ローンを抱え、貯蓄はゼロ。家計再建のアドバイスをお願いします

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、うつ病の夫を抱え多額の借金を抱えてしまった30代の主婦の方です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)


夫の借金を抱えて貯金はゼロ円

夫の借金を抱えて貯金はゼロ円



■相談者
ハナボウさん(仮名)
女性/会社員/37歳
賃貸住宅

■家族構成
夫(無職/40代)、子ども1人(小学2年)

■相談内容
旦那がうつ病で精神障害手帳もありますが、3級相当とのことで年金(障害基礎年金)は受給が出来ません。手取りは副業して23万程度あれば生き延びられる状態です。自動車ローンの他、複数のカードローンに社会福祉協議会からも借り入れをし、親兄弟にも借金をしています。どれを優先して返済すべきか、どうすれば貯蓄できるか、わかりません。そもそも「出来ちゃった結婚」だったため、用意が整っていない状態で出産して現在に至っています。そのため、家族や周りの方々に助けて頂いていてなんとかここまでやってきました。今後、その方たちへの恩返しとして、これ以上、周囲に迷惑を掛けず、お金も返していくようにしたいと思います。貯蓄もし、子供を高校まで出す事が現在の夫婦の目標です。どうすれば家計再建ができるか。夫婦で取り組んでいきますので、アドバイス頂けると非常に幸いです。

■家計収支データ
「ハナボウ」さんの家計収支データ

「ハナボウ」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)障害年金について
夫の病気はH15年頃から兆候がありその後に通院。障害者申請はH23年。通院時が国民年金だったため、対象は障害基礎年金となるが、主の状態は3級程度と診断され、年金受給はできない(支給対象となる1級、もしくは2級)。

(2)妻の副業について
試食販売員。休日のみ月2回程度で収入は2万円前後。体力が持つ場合は月4回~5回行うが、その場合、かなり体力的にきついとのこと。

(3)夫の病状と仕事について
現在、うつ病で障害者手帳2級所持。H23年には障害者枠で採用されたが、状態が悪くなり2年後には退職、以降は無職。子供が学童に入る事を拒否していることもあり、自宅で専業主夫に専念している。現在もパート対応出来る場所を探しているが時間にあう場所が見つからない。精神科の主治医からも短時間半日程度勤務に収めるようにした方がいいと言われている。希望の収入は5万円程度。現在、糖尿病も併発していて重度ではないが薬をもらっている。

(4)借金について
カードローンは、まずA社カードの残高50万円ほど。2、3年前から滞納していて、簡易裁判を起こし、今は月々3000円、自動車ローンが終わったら月々8000円の返済ということになっている。B社カードも70万円ほど滞納。こちらは現在、請求が止まっている状態。社会福祉協議会からは120万円。相談者の収入が一時的に減少したときに借入。こちらも連絡し、交渉して返済は止まっている状態。過去、C社カードから150万円、D社カードから50万円を借り、ひとつ前の中古車の残債も30万円(事故したので新車に乗り換え)ほどあったが、すべて相談者の親兄弟に返済してもらった。

その他に、出産費用や職場復帰までの生活費も合わせて200万円以上は助けてもらっている。相談者いわく「親は、私が大学に行かなかった分のお金があるので使えということだった」とのこと。それ以外にも、両親や妹より適宜お金を借りた。しかも、ランドセルや自転車など子供に関わるお金は惜しみなく出してくれるため、いつも申し訳ない気持ちになっているとのこと。

(5)実家と相続について
妻側の実家は現在、両親が住んでいる。実家は未婚の兄弟が引き継ぐという話になっている。実家は築50年の木造一戸建て。父親にはいくらか貯金はあるようだが、母親の体調が悪く、その治療等に使う予定。両親が他界した後は、妹が住むか、相談者が住むか、あるいは売却するかは未定。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス

アドバイス1 「恩返し」は家族が元気で過ごすこと
アドバイス2 「貯蓄ゼロ」が今抱えている最大のリスク
アドバイス3 ご主人の社会復帰は焦らず慎重に

アドバイス1 「恩返し」は家族が元気で過ごすこと

相談文、拝見しました。

その中に「これ以上、周りの方に迷惑を掛けず、恩返しをしたい」とあります。ここで言う「恩返し」が、借りたお金の返済だとお考えなら、それは少し違うと思います。現状を考えれば、返済は容易ではありません。

今目指すべきは、ハナボウさんの家族3人が元気で過ごすことです。そうすれば、これ以上借り入れを増やさず暮らせるはずです。少しずつ将来の蓄えもできるかもしれません。それこそが今できる「恩返し」です。お金を工面してくれた周囲の人たちもそう思っているのではないでしょうか。

ハナボウさんは、家族を支えるためにこれまでよく頑張ってこられたと思います。そして今後も支え続けなくてはいけません。したがって、返済のために無理をして倒れでもしたら、それこそ元も子もありません。お子さんもご主人も経済的に立ち行かなくなります。そして、それこそがもっとも避けたいリスクなのです。

支出を抑える意識も必要ですが、しっかり食べることが最優先です。そして家族の健康に気を配る。健康という前提があってこその、家計の見直しや再建なのです。

そして、家計の再建が落ち着き、余裕ができたときにハナボウさんが考えている恩返しを行うようにしてください。何も恩返しを行わないとハナボウさん自身も落ち着かない、あるいは納得がいかない面があるでしょうから・・・。

アドバイス2 「貯蓄ゼロ」が今抱えている最大のリスク

とは言え、データにある家計支出については見直す部分はほぼありません。ここから何かを削るのは難しいでしょう。しいて言えば、自動車ローンの返済が終わればその分、家計がラクになりますが、繰上返済は資金的に不可能ですから、完済まであと2年待つしかありません。

ローンは何が優先かという質問がありましたが、ルールに従って返済できるものから順次返済していく。そういう考えで構いません。

家計改善に可能性があるとすれば、不定期支出です。収支だけを見れば、月5万円は黒字になります。このうち、どれだけ支出に回ってしまうのか。年間で見れば、自動車税や車検、自動車保険の保険料、さらには医療費等の不定期な支出もあるはずです。ボーナスが少額ですから、結果的に毎月の生活費の負担になるでしょう。しかし、中には無駄な支出、使途不明金があるかもしれません。そこを削っていくことになります。

今抱えている家計リスクは、貯蓄がまったくないということ。まとまった支出に対しては、また借り入れをするしか対処法がないですが、これ以上キャッシングや銀行ローンを利用することは避けなくてはいけません。予期せぬ支出の備えとして、少額でも余れば貯めていくという意識は持ってください。

アドバイス3 ご主人の社会復帰は焦らず慎重に

支出を削れないなら、収入アップということになります。ですが、ハナボウさんの副業も月2回が限界ではないでしょうか。先ほども述べましたが、無理をして体を壊すことがあってはなりません。

また、ご主人の職場復帰は今後の家計改善の大きなポイント。ハナボウさんが書かれているように「月5万円」でも稼ぐことができれば、毎月確実に貯蓄することも可能です。ですが、個人的には焦るべきではないと思います。

もしも職場復帰に失敗したら、今以上に症状を悪化させてしまうのではないでしょうか。主治医の方は「まずは半日くらいから」と言われているようですが、私は、職場環境が許すなら日に2時間程度の就業から始めてほしいと考えます。

収入アップという意味では、公的なセーフティネットを積極的に利用していくことです。確かに、障害基礎年金の場合は障害等級で1級および2級のみが支給となり、3級程度は対象外です。ただし、もし市区町村での確認であれば、福祉事務所などにも足を運んでみてください。有効なアドバイスが得られるかもしれません。そして今後、本当に生活が苦しくなった場合は、悩まずすべての公的支援に対してアプローチをすべきです。

今後の目標としては、お子さんが中学するまでに家計が黒字で回り、貯蓄できる家計にしていく。不確定要素もありますが、各種ローンの返済が終わり、ご主人が職場復帰を果たせば光は見えてきます。それまでは少なくとも現状維持に努め、これ以上借り入れをしないこと。家族で協力をし合いながら、ぜひ頑張ってください。

相談者「ハナボウ」さんより寄せられた感想

この度は、選んで頂き有り難うございました。自分の行っている状態・家計が間違っていないのだと安心しました。車のローンが終わるのが、来年で、見通しは見えているのですが、より明確にわかって本当によかったです。アドバイスを元に頑張っていきます。誠に有り難うございました。また、アドバイスをくださった深野様にも感謝しています



教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  

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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ



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