美しく優美なバレエの世界を描いた映画をピックアップ

バレエドキュメンタリー『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!』を筆頭に10作品をご紹介。ドキュメンタリーとフィクションといろいろありますが、いずれも美しく優美なバレエの世界を描いた作品ばかりです。女子なら一度は憧れるバレリーナ。その華麗なダンスを楽しみつつバレエ界の厳しい世界も垣間見られるオールアバウト・バレエ映画10選です!


傑作ドキュメンタリーでバレエ界の裏側を知る!

『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ』(2012年度作品)
『ファースト・ポジションundefined夢に向かって踊れ!』

7人のダンサーたちの青春がつまってる!

世界でも有名なユース・アメリカ・グランプリに出場する7人のバレリーナたちを追跡したドキュメンタリー。裕福な一家の少年少女もいれば、コロンビアから単身ニューヨークに修行しにきた少年、またアフリカで生まれ反政府勢力に両親を殺された少女もいます。そんなまったく別々の環境で育ち、バレエを学んできた少年少女たちが、ひとつのコンクールに向かって悩み苦しみながらも挑戦。その姿はまさにザ・青春!です。

バレエ好きじゃなくても十分に楽しめるドキュメンタリーとして仕上がっているのは、ひとつのことに打ち込むバレリーナたちの美しさだけではなく、その挑戦を支える家族のドラマもしっかり描かれているから。日英ハーフの美少女バレリーナのミコ・フォーガティのステージママの強烈さ、そのママにお尻を叩かれながらもまったくやる気なさそうなミコの弟ジュールズのかわいらしさは必見ですよ。
『ファースト・ポジションundefined夢に向かって踊れ!』

撮影時12歳だったミコは現在16歳のバレリーナ


監督: ベス・カーグマン
出演: アラン・ベル、ジュールズ・ジャーヴィス・フォーガティ、ミケーラ・デ・プリンス、レベッカ・ハウスネット、ジョアン・セバスチャン・ザモーラ、ガヤ・ボマー・イェミニ、ミコ・フォーガティほか
発売元:日本コロムビア/ DVD 5,040 円(税込)
(c)First Position Films 2011


『エトワール』(2000年度作品)
完璧な階級社会の中でバレリーナたちが切磋琢磨している姿を描いたパリ・オペラ座の裏側を描いたバレエドキュメンタリー。ひとつのバレエ団の裏をこれだけ克明に描き、バレリーナたちが、ストイックな生活と将来への不安とライバル心などを赤裸々に話しているのにビックリ。エトワールを頂点にして見事なピラミッド型を形成しているシステムゆえに、上へあがれないといい役がもらえないという焦りもあり、それに耐えるには、体だけでなく精神的な強さも必要だということがわかります。バレエ愛が相当強くないと耐えられませんね! 規律を守った生活を送り、練習漬けの日々を送るバレリーナたち。華やかなステージの裏の厳しさをリアルに見せてくれるドキュメンタリーです。

同じくパリ・オペラ座を描いたドキュメンタリーには『パリ・オペラ座のすべて』もありますね。あの歴史を感じさせる重厚な建築と階級制によるドラマは、映画人を惹きつける魅力を放っているのでしょう。

監督: ニルス・タヴェルニエ
出演: マニュエル・ルグリ、ニコラ・ル・リッシュ、オーレリ・デュポン、ローラン・イレール、エリザベット・プラテル、マリー=アニエス・ジロー、クレールマリ・オスタ、ウィルフリード・ロモリ、ミテキ・クドー、イリ・キリアン、ノエラ・ポントワ、モーリス・ベジャール、藤井美帆


『BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界』(1995年度作品)
ワールドツアーのレッスンに明け暮れるダンサー、教師、運営スタッフたちの姿をひたすら追い続けたアメリカン・バレエ・シアターの裏側。ダンサーだけでなく、裏方スタッフにもスポットを照らし「表舞台に立っているのはダンサーだけだが、舞台はキャストとスタッフの芸術への情熱が作り上げたものだ」と語っているかのよう。運営サイドが公演をどうやって成功に導いていくのか、キャストよりも運営サイドが熱くなっているのはなかなか興味深いです。アメリカン・バレエ・シアターを俯瞰で眺めることで、いろいろな側面を映し出すことに成功しているこの映画。でもこの映画が伝えていることはバレエだけでなく、エンタティメント界全体に通じることでもあるなあ~と感じますね。

監督: フレデリック・ワイズマン
出演: アメリカン・バレエ・シアターのダンサーたちほか


アカデミー賞でも話題になったバレエ映画の傑作

『リトル・ダンサー』(2000年度作品)
イギリス北部の炭鉱の町でボクシングを習っていたビリー少年(ジェイミー・ベル)がバレエに目覚め、その才能を開花していく物語。もちろんトントン拍子にいくはずはなく、ビリーがバレエの才能を発揮しても、炭鉱で働くガテン系の父親はバレエに大反対し、息子のことが理解できず、ぶつかりあってしまうのです。彼を支えるバレエ教師、オカマの親友とのふれあい、頑固親父との絆、母親とのエピソードなど、主人公がバレエに青春を懸ける姿とともに家族関係も丁寧に描いたことで、普通のサクセスストーリーよりもグッと深みを増した作品になっています。大人になったビリーをバレエダンサーのアダム・クーパーが演じているのも注目!アカデミー賞では監督・助演女優賞・脚本賞候補になりました。

監督: スティーヴン・ダルドリー
出演: ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ、ゲイリー・ルイス、ジェイミー・ドレイヴン、ジーン・ヘイウッド、スチュアート・ウェルズ、アダム・クーパー


『ブラック・スワン』(2010年度作品)
ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナ(ナタリー・ポートマン)が「白鳥の湖」で白鳥と黒鳥に抜擢されたことから、ニナの精神が常軌を逸していくというサイコスリラー。黒鳥を演じることに多大なプレッシャーを感じるニナが、実力派の新人バレリーナの存在に翻弄されたり、性に開放的になっていったり、まさに黒鳥に精神が侵されていく様を絶妙な恐怖演出で見せていきます。ヒロインが現実と妄想を行き来する様は、こわれゆく人を見ているような怖さがありゾゾっ。ニナの精神世界が映画の核であり、バレエ界のダークサイドを恐怖演出で描いた本作で、ナタリー・ポートマンはアカデミー主演女優賞を受賞しました。

監督: ダーレン・アロノフスキー
出演: ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダーほか


『愛と喝采の日々』(1977年度作品)
バレエを諦めて家庭に入ったディーディー(シャーリー・マクレーン)とバレリーナとして人気を博したエマ(アン・バンクロフト)が、お互い抱いていたわだかまりをぶつけあい友情を確認する物語。恋愛、結婚、妊娠はバレリーナにとって人生のターニングポイント。結婚して母親になっても「あのときバレエを選んでいたら」と人気バレリーナのエマをねたむディーディー。そこには女性バレリーナならではの葛藤が描かれています。そんな熟年世代の女性の友情を味わいつつも、往年のバレエファンが歓喜するダンサーたちの踊りも見られるのがこの映画の旨み。そのひとりミハイル・バリシニコフは、ディーディーの娘エミリア(レスリー・ブラウン)の恋人役として登場します。ちなみにレスリー・ブラウンもアメリカン・バレエ・シアターのバレリーナ。達者な芝居を見せて、アカデミー賞助演女優賞候補になりました。

監督: ハーバート・ロス
出演: シャーリー・マクレーン、アン・バンクロフト、ミハイル・バリシニコフ、レスリー・ブラウン、トム・スケリットほか


ドキュメントとフィクションがドッキング?多彩なバレエ映画

『バレエ・カンパニー』(2003年度作品)
実在するバレエ団を舞台にしたバレエダンサーたちの群像劇。ひとつの公演が出来上がるまでのバレリーナたちの苦悩が描かれます。バレリーナの恋愛や情け容赦ない交代劇など、臨場感あふれる演出でバレエ団の真実を映し出す……。主演のネーヴ・キャンベルが自ら企画を売り込んで作り上げた作品であり、元バレリーナの彼女は吹き替えなしで踊っています。

監督: ロバート・アルトマン
出演: ネーヴ・キャンベル、マルコム・マクダウェル、ジェームズ・フランコ、バーバラ・ロバートソン、スージー・キューザック、ウィリアム・ディックほか


『ダンシング・チャップリン』(2011年度作品)
フランスの振付家ローラン・プティが、ルイジ・ボニーノのために振り付けたチャップリンをモチーフにした「ダンシング・チャップリン」。この作品を周防正行監督が映画化。プティやボニーノへの依頼やレッスン風景を映し出した第一幕と、本編の第二幕で構成された異色のバレエ映画。周防監督のバレエ愛と、この映画のヒロインであり妻である草刈民代への愛がいっぱいつまった作品です。

監督: 周防正行
振付: ローラン・プティ
出演: ルイジ・ボニーノ、草刈民代ほか


『センターステージ』(2000年度作品)
アメリカン・バレエ・シアターの研修生になったヒロインが恋愛や挫折を乗り越えて卒業公演に挑む姿を描いたバレエ映画。嫉妬や羨望や苦悩を描きつつも前向きな勢いを感じる青春映画でもあります。卒業公演のシーンではバレエを存分に堪能できますよ。ヒロインのアマンダ・シュルはこの映画をきっかけにバレリーナから女優へと転向。またこの映画は2008年に続編『センターステージ2/ダンス・インスピレーション!』も作られました(日本未公開)。

監督: ニコラス・ハイトナー
出演: アマンダ・シュル、ゾーイ・サルダナ、スーザン・メイ・プラット、サシャ・ラデツキー、シャキーム・エヴァンズ、イーサン・スティーフェル、イリア・クーリクほか


『ホワイトナイツ/白夜』(1985年度作品)
ソ連からアメリカに亡命したダンサーとアメリカを捨てた黒人ダンサーが交流を深めていき、囚われの身からの脱出を試みるサスペンス映画。バレエ映画とは趣が異なる作品ですが、主人公を演じたミハイル・バリシニコフ、黒人ダンサーを演じたグレゴリー・ハインズともにダンサー。二人が躍るシーンは圧巻で、映画史に残るバレエの名シーンと言ってもいいほどです。

監督: テイラー・ハックフォード
出演: ミハイル・バリシニコフ、グレゴリー・ハインズ、イザベラ・ロッセリーニ、イエジー・スコリモフスキ、ヘレン・ミレン、ジェラルディン・ペイジ、ジョン・グローヴァー、マリアム・ダボほか


ほかにも『赤い靴』『オーロラ』『ラ・ピエトラ 愛を踊る女』『愛と哀しみのボレロ』などバレエ映画はあります(ただ私が見ていなかっただけ……すみません)。バレエ公演で鑑賞するのがバレエファンの王道でしょうが「ちょっと興味がある」というビギナーは、まずはバレエ映画から入ってみては?美しくも厳しく、どこか儚いバレエの世界は秋にピッタリだと思います。


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