アドバイス1 夫の返済はすべて夫のボーナスから
家計管理やマネープランで抱えている不安を解決するには、さまざまな借り入れを完済する、貯蓄ペースを上げるなど、いくつか具体策はありますが、結局のところ、ご主人の資産内容を、ご相談者のもかさんが把握しなくては根本的な問題解決にはならないと思います。ご主人名義の貯蓄額や投資商品の評価額、保険であれば保障内容と保障額、そして他に借り入れはないのか。少なくともこの程度は、知っておきたいところ。これまでは、資産内容を共有したくても、ご主人がそれを拒むという状況で、それができなかったわけですが、何とか工夫して共有できるようにしてください。最終的には、ご夫婦が今後生きていく上で、ライフプランに不可欠だと、真剣に向き合って話し合うしかないと思います。
ある程度共有できたとして、次に家計管理を見直していきます。
まず、現時点で、家計を不安にさせているご主人の支出ですが、大学院費用は交通費も含めて、ご主人が考えているように、投資商品を売却して捻出してもらう。また、毎月10万円のカードの引き落としやローンの支払いについても、毎月の生活費の予算とはいっしょにせず、ご主人のボーナスから支払う。
そのかわり、ボーナスの使いみちには全額ご主人の自由裁量にしてはどうでしょう。本人の毎月のお小遣い込みで、自分で好きに使っていいということ。もちろん、そこも管理したいところですが、縛り過ぎが逆効果となる可能性もあります。ボーナスに関しては緩めてもいいと思います。ただし、絶対、新たにカードローンやキャッシング、クレジットのリボ払いなどはしない。そこは夫婦間のルールとして決めてください。
アドバイス2 財布を一つにして妻が一括管理
一方、毎月の給与はご主人の分も含めて、もかさんが全額管理する。財布を一つするということです。もかさんであれば、家計を工夫して、今より貯蓄ペースを高めることは難しくないはずです。とは言っても、現状で毎月7万円、ボーナスから年間64万円貯蓄できるのですから、それなりにいいペースで貯められています。「なんでこんなに赤字になるのかもわからない」と、言われていますが、現在預金が少ない、いろいろ予期せぬ支出が増え、計画的に貯められないということが重なったので、そう感じている部分もあるかと思います。必要以上に、家計を不安視しない方がいいでしょう。
まず、基本は今の貯蓄ペースを維持して、目標としてはご主人の給与だけで生活し、もかさんの給与は全額貯蓄。「夫のカードの引き落とし10万円」が毎月の生活費から消えて、クルマのローンも終われば、あと月3万5000円ほどの節約で達成できます。焦らず、いろいろ工夫して見てください。
アドバイス3 子ども1人、住宅2000万円なら可能
次にお子さんと住宅購入について。お子さんですが、教育費と養育費(食費など)でおおよそ1人1500万円。児童手当の支給総額が約200万円ですから、実際にかかってくるコストは1300万円。これが無理なく用意できればいいわけです。
仮に、徐々に貯蓄ペースが上がり、3年後に先の目標額で貯蓄できるとします。また、出産と育児で一定期間、もかさんは減収となるものの、育休後に職場復帰できるとすれば、貯蓄ペースは戻ります。来年出産したとすると、そのときご主人42歳ですから、定年までは18年間で、今ある貯蓄と合わせて、4400万円くらい貯められそうです。そこから、子どもの費用を差し引くと3100万円が残ります。
次に住宅購入ですが、物件価格2000万円の中古マンションを頭金500万円で購入したとします。借り入れ1500万円で25年返済、全期間固定で金利1.5%とすると、総返済額は1800万円。これに住宅購入かかる諸費用100万円とすると、計1900万円。これを、頭金500万円とともに、先の3100万円から差し引けば、700万円となります。
ただし、毎月の住宅ローンの返済は約6万円(ボーナス払い併用せず)。これに管理費や修繕積み立て金、駐車場代、さらに固定資産税を月割りで加算すると、住宅のランニングコストは毎月10万円前後にはなりそうです。現在の家賃より約1万円アップしますので、年間12万円、定年までの18年間で約220万円を貯蓄から差し引かなくてはなりません。さらに、お母さんに返済する自動車購入資金100万円もありますので、定年時に手元に残る資金は380万円。これにご夫婦の退職金を加算すれば、それが老後資金となります。
退職金の支給額は不明ですが、ご主人が公務員ですから、平均2000万円ほど(地方公務員、一般職員の場合)。これに、もかさんの退職金も加えれば、トータルで3000万円は用意できるのではないでしょうか。
この額が老後資金として十分かどうかは断定できませんが、ご夫婦とも老齢厚生年金が受給できることと、現在の生活費を考えれば、大きく不足するとは考えにくいでしょう。しかし、できればご主人は住宅ローンがほぼ完済となる65歳までは、働くことが必要だと思います。そこをクリアできれば、お子さん1人、2000万円の住宅購入は、資金的には不可能ではないということになります。また、試算どおりがきびしいなら、物件を1500万円まで下げれば、トータルで700万円程度資金的に余裕ができます。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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