朝夏まなと 花組新人時代
新人公演初主演に抜擢されたのがわずか研4、『マラケシュ・紅の墓標』のリュドヴィーク。朗々と歌いながら銀橋を渡る幕開きに始まり、大人の恋物語を堂々と演じました。その後も『明智小五郎の事件簿 ―黒蜥蜴―』『アデュー・マルセイユ』『愛と死のアラビア』と、4度も新公主演を務めました。バウホール公演初主演は2008年、『蒼いくちづけ-ドラキュラ伯爵の恋-』のドラキュラ伯爵。台詞も動きも多くはない難しい役でしたが、安定した演技を見せました。『BUND/NEON 上海-深緋の嘆きの河-』では、スーツにソフト帽、トレンチコート姿がカッコいい、恋人の死の真相を追究する捜査官、クリストファー・ブレナンを。『CODE HERO』では、殺人犯の汚名を着せられ、真の犯人を捜すジャスティンをワイルドに熱演しました。
陰がある役でも、陽の部分が根底にある華やかさが、朝夏さんの最大の強み。大きな瞳に長い手足の恵まれた容姿も相まって、新公、バウ共に、次世代のトップスターを実感させました。『ME AND MY GIRL』や『ファントム』では役替わりで熱演し、歌唱力の向上にも、目を見張るものがありました。
(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ
朝夏まなと 宙組へ
2012年、宙組に組替えします。初めての役が『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』のジークフリード・キルヒアイス。主人公・ラインハルト(凰稀かなめ) に仕え、最期はその腕の中で死んでいくキルヒアイスは若々しく可愛らしく、とても素敵でした。『風と共に去りぬ』では、ヒロインのスカーレット・オハラとアシュレ・ウィルクスの二役を演じました。優しく温かなアシュレ。そして、傲慢な女ともとれるはずのスカーレットは、ビジュアルも演技も、歴代一と言ってもいいほどチャーミング!フィナーレのデュエット・ダンスも可愛かったですね。
『翼ある人びと-ブラームスとクララ・シューマン-』のヨハネス・ブラームス。ブラームスをはじめ珠玉の名曲が流れる贅沢な空間で、恩師シューマン(緒月遠麻)の妻クララ(伶美うらら)を愛してしまった陰のある青年の内面を、繊細に、そして力強く見事に演じました。母性本能をくすぐるような色気もあり、役者としての幅を広げたと共に、男役の魅力も深めました。
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