映画は字幕派?吹き替え派?

「洋画を見るなら字幕!」という人は減り、いまや吹き替え上映が大人気! 字幕で見る派は「え~!」と思っているようですが、どちらで見てもいいんです。それぞれにお楽しみがあるのですから。では、字幕と吹き替え、それぞれの魅力を見ていきましょう!
   

字幕の歴史

映画の字幕と吹替えイメージ

字幕映画の歴史とは

海外の映画作品に字幕がつけられるようになったのは、いつだかご存じですか?字幕の歴史は古く、1931年に公開された『モロッコ』(監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ/出演:ゲイリー・クーパー)が初の字幕スーパー映画です。この映画から日本で公開される外国映画はすべて字幕がつけられるようになりました。
 

 字幕翻訳といえば、戸田奈津子さんの名前を思い浮かべる方は多いと思いますが、第一人者は清水俊二さん。清水さんは「映画翻訳家教会」も立ち上げた映画翻訳界の重鎮で、戸田さんにとって清水さんは師匠だったそうです。

 でも字幕翻訳家の存在を有名にしたのは戸田さんですね。来日スターの通訳も担当し、トム・クルーズ、リチャード・ギアなど、スター俳優の信頼も厚いことからその名が一般にも知られるようになったのです。


1900年代は、外国映画は字幕で見るのが当たり前だったので、数少ない字幕翻訳家であった清水さん、戸田さんはフル稼働だったと思います。映画を見れば、どちらかの名前がクレジットされている状態でしたから。戸田さんの次にキャリアがあるのが菊地浩司さん。いまは林完治さん、松浦美奈さん、稲田嵯裕里さんなど多くの字幕翻訳家が活躍するようになり、映画を見るたびに違う字幕翻訳家の名前を見ることが増えました。

 

字幕で映画を見る楽しさ

字幕と吹替えイメージ

スターの声を聞く楽しさがある字幕版

なぜ昔は字幕の方が吹き替えよりも人気があったのか? それは、そもそも劇場公開時に吹き替え版がなかったんです。子供向けの映画は吹き替え版があったかもしれませんが……。

字幕で映画を見る楽しさは、やはりスター俳優の声を聞くこと。今でも私はできるだけ字幕で見ます。英語は全然わからなくても、レオナルド・ディカプリオやナタリー・ポートマンの熱演を本人の声で見たいんですよ。どんなに吹き替えの声優さんが上手くても、吹き替えだと映画との間に距離を感じてしまうのです。字幕の長さは限りがあり(1行約13文字・2行まで)、セリフのすべてが伝わっていないかもしれないけど、それでも私にとって、作品の世界にどっぷり浸るには字幕上映が欠かせないのです。
 

 

ただ、映画『JFK』(監督:オリバー・ストーン/出演:ケビン・コスナー)を見たときは「吹き替えの方が良かったかも」と思いました。この映画はJFKの暗殺に迫るポリティカル・サスペンスなのですが、ディスカッションシーンが多く、かつ、すごい情報量で、字幕が流れては消え、流れては消え………という目まぐるしさだったからです。

 

吹き替えの歴史

外国映画の吹き替えは、以前は主にテレビで上映するときだけでした。昔は今のような大画面のテレビはないので、字幕スーパーを小さな画面で見るのは厳しいという判断だったのかもしれません。

スター俳優の声は、定番の声優さんが専任していました。男優では、シルヴェスター・スタローン:ささきいさおさん、スティーブン・セガール:大塚明夫さん、ハリソン・フォード:村井國夫さん、ジャッキー・チェン:石丸博也さん。

女優ではオードリー・ヘプバーン:池田昌子さん、ジョディ・フォスター、ジュリア・ロバーツ、ニコール・キッドマン:戸田恵子さん。戸田さんは「それいけ!アンパンマン」のアンパンマンの声も演じます。「アンパ~ンチ!」とニコール・キッドマンが同じ声とは……。戸田さん、天才ですね。
 

 

人気声優の宮野真守さんは、『ハリー・ポッター』シリーズほか、数多くの映画で活躍していますが、最近では『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』でエディ・レッドメインの声を担当。今後エディ=宮野さんになるかもしれませんね。

 

吹き替えで映画を見る楽しさ

吹き替え版で映画を見る魅力はわかりやすさですね。目で字幕を追いかける手間もはぶけますし、ストレートに物語に入れる良さがあります。特に小さなお子さんも見られるファミリー・ピクチャーは吹き替え版の方がおすすめです。

俳優に特に思い入れがなく、本人の声を聞きたいというこだわりがないのなら、吹き替え版で楽しむ方がわかりやすいでしょう。ただ1つだけ要注意なのは、吹き替えの声優さんの力量です。声優未経験のアイドルや俳優が吹き替えを担当したものの、力不足で作品の魅力が半減してしまうことが過去に多くありましたから。

逆に「この俳優は声優としても素晴らしい!」と絶賛されることもあります。私的に「上手い」と思ったのは、松たか子さん、神田沙也加さん(いずれも『アナと雪の女王』)、中井貴一さん(『怪盗グルーのミニオン危機一発』)、松山ケンイチさん(『怪盗グルーのミニオン大脱走』)。お笑い芸人の福田彩乃(『マレフィセント』ひとり3役)とホンジャマカの石塚英彦(『モンスターズ・インク』)。
 

 

他にもいますが、総じて芝居の上手い俳優さんは声優やっても素晴らしく、お笑い芸人さんはコントで演技力が磨かれているので器用にこなす人が多いですね。映画を見て「誰の声だかすぐわかる」という場合は、あんまり上手じゃないと思います。上手い人は、誰が声を演じているのか全然わかりませんから。

日本語吹き替え版にこだわりがあるものはディズニーアニメ。吹き替え版の声優はオーディションで決まります。有名無名関係なく「声」と「演技」で決まるのであまり外さないですね。
 

洋画の吹き替え事情

海外で外国映画が上映されるときは字幕と吹き替え、どちらだと思いますか? 実は吹き替えが基本だそうです。海外の人は字幕読まないらしいですよ。面倒くさいのかな。ちなみに海外で圧倒的人気のジブリアニメは、海外吹き替え版の声優陣が豪華でビックリ! ちょっとご紹介しましょう。
 

 

『となりのトトロ』:ダコタ・ファニング(サツキ)、エル・ファニング(メイ)
『魔女の宅急便』:キルスティン・ダンスト(キキ)
『猫の恩返し』:アン・ハサウェイ(ハル)
『ハウルの動く城』:クリスチャン・ベール(ハウル)
『崖の上のポニョ』:マット・デイモン(宗介の父)、ケイト・ブランシェット(ポニョの母)

ほかの作品も有名スターが声を演じていて、さすがジブリです。
 

字幕と吹き替えの現在の状況

字幕と吹替えイメージ

字幕と吹き替えのW鑑賞で映画を楽しもう!

2000年以降、海外映画を吹き替えで見る人が増え、今や字幕版と吹き替え版は立場が逆転している様子。かつては子供向きのファミリー映画の市場だったけれど、今やほとんど2ケ国語で、若い人ほどまず吹き替え版で見ているようです。

イルミネーション・エンターテインメントのアニメ映画『SING/シング』は、日本語吹き替え版の声優陣が歌も熱唱して大ヒットしましたが「オリジナル版の歌も聴きたい!」と、吹き替え版と字幕版、両方見るというリピーターが続出! 映画界に明るい話題を振りまきました。これですよ、これ!
 

 

吹き替え版で見て感動したら、字幕版で俳優の生の声で見直すのもよし。字幕版を見て「セリフ多すぎてわからん」となったら吹き替え版でおさらいするのもよし。

これからは字幕と吹き替えのW鑑賞が、映画をヒットに導くポイントになるかも。最近は日本映画に押され気味の外国映画ですから、W鑑賞で盛り返して、映画界がよりにぎやかになるといいですね!

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