ゲームユーザーは上級者しかいない?
スプラトゥーンは最高ランクのS+じゃないと楽しめない?
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さて、言うまでもないことですが、ゲームを遊んでいる人すべてが上級者なんてことはあり得ません。そもそも誰もが最初は初心者なのです。しかし、周りが上手な人ばかりのように思えて、下手な自分は足を引っ張ってしまうと思うと楽しめない、というような気分になる人は、もしかすると少なくないかもしれません。
それは、ガイドが小学生や中学生だった昔より、今の方が多い気がします。今回は、なんでそんなことになってしまうのか、という点についてお話していきたいと思います。
匿名コミュニティの功罪
モンスターハンターシリーズでも、インターネットで情報を入れすぎると、こんな装備では一緒に遊ぶ人に迷惑が掛かる…なんてことを考える人も出てきます
このゲームは1~25までのランクがあり、ランク1を突破するとレジェンドという称号を得られる仕組みになっていて、毎月プレイヤーはレジェンドを目指して対戦を繰り返します。ガイドの最高ランクは2、レジェンドまであと一歩及ばないというところです。これは、プレイヤー全体の上位数%ぐらいの腕前です。
そのくらいの腕前のガイドが動画をUPするとどうなるのか。実は、かなり怒られます。プレイミスを指摘されて、ひどい場合には、このくらいの腕前でアップして欲しくないぐらいのことを言われる場合もあります。
こういった、攻撃的なコメントはニコニコ動画だけでなく、ブログにあるように、匿名掲示板などでも多く見受けられます。「モンスターハンター」シリーズなどの協力プレイで、最低限この程度の装備を整えていなければ来ないでほしい、といったようなコメントを目にする人も多いのではないでしょうか。
ガイドの子どものころというのは、インターネットなんてありませんでしたから、自分と同じゲームが好きな仲間をたくさん見つけるというのは容易ではないことがありました。そういう意味では、同じゲームが好きな人たちがインターネット上でいろんな会話ができるというのは、とても素晴らしいことです。
しかし一方で、その会話が、こんなプレイはダメ、あれをもっていなければダメ、というった内容になれば、なるほど、たしかに上級者以外お断りの雰囲気を感じる場面もあるでしょう。
匿名ではないコミュニティだとどうなるのか
実は、匿名性の低いコミュニティを作ってみると、初心者もちゃんといて、教えあって遊ぶ形が浮かび上がります
本名などは知らないけれど、一度はイベントでご本人が会場に足を運んでいる、という形でコミュニティを作ってみると、実は、インターネット上の完全に匿名性が保たれたコミュニティのような、ゲームの上手な人で溢れるという現象は全く起きなくなります。
ハースストーンに関しても、ガイドは実際の腕前と同じような、長くプレイしている分そこそこ上手、というぐらいの位置に収まりますし、また、初心者や上手じゃない人を一方的に非難するようなコメントは出なくなります。
これはもちろん、ガイドが管理しているわけなので、「攻撃的なコメントをする人がいれば、それを注意し、場合によってはコミュニティから退出していただく」という前提のもとに運営している、という点もあるのですが、数年間運営していて、そもそもそんな注意をすることすらほとんどない、というのが実際のところです。
また、攻撃的なコメントがあるかどうかだけでなく、上手な人も下手な人も、初心者も熟練者もそこにはしっかり存在している、という点も重要かもしれません。
インターネットの世界は広く狭く、そして偏っている
せっかくゲーム好き同士の会話が楽しめるはずが、そのせいでゲームを遊びにくくなるとしたら、それはとても悲しいことです
多くの人は、自分が苦手なゲームよりは、自分が得意で、長く遊んでいるゲームの話をしたいでしょう。得意でなければ、自分から発信するよりは、上手な人の話を聞くだけにしようという人が増えるかもしれません。
それこそ、ガイドが体験したように、ニコニコ動画で実況プレイをしている人が攻撃的なコメントにさらされている姿を見れば、余計なことを言うのはやめようと思うことはとても自然ではないでしょうか。おそらく、ガイドくらいの腕前だと、ニコニコ動画にプレイ動画をあげるなんておこがましい、ぐらいに考える人も少なくないはずです。
そうすると、インターネットの匿名コミュニティには、ゲーム上級者で溢れるという現象が起こり得ます。しかし、これは偏っているのです。インターネットの世界は広いようで狭く、そして偏りがあるのです。
本当はもっとたくさんの初心者がいるはずなのに、あるコミュニティではそれがまるで非常に少数であるかのようにふるまわれてしまうという現象が起きています。そして、それはあまり嬉しいことではありません。
ゲームはたくさんの人が遊ぶからこそ、継続して運営がなされますし、続編もリリースされます。初心者がいなくなれば先細りです。ゲームが好きなユーザーが、新しいユーザーを敬遠させる環境を作るのは、とても悲しいことでしょう。
減らす側よりも、増やす側に
ゲームユーザーを減らす側ではなく、増やす側に回れるよう、常に心掛けたいものです(イラスト 橋本モチチ)
一方で、上級者のコメントで溢れる、排他的なコミュニティを無くすことができるかといえば、それは現実的ではないかもしれません。そういったコメントを規制することはできないのです。となれば、ユーザーがするべきは、距離を置くことでしょう。
匿名の人間が気軽にコメントできるコミュニティは、得てして上級者による排他的な空気が作られやすい傾向がある、ということをあらかじめ理解していれば、あまり気にならないかもしれません。しかし、どうしても気になってしまうという方は、そういったコミュニティからの情報収集を控えるというのも、自己防衛として良いのではないでしょうか。
また、1人のゲームユーザーとして言わせていただければ、初心者お断りの雰囲気をインターネット上でばらまく人は、たとえそのゲームが上手だとしても、ゲームプレイヤーとして決して尊敬はできません。最後にもう1つ、ガイドが個人的に体験したお話をしたいと思います。
ガイドは、将棋があまりわかりません。といっても、基本のルールは知っていますし、子どものころは父親と指したこともあります、スマートフォンのアプリでプレイすることもあります。しかし、そのあまりに深淵なゲーム性に、これは数十時間程度のプレイではびくともしないぞと思い、それ以上のめりこんでいませんでした。
ある時、たまたま仕事でプロの将棋棋士の方と将棋を指す機会に恵まれました。インタビューの写真撮影の雰囲気作りで指しただけのことでしたが、赤子の手をひねるとはこのことで、全く歯が立たないどころか、自分が何をしても先を読まれているような感覚を味わいました。
その時、プロ棋士の方が何を言ったか。実は大変に褒められました。「全然分からないなんておっしゃってましたけど、そんなことないですよ。きっちり狙って指せているのが、伝わってきました」その上で、ガイドでも分かるように基本の考え方を教えていただきました。これがプロというものだなと、いたく感心したのは、その圧倒的な腕前ではなく、初心者に対する態度の方でした。
この方は将棋が好きで、いつでも将棋が好きな人を増やしたいと思っていて、その振る舞いが完全に自分のものとして身についている、やはりプロは違うな、そう思いました。尊敬できるプレイヤーというのは、やはりそういう人でしょう。
これは1人のゲームユーザーとして思うことではありますが、自分も、減らす側よりは増やす側になっていたいと、そう思います。
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