内閣府による「月例経済報告」では、このところ「景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」「景気は、緩やかな回復基調が続いている」といった表現が並んでいるものの、なかなか景気回復を実感できない人も多いのではないでしょうか。

そのような中で増加し続けていた、国内銀行の不動産・建設向け融資も伸びが止まり、2017年6月における「貸家」(アパートなど)の着工戸数は、20か月ぶりの減少となりました。

融資の抑制が不動産市況にどう影響してくるのかはまだ分かりませんが、不動産を取り巻く環境がいろいろな面で変わりつつある段階だといえそうです。

国土交通省から「地価LOOKレポート」の第39回分(2017年第2四半期の動向)が発表されましたので、住宅地を中心にその動きを確認しておくことにしましょう。



全体的に緩やかな地価上昇傾向が続いているが……

あべのハルカス

大阪、名古屋は住宅系地区、商業系地区とも上昇が続くのに対し、東京は異なる動きが定着!?

地価LOOKレポートは「先行的な地価動向を明らかにすること」を目的として国土交通省が3か月ごとに発表しているもので、2007年第4四半期分から始まり今回が39回目です。

調査対象の100地区のうち、上昇が前回から1地区増えて86地区、横ばいが前回から1地区減って14地区でした。下落は12回(3年)連続でゼロとなっています。

名古屋圏は17回(4年3か月)連続ですべての地区が上昇、大阪圏は18回(4年6か月)連続で下落地区がゼロ、東京圏および地方圏は12回(3年)連続で下落地区がゼロとなった一方で、「6%以上」の上昇地区も3回連続のゼロであり、上昇傾向が強まっているわけではありません。

また、「上昇幅の縮小、上昇から横ばいへ」などマイナス方向への推移地区は、4回前が10地区だったのに対し、その後は3地区、2地区、2地区と落ち着いた状態になっており、全体的に変化が少ないといえるでしょう。

なお、地価LOOKレポートにおける調査対象のうち、住宅系地区は32(東京圏14地区、大阪圏10地区、名古屋圏3地区、地方圏5地区)です。


 【地価LOOKレポート】 (国土交通省サイト内へのリンク)

第36回 2016年第3四半期
(2016年7月1日~2016年10月1日)

第37回 2016年第4四半期
(2016年10月1日~2017年1月1日)

第38回 2017年第1四半期
(2017年1月1日~2017年4月1日)

第39回 2017年第2四半期
(2017年4月1日~2017年7月1日)

地価LOOKレポートには地価動向(総合評価)のほか、取引価格、取引利回り、取引件数、投資用不動産の供給、オフィス賃料、店舗賃料、マンション分譲価格、マンション賃料の動向(それぞれ3区分)が記載されています。


地価LOOKレポートでは地価やその変動率について具体的な数値を示すのではなく、6%以上の上昇、3%以上6%未満の上昇、0%超~3%未満の上昇、横ばい(0%)、0%超~3%未満の下落、3%以上6%未満の下落、6%以上9%未満の下落、9%以上12%未満の下落、12%以上の下落の9段階に分類されています。


住宅系地区は東京都だけ異なる地価動向が続く

住宅系地区では上昇が22地区(うち1地区は3%以上6%未満の上昇)、横ばいが10地区で、いずれも前々回、前回と3回連続で同じ結果でした。

住宅系地区の変動 (地区数の全国計)

区 分
第35回
第36回
第37回
第38回
第39回

上昇 (6%~)
0
0
0
0
0

上昇 (3%~6%)
1
1
1
1
1

上昇 (0%~3%)
28
22
21
21
21

横ばい (0%)
3
9
10
10
10

下落 (0%~-3%)
0
0
0
0
0

下落 (-3%~-6%)
0
0
0
0
0

下落 (-6%~-9%)
0
0
0
0
0

下落 (-9%~-12%)
0
0
0
0
0

下落 (-12%~)
0
0
0
0
0

合  計
32
32
32
32
32

住宅系地区では札幌市中央区(宮の森)が7回連続して「3%以上6%未満」の上昇となり、上昇は23回(5年9か月)連続となっています。また、兵庫県芦屋市(JR芦屋駅周辺)は27回(6年9か月)連続の上昇でした。

西日本では京都市左京区(下鴨)で横ばいが続いているのを除き、それ以外はすべて上昇が続いています。それに対して東京都内の8地区は横ばいが続き、そのうち7地区は4回(1年)連続の横ばいとなっています。

住宅系地区において、東京都以外の横ばいは千葉県柏市(柏の葉)と京都市左京区(下鴨)だけであり、対照的な動きが定着してきた印象もあるでしょう。

公示地価などでは上昇が続いている東京都の住宅地ですが、今後の動向に注目しておきたいところです。


商業系地区の上昇割合は過去最高を更新

商業系地区では上昇が前回から1地区増えて64地区、横ばいが前回から1地区減って4地区となっています。上昇地区の割合は94.1%で、地価LOOKレポートが始まってからの過去最高を前回に続いて更新しました。

しかし、3回連続して「6%以上」の上昇地区はゼロで、「3%以上6%未満」の上昇地区も減っています。全体的に緩やかな上昇だといえるでしょう。

なお、名古屋市中村区(太閤口)が10回連続、名古屋市中村区(名駅駅前)、大阪市中央区(心斎橋)、福岡市博多区(博多駅周辺)の3地区が9回連続、大阪市中央区(なんば)が8回連続、札幌市中央区(駅前通)が7回連続、仙台市青葉区(中央1丁目)が5回連続で「3%以上」(3%以上6%未満、または6%以上)の上昇となっています。

商業系地区の変動 (地区数の全国計)
 
区 分
第35回
第36回
第37回
第38回
第39回

上昇 (6%~)
3
2
0
0
0

上昇 (3%~6%)
10
9
11
9
8

上昇 (0%~3%)
46
48
51
54
56

横ばい (0%)
9
9
6
5
4

下落 (0%~-3%)
0
0
0
0
0

下落 (-3%~-6%)
0
0
0
0
0

下落 (-6%~-9%)
0
0
0
0
0

下落 (-9%~-12%)
0
0
0
0
0

下落 (-12%~)
0
0
0
0
0

合  計
68
68
68
68
68



住宅系地区における過去1年間の地価動向を一覧にして、次ページにまとめてありますので、これまでの変化を知るための参考にしてください。


住宅系地区の地価動向推移…次ページへ