門前町の賑わいと落ち着いた住環境を享受
蕎麦に寿司、鰻やお茶請けといった和の老舗名店はおよそ門前町に見ることができる。江戸時代、それに船着場が合わさると一大繁華街に発展した。毘沙門天と神楽河岸の「神楽坂」、善福寺と一の橋の「麻布十番」はその代表的なものである。鉄道交通が発達した明治以後も街の人気に変わりなく、今に至る。両者についていえば、共通点がもう一つ。南傾斜地に広がり、その高台周辺は落ち着いた住環境が形成されていることだ。「麻布十番商店街」から山手に向かった一帯が「元麻布」である。大名屋敷庭園の趣を残す「有栖川宮記念公園」を取り囲むように高級マンションが点在。エリア最大の特色は欧州、アジアを中心とした大使館の集積であろう。教育機関や商業施設等、国際色豊かな街の景色が印象的だ。
「グランドヒルズ元麻布」の現地は「暗闇坂」坂上である。斜め向かいに「オーストリア大使館」。交通アクセスは地下鉄南北線「麻布十番」駅より徒歩4分。駅徒歩5分以内であることはもとより、「麻布十番商店街」に程近い利便は何よりの魅力。門前町として発展してきた沿革と緑豊かな落ち着いた住環境の併存が立地の特長である。
住友不動産が商品企画にこだわる理由
昨今マンション市場における「購入検討者の資産価値重視」がいわれて久しいが、建物の資産性に真っ先に取り組んだ大手デベロッパーは他ならぬ住友不動産だと記憶している。単独オーナーの意思ひとつではどうにもならない共用部、具体的には「外観」と「エントランス」にことさらこだわり続けた。発想の原点は入居者の声、つまり顧客志向である。過去記事:「デベロッパーのDNAとマンションブランド No.4」参照Q.「グランドヒルズ元麻布」建物の注目点は?
同社住宅分譲事業本部長 青木斗益取締役が挙げたポイントは「3つ」。「外観とエントランスのグレードは当然。さらに今回は、パーキングスペースへの動線空間もエントランスホール同等の設えを目指した」(同)天然石の壁面や天井・照明のデザイン、そして「車寄せ」へは1階内廊下から「サブエントランスホール」と「風除室」を通って直接到達できるのだが、驚くことにこれらすべてが吹き抜けである。
他2点は「外観の美しさを高めるため、給湯器や換気口といった設備を視界に入らないよう工夫を」「プライバシー性の向上を図り、3階以上は内廊下に扉を設け2基設置したエレベーターの使い勝手を最高で2戸一(5階)とした」(同)。
Q.住友不動産マンションシリーズ、ハイライン「グランドヒルズ」はじつに8年ぶり。ここまで間が空いたのはなぜ?
「特に理由はない。たまたま適した用地に巡り合えなかっただけ」(前出・青木氏)
Q.「グランドヒルズ」になり得る条件は?
モデルルーム
「グランドヒルズ元麻布」を皮切りに、同シリーズは今後「目黒一丁目」「南青山」「目白」が控える。高級マンション市場の活性化を期待したい。
「グランドヒルズ元麻布」は現在「総合マンションギャラリー田町館」でモデルルームを公開中。分譲開始は2017年8月下旬予定。販売坪単価は@800万円~@1000万円のレンジで住戸によって幅がありそうだ。
【参考記事】
「シティタワー武蔵小杉」竣工内覧会の印象