保有する投資信託がどのくらい儲かっているか把握してますか?

投資信託の利益計算の方法は

投資信託の利益計算の方法は

ファイナンシャル・プランナーとして資産運用の相談を受けていると、保有している投資信託が、結局儲かっているのか、損しているのか、きちんと把握できていない人がかなり多くいらっしゃいます。これはある意味、仕方がないかもしれません。従来、投資信託の利益計算はとてもわかりづらいものだからです。

投資信託の利益計算がわかりづらい理由

国内には5000本を超える投資信託がありますが、そのうち毎月分配型の投資信託は1500本を超えています。

毎月分配金を受け取っている投資家のなかには受け取った分配金をすべて利益だと勘違いしている人も少なくありません。これは投資信託の分配金が利益分だけではなく元本を取り崩して支払いが出来てしまうことが原因です。

さらに、分配金に関する税金が複雑なことも投資信託の損益状況を把握しづらくしている理由の一つです。金融機関から送られてくる計算書(損益表示)は税金の計算をするためのものであり、最終的にどれくらい儲かっているのか損しているのかを表すトータルリターンは、自分で計算しないと分かりません。

また、「分配金の支払いはその分だけ基準価額を引き下げる」といった投資信託の仕組みそのものを理解していない人も多く見られます。

投資家にとっては、本来は手数料も含めて払い込んだ(投資した)総額と最終的に受け取れる金額が、どのくらい増えたのか、減ったのか、が重要なはず。

では、どのように把握したら良いか、詳しくみていきましょう。

投資信託の利益を計算してみよう

Aさんが基準価額(1万口あたり)10,000円で購入した投資信託が、1年後に12,000円まで上昇しました。分配金も毎月受け取っています。さて、Aさんが今、投資信託を解約したら、どのくらい儲かったことになるのでしょう。

投資信託の利益を計算する

投資信託の利益を計算する



例) 基準価額10,000円で購入 → 基準価額12,000円で売却

「個別元本」は投資信託を購入したときの値段のことです。複数回に分けて購入した場合は、平均の購入価額になります。

「取得単価」は個別元本に購入手数料(税込)を加えた価額を表します。

「評価額」は「12,000円×600,000口÷10,000口(10,000口は基準価額の表示単位)」、「評価損益」は「(12,000円−10,100円)×600,000口÷10,000口」で求められます。

投資信託の利益(トータルリターン)=「売却益」+「分配金」

トータルリターンとは「売却による利益」と「受け取った分配金」の合計額です。
残高報告書の評価損益は「+114,000円」と表示されますが、これはあくまで税金を計算する過程で使われる参考金額です。売却時には信託財産留保額というペナルティがかかる場合もあります。そこから税金も差し引いた残りの金額が、Aさんの手取りの利益になります。

税引き前の受取額は、次の式で求めます。

・売却時の受取額=(売却時の基準価額−信託財産留保額)×保有口数÷10,000口
Aさんの保有する投資信託が、売却時に仮に0.5%の信託財産留保額がかかるものとすると、Aさんの受取額は、
{12,000円−(12,000円×0.5%)}×600,000口÷10,000口=716,400円
となります。

この受取額と購入時に支払った総額(投資金額+手数料)の差額が売却益となり、その売却益に対して税金がかかります。

税引き後の利益に、これまでに受け取った分配金(税引き後)の総額を足して、ようやく、この投資信託に投資したことによるトータルの利益が分かります。

Aさんが当初支払った金額が606,000円(手数料込)だとすると、売却益は、716,400円—606,000=110,400円(売却益)となります。現在の税率は20.315%なので、かかる税金は110,400円×20.315%=22,428円となります。

これまでに受け取った分配金の総額が12,000円(税引き後)だったとすると、Aさんのトータルリターンは、110,400円-22,428円+12,000円=99,972円となります。

トータルリターン通知制度

このように、従来、投資信託のトータルの損益は非常に把握しにくいという問題点がありました。そこで2014年12月から、「投資信託のトータルリターン通知制度」が始まりました。本制度は、販売会社から投資信託ごとのトータルリターンが通知されます。「受取分配金」と「解約金額」の合計額から「手数料を含む投資金額」を差し引いた金額が表示され、どのくらい増えたのか、減ったのかが、運用期間中に把握できます。投資家にとっては非常に便利な制度です。

一律に適用となるのは、2014年12月1日以後に顧客が新規に買付した投資信託に限られます。2014年11月30日以前から顧客が保有している投資信託については、いつまで遡って適用するのかは販売会社によって対応が分かれています。

また、累計受取分配金を税引後とするのか税引前とするのか、外貨建の投資信託のトータルリターンを外貨ベースで計算するのか円ベースで計算するのかなど、販売会社により対応が異なりところもありますので、こういった点には注意が必要です。

トータルリターン通知制度の導入で保有する投資信託の損益状況がだいぶ分かりやすくなりました。まずはご自身の保有している投資信託の損益状況を把握して、自分に合った資産運用プランを考えましょう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。