ブーランジェリーレカン出身、割田健一さんの新しい試み

ビーバーブレッドのショーウィンドウ

ビーバーブレッドのショーウィンドウ

2017年11月末、東日本橋の街角に、小枝ならぬバゲットを抱えたビーバーの壁画が目印のベーカリー、「ビーバーブレッド」がオープンしました。銀座の「ビゴの店」や「ブーランジェリーレカン」など、フレンチ系の店で20年余のキャリアを積んできたパン職人、割田健一さんによる、新しいコンセプトのお店です。
割田健一さんとビーバー

割田健一さんとビーバー

問屋街で、オフィスやマンションも密集するこの界隈。なんの宣伝もしていないのに、じわじわと地元の人々の心をとらえたビーバーブレッドは、お昼時には大賑わいになっています。「今では町のパン屋のオッチャンですよ」という割田さんは、店の外に出てきて、お客さんのベビーカーを預かったり、井戸端会議に参加したり、すっかり町に馴染んで、楽しそう。
町のパン屋さんの新しいかたち

町のパン屋さんの新しいかたち

何の前触れもなく突然オープンしたかのように思えるビーバーブレッドですが、実は構想から10年の時を経ていました。

浅草橋、東日本橋、馬喰町のあたりはベーカリーがあまりなく、割田さんは友人、知人に「この辺にパン屋さんつくってよ」と言われ続けていたのだそう。やるからには「町のパン屋さん」らしく、昔からある日本のパンを、ということで、この店にはあんパンやメロンパン、明太子フランスパンなどが並びます。
THEクリームパン

THEクリームパン

そういうニッポンのパン屋さんの王道を行くラインナップでありながら、本格ハード系のパンも混在し、銀座のレストランに卸している巨大なカンパーニュの量り売りもあるのでした。
カンパーニュは量り売り

カンパーニュは量り売り

実は割田さん、ベテランの職人にしてメロンパンなどのニッポンのパンをつくるのは今回が初めて。それゆえビーバーブレッドのパンは昔ながらの顔をしていても、どこか新しい味がするのです。

ビーバーブレッドの新しいニッポンのパン

たとえば「THEあんパン」(240円)はセルクルを用いて焼かれています。これは側面が白く焼き上がるから見た目がおもしろい。「あんパンは見た目においしそうという以外に、手で持った重さが嬉しいはず。あんをいっぱい詰めなきゃ、と思いました」。という割田さん。
九州の明太フランス

九州の明太フランス

フィリングたっぷりの満足感はクリームパンや「九州の明太フランス」(280円)にも。明太子が挟まっているのは、マッシュポテトとそば粉入りのコッペパン。「ポテトは軽くしっとりとした食感と口どけ、香りのよさ、そして腹もちよくするため。そば粉はブルターニュのガレットからヒントを得て、甘味にも塩味にも合うように、さらには奥行きのある味わいにするため」なのだそう。

ちなみに、「フランス」という名前ながら、いわゆる「フランスパン」ではないわけですが、最近ではこういう形状をしていて、明太子なりミルククリームなりを挟むとおいしいパンを「○○フランス」と呼ぶようになってきているようです。
ハニーライベーグル

ハニーライベーグル

割田さんにとって初めてとなる「メロンパン」(240円)もまた、「きっとこれが一番おいしいよな!」というものをつくってみたそう。それはレモン汁とレモンの皮のすりおろし入りのクッキー生地に覆われて、そのカリッとした食感のなかに爽やかなレモンの風味が漂います。その下の生地は昔ながらの菓子パン生地ならず、だからといって、フレンチ系のシェフがよくやるように、ブリオッシュ生地にしてもいない。それは割田さんオリジナル、パンオレとブリオッシュの中間のような、ふんわりしていながら食べ応えのあるミルキーな生地なのでした。
カンパーニュの量り売り

カンパーニュの量り売り

そう、どれも、見た目より食べ応えがあります。こういうベーシックな日本の菓子パンも、究めていけばまだまだ新しい、未知のおいしい世界が広がっているのですね。すでにあるモノを使って、新しいモノを生み出す感じ。リミックス感覚とでもいいましょうか。
くるみあんパンと塩パン

くるみあんパンと塩パン

見た目が普通のレーズンパンなれど、味が普通でないのが、稀少な巨峰のレーズンを使った「巨峰のぶどうパン」(300円)。大粒でジューシーなレーズンとバターの香りがとても心地よい贅沢なパンです。
カカオニブメロン

カカオニブメロン

知っているはずなのに未知の感覚は、「カカオニブメロン」(280円)にも。これは先述のメロンパンにペルー産のカカオニブをチョコチップのように使ったインパクトのある大人向きメロンパンです。カカオニブのフルーティな香りと食感が好きという割田さんは、レカン時代からカンパーニュなどにカカオニブを使ってきました。
バゲットやクロワッサンも

バゲットやクロワッサンも

割田さんの「町のパン屋だから、普通じゃないと嫌だけれど、普通じゃ嫌だ」という気持ちが、ビーバーブレッドらしさとなっているようです。
売り場から厨房が見える

売り場から厨房が見える

最近では、クリームパンの生地にピマンデスペレット(バスクの甘味のある唐辛子粉)を入れ、リコッタチーズ入りのカスタードを包んでみたり、同じ唐辛子粉をメロンパンに用いて、バスク地方の生ハムのサンドイッチを表現したり、そして肉入りあんパン、焼きそばベーグル、パクチー明太子フランスなどなど……次々に誕生する試作品がすごいのです。なんだか面白い展開になってきました。

ビーバーブレッドで新しい日本のパンを体験してみてください。
ビーバーブレッド

ビーバーブレッド


■BEAVER BREAD(ビーバーブレッド)
住所:東京都中央区東日本橋3-4-3
電話:03-6661-7145
営業時間:8時~18時 不定休
Yahoo!地図情報
都営地下鉄馬喰横山徒歩1分 東日本橋徒歩2分
JR馬喰町徒歩3分

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