『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

2015年2月15日(日) ——宙組トップスター・凰稀かなめさんが、ミュージカル『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』、グランドショー『PHOENIX 宝塚!! ―蘇る愛―』の千秋楽(東京宝塚劇場)にて宝塚歌劇団を退団しました。

また同時に、緒月遠麻さん(入団2000年)、風羽玲亜さん(入団2004年)、留美 絢さん(2009年入団)も退団しました。


凰稀かなめ 略歴

凰稀かなめさんは、2000年花組公演『源氏物語 あさきゆめみし』『ザ・ビューティーズ!』で初舞台を踏みました。
同期生には、元宙組トップ娘役・陽月華さん、元月組娘役・城咲あいさん、月組男役・星条海斗さんらが。86期生。

初舞台後、雪組に配属。2009年、星組に組替え。2011年、宙組に組替え。
大空祐飛さん退団に伴い、2012年『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』より、宙組トップスターに就任。

愛称、てる、かなめ、りか。


凰稀かなめ 略歴

雪組時代
2001年『猛き黄金の国』新人公演/川上音二郎(本役・音月 桂)
2004年『スサノオ』新公/月読(本役・壮 一帆)
2004年『青い鳥を捜して』新公/フィンセント・マクノートン(本役・朝海ひかる)
2005年『霧のミラノ』新公/ロレンツォ・クローチェ(本役・朝海ひかる)*新人公演初主演
2005年『銀の狼』トランティニアン
2006年『ベルサイユのばら』新公/アンドレ(本役・貴城けい水夏希)
2006年『YoungBloods!』-魔夏の吹雪- ロバート三浦 *バウホール初主演
2006年『堕天使の涙』サリエル 新公/ルシファー(本役・朝海ひかる)*新人公演主演
2007年『星影の人』桂小五郎
2007年『エリザベート』ルドルフ
2008年『凍てついた明日-ボニー&クライドとの邂逅-』クライド・バロウ *バウ主演
2009年『忘れ雪』鳴海昌明

星組時代
2009年『太王四神記 Ver.II』ヨン・ホゲ
2009年『再会』マーク
2010年『ハプスブルクの宝剣』フランツ・シュテファン
2010年『リラの壁の囚人たち』 エドワード・ランス *バウ主演
2010年『ロミオとジュリエット』ティボルト
『ロバート・キャパ 魂の記憶』

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2010年『愛と青春の旅だち』フォーリー軍曹
2011年『愛するには短すぎる』アンソニー・ランドルフ

宙組時代
2011年『美しき生涯』疾風
2011年『クラシコ・イタリアーノ』レナード・デルーカ
2012年『ロバート・キャパ 魂の記憶』アンドレ・フリードマン*バウ主演
2012年『華やかなりし日々』アーサー・シェルドン

 



宙組トップスター時代
『風と共に去りぬ』

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2012年『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』ラインハルト・フォン・ローエングラム
2013年『モンテ・クリスト伯』エドモン・ダンテス
2013年『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』オスカル
2013年『うたかたの恋』ルドルフ
2013年『風と共に去りぬ』レット・バトラー
2014年『ロバート・キャパ 魂の記録』アンドレ・フリードマン
2014年『ベルサイユのばら-オスカル編-』オスカル
2014年『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』グスタフIII世


凰稀かなめ 若手時代

新人公演初主演は2005年『霧のミラノ』のロレンツォ・クローチェ。長身で華やかな凰稀かなめさんに、センターに立つ天与の資を感じました。
やがて各組の若手スターが主演したショー形式の『YoungBloods!』-魔夏の吹雪-でバウホール公演初主演を果たします。

『堕天使の涙』の本公演では、主役・ルシファー(朝海ひかる)のしもべ、サリエル役で存在感をアピール。新人公演では、圧倒的な美しさでルシファーを好演しました。
2008年には、再演希望の声も高かった『凍てついた明日-ボニー&クライドとの邂逅-』のクライド・バロウを主演。やる瀬ない孤独と影を、若手ながら巧みに演じました。


星組、宙組二番手時代

二番手時代、魅力的な役を次々と演じます。
新生星組のお披露目公演でもあった『太王四神記 Ver.II』では、ヨン・ホゲを、『愛と青春の旅だち』では、鬼教官のフォーリー軍曹を熱演。 
水を得た魚のように生き生きとしていたのが『ロミオとジュリエット』のティボルト。しなやかで色気があるティボルトは魅力的でした。

代表作となったのが『ロバート・キャパ 魂の記憶』。カメラで世界を動かそうとした戦場カメラマン、ロバート・キャパ事アンドレ・フリードマンの短い生涯や精神を、誠実に熱演。好評につきトップスターになってからの2014年にも再演されました。
また作・演出を手掛けた原田諒氏がこの作品で第20回読売演劇大賞・優秀演出家賞を受賞したのも、スタッフと共に、主役をはじめ出演者の力の賜物でしょう。


凰稀かなめ 宙組トップスターに

『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

待ちに待ったトップスターお披露目は、宙組の新しい時代の英雄誕生にぴったりな作品、『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』。軍服のマントをひるがえし、ブロンドの長い髪のラインハルトは、劇画から抜け出したように美しく、輝きに充ち溢れていました。

これを機に初めて宝塚歌劇を観たという「銀英伝」ファンも多く、その後、宝塚ファンになったという声もたくさん聞きました。

 




『うたかたの恋』

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『モンテ・クリスト伯』では、復讐に生きる冷酷なエドモン・ダンテスを熱演。笑顔の素敵な爽やかな青年からボロボロの囚人、数々の変装と、芝居巧者ぶりを発揮しました。

ただ見ているだけで幸せ……ファンの方々はそう思ったでしょうね。とにかく美しい!台詞も曲も甘美な究極の恋愛物『うたかたの恋』のルドルフで、マリーへの一途なまでの愛、皇太子の気品と孤独を描き出しました。中でも、微笑み涙し苦しんでマリーを撃つラストシーンは絶品。凰稀かなめの神髄を見せました。

こうして宝塚歌劇の代表作を次々と務めます。
『風と共に去りぬ』では、難役、レット・バトラーを堂々と演じました。線が細いのでは?との心配の声もどこ吹く風で、逞しく包容力が豊か、何よりも色気がある魅力あふれるレット・バトラーでした。

『ベルサイユのばら-オスカル編-』

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「この役は凰稀かなめのためにあった!」そう思ったのが、レットから一転、『ベルサイユのばら-オスカル編-』のオスカル。ビジュアルが最高に似合うのはわかっていたことで、凛々しさの中に、女性であるオスカルの繊細さを常に匂わせ、魅力的なオスカルを作り上げました。
宝塚歌劇団創立100周年という記念すべき年に、宝塚歌劇の1番の代表作を、秀逸のオスカルで上演できたことは、とても意義のあることだったでしょう。

そして最後の役は、凰稀さんお得意の豪華なコスチュームプレイ『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』のグスタフIII世。国王としての品格は見事なもので、宙組トップスターとしての品格、カリスマ性そのものでした。

どの役も、掘り下げ練り上げた作業の上に、センスがプラスされ、瑞々しく生き生きと、舞台上を駆け回りました。
口跡が良く、さらに良く通る艶やかな声は、芝居にも歌にも説得力を持たせ、切れ長の目は、多くの台詞を語りました。



『Amour de 99!!-99年の愛-』

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長身でプロポーション抜群、華やかでエレガント、クールで美しい凰稀かなめさん。お姫様抱っこ(『うたかたの恋』とか…)も壁ドン(『風と共に去りぬ』とか…) も、描かれたように様になります。
また、これほど色んな衣装や髪型が似合う男役を知りません。公演ごと、場面ごとに色々な顔を見せ、それは、観る者に喜びや驚きを与えてくれました。

中でも軍服の着こなしの美しさは随一! サヨナラ公演千秋楽の退団者の挨拶は、本来は緑の袴に黒紋付。トップスターは黒燕尾を着ることが多いのですが、凰稀さんは『うたかたの恋』のルドルフの純白の軍服を着て、ファンを喜ばせました(宝塚大劇場)。

女役も魅力的で好評でした。妖艶な『ルナロッサ』の月下美人。ゴージャスな『Amour de 99!!-99年の愛-』のパイナップルの女王。美しすぎる『ベルサイユのばら-オスカル編-』のフィナーレ。『ミロワール』のシンデレラもチャーミングでしたね。


メディアでの活躍

シラユキ~AQUA5

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メディアでの活躍も多いスターさんでした。
2002年には、スカイステージの第一期スカイ・フェアリーズに選ばれ、多くの視聴者を楽しませました。

宝塚にとっても雪組にとっても、もちろん凰稀かなめさんにとっても大きな飛躍はAQUA5。2007年、当時のトップスター・水 夏希さんを筆頭に組まれたユニットAQUA5に、最下級生で参加。CDやDVDを発売し、多くのテレビ番組に出演し、宝塚の顔として活躍しました。

また面白かったのが2012年の「嵐にしやがれ」(日本テレビ)。番組始まって以来の女性のアニキゲストとして、凰稀かなめさん筆頭に宙組男役7名で出演。
2014年「SMAP×SMAP」(フジテレビ)には、蘭寿とむさん、柚希礼音さんらを始め100名の生徒と出演し、宝塚の魅力をアピール。
また2013年のドラマ「TAKE FIVE~俺たちは愛を盗めるか~」(TBS)には、柚希礼音さん、龍 真咲さん、明日海りおさん、紅ゆずるさんと共に、本人役で出演しました。



緒月遠麻

凰稀かなめさんにとってもう一人の相手役、それが緒月遠麻さんでした。
同期生で、下級生時代を同じ雪組で育ち、本公演、新人公演などでも組むことの多かった二人。羽カツラに黒のダルマ姿が妖艶な『タカラヅカ・ドリーム・キングダム』の夜の女王など、つい昨日のことのように思い出されます。お互い組替えはあったものの、再び宙組で一緒になり、こうして退団同期になるとは……。

三枚目から渋い男役まで、なんでもござれの緒月遠麻さん。雪組『ロミオとジュリエット』では、凰稀かなめさんと同じくティボルトをパワフルに演じ、『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』では、ヤン・ウェンリーをかっこよく好演。『ベルサイユのばら-オスカル編-』ではアンドレとアランの二役を。凰稀オスカルとの「今宵一夜……」の場面での優しさ、温かさは秀逸でした。

当り役は『ニジンスキー~奇跡の舞神~』の渋いおじ様、セルゲイでしょうか。ニジンスキーのパトロンで恋人という異色の設定を、「こうした愛し方もあるのね…」と納得させてしまうあたり、緒月さんの演技力や舞台人としての品格に他なりません。

凰稀かなめ 鳳凰美伝

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

トップスター・凰稀かなめのそばに緒月遠麻というスターがいたことは、作品にとっても宙組にとっても、そしておそらくお互いにとって一番、実りのあるものだったに違いありません。


さて、宙組トップスター・凰稀かなめとは……時代の流れと共に多様なジャンルの作品が生まれてきましたが、宝塚らしいオーソドックスな作品をきっちりと演じられる舞台人でした。また、豪華絢爛で優雅な宝塚歌劇の魅力を最大限に表現できる格別のトップスターでした。

華やかに美しく凰のごとく羽ばたいたトップスター、凰稀かなめさん。そして退団者の皆さん。ありがとう。お疲れ様でした。


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