価の高い皮ごと食べることで、腸のデトックスをしてくれるフィトケミカルが摂取できます。
調味料で味付けした即席漬けではなく、生きた菌が発酵させた漬物を食べましょう。
6.夜食や晩酌には、夜に働く「納豆」を
どうしても夜にお腹が空いてしまった! そんな時には納豆をオススメします。納豆独自の菌である納豆キナーゼは、夜活発に働きます。腸を整えるとともに、血管の血栓を溶かす働きがあるので、朝多い動脈硬化の発作予防にも。また、大豆には安眠できるホルモンの分泌効果もあります。とはいえ、夜は腸も休ませる時間。少量でおさえてくださいね。60代だけじゃない!親子3世代で摂り入れたい腸活習慣!
以上、60代から摂り入れたい若い腸を保つ食材を紹介しました。どこにでもあるシンプルな「日本の朝ごはん」メニューばかり。これが日本人に合った健康的な食事です。子ども世代の40代、さらに孫世代の10~20代……3世代にわたって、今一度、食習慣を見直すべき時かもしれませんね。「腸に良い食材」はどれも腹持ちがよく、腸にも長くとどまるのが特徴。朝食べておくと、次の食事であるお昼ごはんを食べたときにもよい影響を及ぼすのでお得です。これを「セカンドミール効果」といいます。朝が忙しいなら昼ごはんでもOK。自身が無理なく取り入れやすいタイミングを見つけてみてください。腸内環境が整えば善玉菌が増え、適度に食欲抑制もできるようになる好循環が生まれます。しっかり食べても極端に太る心配がなく、自然と食欲が落ち着く……これは痩せるためのカロリー計算や、単なる食事を減らす小食とはまったく違う考え方です。
私の母(74歳)も、毎朝コーヒーにパン食でしたが、麦飯に青魚とわかめたっぷりの味噌汁を食べはじめたら下っ腹が引っ込みました。驚いたのは、歩くスピードが早くなったことです。お腹に力が入るようになったとのこと。ウォーキングシューズを新調し、ますます外出が増えました!
とはいえ、無理にすべてをやる必要はありません。できることからで構いませんから、はじめてみませんか。若い腸のために、しっかり食べて、しっかり動いてメリハリのある生活を。きっと今後の人生が充実してハッピーになるはずです。
【出典】
論文:加齢に伴う腸内細菌叢の変化 : 0歳から100歳以上まで/小田巻 俊孝氏
Age-related Change of the Gut Microbiota : People Aged 0 to over 100 Years Old (Special Issue : ILSI Japan Conference Abstracts and Slides : The 7th International Conference on "Nutrition and Aging" : To Stretch Our Healthy Life Expectancy) -- (Research Perspective of Intestinal Microorganism)
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