損害保険/火災保険の基礎を学ぼう

火災保険・地震保険の保険金受取と確定申告

自然災害で被災したときに火災保険や地震保険から保険金が支払われます。このときの確定申告の関係と確定申告ですべきことなどについて紹介します。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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確定申告すべき火災保険・地震保険のこととは?

火災保険・地震保険という住まいの保険に関係して確定申告することが2つあります。1つは保険料を支払っているときに地震保険料控除を利用するケース、もう1つが火災や災害などで保険金を受け取ったケースです。


火災保険で保険金を受取ったときの確定申告とは?

火災保険で保険金を受取ったときの確定申告とは?


多くの人が保険料を支払っているときの保険料控除のことでしょうが、人生で何度もないからこそ知っておきたい火災保険・地震保険で保険金を受け取ったときの確定申告についてお話しします。

火災保険・地震保険の保険金で税金はかかる?

火災保険・地震保険から支払われる「保険金」と言っても住まいが損害を受けた原因はさまざまです。

地震や台風、土砂崩れ、雹や雪、火災など保険金が支払われる理由はさまざまです。マンションだと構造上、漏水事故などは頻繁に発生します。

さまざまな原因があるにせよ火災保険や地震保険から支払われた保険金には税金はかかりません。そのため保険金を受け取ったから、そのためだけに確定申告をしなければならないというわけではありません。

住まいに損害を受けた場合、保険金で再築したり、修理をします。なかには損害の程度にによって保険金をもらったけれど修理していないというケースもあるかもしれません。このような場合でも税金はかからないことになっています。

保険以外でチェックすることは何か?

確定申告の前に火災保険・地震保険に加入していない、あるいは損害を受けたけど保険金が支払われなかった場合もあるでしょう。災害などが原因のケースでは被災者生活再建支援制度の適用を受けることができる場合があります。

要件を満たせば支援金が支払われますので、普段から覚えておきましょう。

損害をうけた場合には確定申告でやるべきことがある

火災保険や地震保険の保険金で税金がかからなかったとしても、確定申告をした方がいいケースがあります。それが「雑損控除」や「災害減免法」の控除を受ける場合です。医療費控除などと同じように控除できる制度ですので住まいに被害があった場合には利用することを考えておきましょう。

雑損控除と災害減免法はどちらか有利な方を選択して適用します。所得要件や対象となる災害などの要件も同じではありませんので注意してください。

雑損控除

災害や盗難もしくは横領によって建物などの資産に損害を受けた場合などで一定の金額の所得控除を受けることができる制度です。

○要件
  • 対象となる資産の所有者
  • 本人(納税者)
  • 本人と生計が同一である配偶者やその他の親族、その年の総所得金額等が38万円以下
※事業用資産や生活に通常必要ない資産は対象外です。

○損害の原因
  • 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
  • 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
  • 害虫などの生物による異常な災害
  • 盗難
  • 横領
※詐欺や恐喝は雑損控除の適用は不可

○雑損控除の金額の計算
雑損控除の金額の計算は、次で計算した金額のうちいずれか多い方の金額になります。
  • (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
  • (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
※  損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除可能。

雑損控除は他の所得控除に先だって控除。 災害関連支出の金額は、災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出した金額などです。

災害減免法

災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険金などにより補てんされる金額を除く)がその時価の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下の際、その災害による損失額について災害減免法によりその年の所得税が軽減あるいは免除される制度です。

○災害減免法の適用金額
  • 500万円以下              所得税の額の全額
  • 500万円を超え750万円以下     所得税の額の2分の1
  • 750万円を超え1000万円以下     所得税の額の4分の1
なお、災害減免法を利用するには、確定申告書等に適用を受けること、被害の状況・損害金額を記入して納税地の税務署に確定申告書等を提出することが必要となります。最初にお話ししたように雑損控除との選択適用となります。

住まいや家財に損害を受けたら忘れずにいたいこと

よく覚えておいて欲しいのはこの記事に書いたことが必要になったときには、精神的あるいは場合によっては経済的にも余裕がないことが多いということです。そもそも生活の基盤である住まいに損害がでているので当然です。肝心なときにゼロから色々調べるのもまたストレスです。

実際に住居が被災すればその後の生活基盤をどこに置くか、今後の収入の見込み、再築にかかる必要、保険金がいくらでるかや公的支援など考えることがたくさんあります。家族の人数が多ければ多いほどその後の生活基盤をどうするかという問題が複雑になりがちです。

確定申告で雑損控除や災害減免法などを受けることは、考える、することの優先順位は後になるかもしれません。明確にでなくてもいいのでこんな制度があったなということだけでもぼんやりとでも知っておきましょう。

【関連記事】
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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