分散投資についての誤解とは

先日、投資関係のイベントに参加し、個人投資家(投資経験数十年の人から、これから投資を始める人までさまざま)の話を聞く機会がありました。それぞれの投資スタイルや投資信託選びの基準などについてお話を伺う中で、数人の方から気になる意見がありました。それは「十分に分散投資されている投資信託を選びたい」「インデックス投信は分散投資が効いていて安心」といったものです。

言葉の真意を確認する時間はありませんでしたが、分散投資について誤解があるかもしれないと思いました。オールアバウトの読者の方々の中にも、もしかしたら分散投資に誤解あるいは過度の期待を持っている方がいるかもしれないと思い、この記事を書くことにしました。
分散投資はリスクを抑える基本

分散投資はリスクを抑える基本


通貨の分散、種類の分散、時間の分散、には意味がある

分散投資とは、値動きの異なる複数のものに同時に投資することでリスクを抑える手法です。日本の株式だけに投資している場合、日本の景気が悪くなって株価が下落してしまうと、資産が大きく減ってしまいます。

しかし、日本の株式だけでなく、日本の債券・不動産(REIT)、外国の株式・債券・不動産(REIT)など、通貨や種類が異なるものに資産を分散させておけば、日本株式が値下がりしても他のものが値上がりして、資産全体としては利益が出る、または大きな損失にならずに済むというわけです。

日本の景気が悪くても他の国は好調ということはよくありますし、株価が下がるようなときには債券が値上がりする傾向があります。また通貨は「円高ドル安・円安ドル高」というように、片方が安くなれば必ずもう片方は高くなるという関係にありますので、複数の通貨に分散投資することは為替の見通しが外れてしまった場合のリスクを抑えることになります。

不動産や商品などは、株式や債券とは異なる理由で値動きすることが多く、これらも組み込むことでさらにリスク分散になると考えられます。

何回にもわけて購入する、時間の分散も有効です。最安値でまとめ買いできれば理想的ですが、その見極めは難しく、買う決心がつかないまま買いそびれてしまっては元も子もありませんので複数回に分けて買うのです。

毎月一定額ずつ積立で買う方式では、値段が安くなっている時にはたくさん購入でき、値段が高くなっている時には少量しか買わずに済むので、平均購入単価が抑えられます。時間の分散は合理性のある方法といえるでしょう。

銘柄の分散、分散しすぎは逆効果?

では、銘柄の分散はどうでしょうか。1銘柄よりは複数銘柄に分けたほうがリスク軽減になりますが、投資先が多ければいいというものではありません。

たくさんの日本企業に投資している投信といえば、日本株式インデックスファンドがあります。インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIXなどのベンチマーク(運用指標)と同じような値動きをするように設計されています。どう設計すれば値動きが似るかというと、日経平均株価に連動させるなら日経平均株価の算出対象になっている225銘柄に幅広く投資するのです。

しかし、ここでよく考えてほしいのです。すごくたくさんの銘柄に投資するということは、銘柄選別がかなり緩いということです。すると成長性のある優良企業だけでなく、ダメダメ企業が紛れ込む恐れも多くなります。上場企業だからといって、すべてが経営戦略がしっかりしていて将来性があるとは限りません。

ダメダメ企業に投資してしまうことは、値下がりのリスクを増大させてしまいます。利益を得るために投資を行っているのに、わざわざダメダメ企業に投資する必要はないと思いませんか。

有名な投資家、ウォーレン・バフェットが富を築いた手法は、「株式集中投資」です。バフェットは複数の株式銘柄に投資していますが、そこにダメダメ企業など紛れ込ませません。優良な企業を選びに選び抜いて、それらだけに集中して投資したのです。

バフェットのような企業分析の力がない私たち一般の人たちが真似をするのは困難ですが、むやみに分散投資すればいいというものではないということは分かると思います。インデックスファンドがまったくダメだと言っているのではありません。良さもあります。

インデックスファンドをお勧めする理由

インデックスファンドにはダメダメ企業が紛れ込んでいる恐れが高いと書きましたが、それでも私が日本株式インデックスファンドをお勧めする場面はあります。それは、投資が初めてという人が最初に買う投資信託はどれがいいかと聞かれた場合です。お勧めする理由は、たくさんの銘柄に分散投資されているからではありません。なんといっても「分かりやすいから」です。

日経平均株価やTOPIXの値は、わざわざ証券会社のサイトを見に行かなくても、普通のテレビニュースで紹介されますし、その際に「アメリカの雇用統計が~」「円安になったことから~」など、値動きの理由が一言説明されます。すると、今日は私の投信も値上がりしたんだな、アメリカの雇用状況が私の投信にこういう影響を与えるんだな、とわかります。

それを繰り返すうちに、どんなニュースの時に株価がどう動く傾向があるのかなどの知識が身に付き、情報にアンテナを張るようになります。すると、次は個別銘柄に投資してみようかなと意欲がわいてきます。投資が初めてという人でも、自分で判断して売買してみたいという人にはETFをお勧めしています。

分散投資に、ダメダメ企業をいれない!

分散投資に、ダメダメ企業をいれない!


ダメダメ企業に投資しないために

むやみに分散投資するのではなく、よい銘柄にしぼって分散投資するにはどうしたらよいかですが、調べものが好きな人は、自分で銘柄研究して選別するのがよいと思います。投信手数料のようなコストはかかりませんし、なにより調べるのが楽しいと思います。人生の貴重な時間を使うのですから、楽しいと感じるかどうかはとても重要です。

企業の経営戦略や業界の動向を調べ、将来的な展望を考えます。バフェットのようにROE(株主資本利益率)を見て、効率的な経営を行っているかを確認します。ただし、個別の銘柄を複数選んで投資するにはそれなりの資金が必要です。

調べものが好きじゃない人、ほかのことに時間と労力を使いたい人、少額で投資を行いたい人には、アクティブ運用の投信があります。私自身は、楽しみとして個別銘柄も持っていますが、老後に向けて貯めて増やすお金に関しては投信積立派です。

たとえば、成長性のある日本企業15~20社くらいを厳選して投資している投信を購入しています。ROEの確認くらいなら私にもできますが、経営戦略の評価や業界動向の見極めはなかなか難しいです。

運用会社は企業の経営陣との面接を行い、その企業がよりよい方向に向かうように助言を行いますが、そういった活動を活発に行っているファンドマネージャーを信頼しました。私個人では出来ない銘柄選定の活動です。そして、成長性への投資ですから、この投信は長期間持ち続けていく予定です。

投信を選ぶ際は、どんな基準で銘柄を選んでいるかや運用指針を確認し、過去の実績も見ます。過去の実績は将来を約束するものではありませんが、そのファンドを信用できるかどうかの判断材料になります。ファンドマネージャーが心血注いで、これはいい!と思った企業を厳選していますので、ダメダメ企業が紛れ込むことはないでしょう。

途中からダメダメに成り下がった企業があったら、即、除外してくれるはずです。私が選んだ投信は少ない銘柄への分散投資しかしていませんが、ダメダメ企業が入っていないだけあって、過去の実績ではTOPIXなどの指数よりもリターンが高いうえに、なんと、リスク(価格のブレ幅)が小さくなっていました。分散投資すればするほどリスクが減るというものではないのです。

投信手数料は高くても

そういった投資信託は手数料が高いです! インデックスファンドとは違い、ファンドマネージャーの知恵や労力が使われているからです。その手数料を支払ってでも、得られるリターンが多ければよいのではないでしょうか。

資産運用でコストに気を配ることはとても大切なことですが、手数料が安い投信は良い投信、高いものは無駄、という最近の風潮はどうかと思います。まったく同じ内容のものなら安く利用できるほうがよいのは当然ですが、内容の異なるものを並べて手数料だけを比較して優劣つけるのはおかしな話です。

分散投資はリスクを抑える有効な方法です。通貨や種類(株式、債券など)を分散させた上でさらに、優良でない銘柄を組み込まない工夫をし、効率よく資産を増やしていきたいものです。

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