情報漏洩防止のために外部とのファイル共有を禁止
企業ではセキュリティの観点から無料で大容量ファイルを送ることのできる「宅ファイル便」や外部とファイルを共有できる「Dropbox」や「Googleドライブ」といったサービスの利用を禁止している場合があります。禁止の理由は情報漏洩を防ぐためです。「Dropbox」の場合、共有フォルダを簡単に作成できるため、情報リテラシーが高くない社員が何気なく共有フォルダにファイルを入れるだけで情報漏洩につながってしまいます。
宅ファイル便は相手のメールアドレスを指定して大容量ファイルを送りますが、このアドレスを間違えると情報漏洩になります。
そうはいっても、日々の業務で気軽にファイルの送付ができないのは不便です。いまさらUSBメモリやCD-ROMに焼いて郵送する、というのは現実的ではありません。会社に禁止されていない外部とのファイル共有サービスを探し出して利用するという涙ぐましい努力をしている方もいるようですが、これでは会社とのいたちごっこです。他の手段はないものでしょうか。
手軽なメーリングリスト・グループウェアを使う
FreeMLなどの無料メーリングリストを使ってファイル共有を行うことができます。本来の機能はメーリングリストですが、メーリングリストに登録したメンバー間の写真共有やファイル共有ができます。FreeMLのファイル共有なら最大30MBまでのファイルをアップできます。作成したメーリングリストに取引先のメールアドレスを追加し、相手に連絡してファイルをダウンロードしてもらうことで、外部とのファイル共有を行えます。
相手にメーリングリストに登録してもらうのが面倒な場合は、有料のグループウェアを使いましょう。
J-Motto(初期費用なし、ユーザー登録数20ユーザーまで月額3円)のファイル共有機能(オプション機能で50ユーザまで月3万円)を使うと大容量ファイルを社外へ送付することができます。
ファイル送付時は、ダウンロード専用URLが付与され、パスワードの設定やデータ圧縮も可能です。また複数の宛先を選択して送信することもできます。メールアドレスを入力するので、「ファイル共有」のユーザーである必要はなく、「宅ファイル便」のように使えます。
セキュリティがしっかりとした有料版を使う
無料版の場合は簡単に使える利便性がありますが、その分、情報漏洩が心配となります。機密度の高いファイルをやりとりすぐ場合は、セキュリティ機能を強化した有料版を使うのが王道でしょう。有料版を使うことでシャドーITを防止できます。シャドーITとは社員が、会社の管理下にない私物のスマホなどを業務に使ったり、会社に無断で外部サービスを使うことによって、会社が管理できていない状態をいいます。
宅ファイル便にはオフィス宅ふぁいる便(初期費用2万円、100ユーザーまで月額1万7,000円)があります。
管理者機能があり、管理者は送信ログだけでなく送信ファイルの中身が確認できます。またファイルのダウンロードには別途、発行されるワンタイムパスワードが必要で第三者がダウンロードしても開くことができません。これで情報漏洩のリスクを下げることができます。
DropboxにはDropbox Plus(初期費用なし、1人当たり月額1,200円)という有料版があります。ファイルやフォルダへのリンクを送信すると、Dropbox を利用していない相手ともファイルを共有することができます。
無料版と違って、有料版ではフォルダーに閲覧の権限設定、パスワード設定ができ、有効期限を設定することができます。万一ノートパソコンやスマホを紛失してしまった場合には、遠隔操作でノートパソコンやスマホのDropboxフォルダを削除できる機能もあります(この場合、Dropboxサーバー上にある元のフォルダは消えません)。
LINEにはビジネス用にLINE WORKS(初期費用なし、1人あたり月額500円)があります。
無料版のLINEの場合、社外の人とグループを作って仕事のやり取りしていると、メンバーが抜けたり退職した場合に本人に退会してもらわなければなりません。強制退会もできますが、誰が誰を退会させたのかが全員に分かります。
プロジェクトが終わってグループを完全に抹消したい場合は、グループのメンバー全員に退会してもらった上で、最後に自分が退会する必要があります。
有料版のLINE WORKSならメンバーの管理が容易で、誤って送信したトークを取り消すこともできます。またLINE WORKSには外部トーク連携機能があり、外部のLINEユーザーとつながることができます。ただし管理者の連携許可が必要で、企業としては連携するユーザーを自社で限定でき、各種ファイルを簡単に送受信することができます。