そもそもソーシャルビジネスとは何か?
ソーシャルビジネスとは、社会問題の解決を目的としたビジネスのことを指します。解決にあたる社会問題は、高齢者や障がい者の方たちの介護・福祉、子育て支援、まちづくり、環境保護、地域活性化など多岐に渡ります。人々の価値観やニーズが多様化し、国や地方自治体といった行政だけでは社会問題への対応が難しくなっている中で、社会問題を「市場」として捉え、それを解決するための取り組みを、事業活動として展開する「ソーシャルビジネス」に注目が集まっています。
一般的なビジネスやボランティアとの違いは何か?
では、ソーシャルビジネスは一般的なビジネスやボランティアとどう違うのでしょうか。ソーシャルビジネスと一般のビジネスの違いは、「目的」にあります。一般的なビジネスは「利益の最大化」が目的ですが、ソーシャルビジネスは、「社会問題の解決」が目的です。ソーシャルビジネスは、民間ではこれまで目を向けられなかった問題に対して、解決に取り組んでいくため、一般的なビジネスと比較すると、緊急性や難易度が高いことが特徴です。
ソーシャルビジネスとボランティアの違いは、「収益活動」にあります。参加者が自発的に活動を行い、活動資金を外部に依存するのがボランティア活動ですが、「社会問題の解決」のためには2つの問題点があります。
1.外部資金に依存しているため、継続的・即時的な活動が難しい。
2.参加者自らの生活が困難になる可能性があり、活動から離れる人が多い。
一方、ソーシャルビジネスはビジネスの手法を用いる、つまり、利益を上げる仕組みを自ら作るため、スピード感を持って社会問題に取り組むことが可能です。また、生活資金を稼ぎながらの活動のため、継続的にも取り組むことができます。
さらに、ビジネスであることが、支援する側と支援される側の垣根を取り払うことが可能となります。一方的な援助ではないため、支援する側と支援される側が対等な立場で向かい合うことができ、目標達成に共に取り組む一体感が生まれることも魅力の一つです。
ソーシャルビジネスに取り組むにあたってのハードルは?
社会問題の解決を目的としたに新しい取り組みとして注目されているソーシャルビジネスですが、事業を展開していく上で解決すべき課題があります。それは、人材の確保や売り上げの増加、運転資金の確保などです。
また、ソーシャルビジネスが対象となる分野は、以下のような要因のために、利益を出しにくいというデメリットがあります。
・製品やサービスなどの利用者が少ない
・単価を上げにくい
・ニーズが分散しコスト削減が難しい
さらに、利益を出しにくいため、銀行などの金融機関からの資金調達が難しく、経営やビジネスの経験が少ない人が始めたソーシャルビジネスには、経営ノウハウが足りないといった懸念もあります。
日本政策金融公庫のソーシャルビジネス支援とは?
このようなメリット・デメリットの両方がある中、注目を集めているソーシャルビジネス。新規参入者向けの支援をする団体も増えてきています。例えば、日本政策金融公庫は、ソーシャルビジネス事業者に対し、融資、情報サービスの提供、経営支援等の多方面から支援している企業です。
ソーシャルビジネス関連の融資実績は年々増加しており、2016年度は、融資件数:9,644 件(前年度比124.5%)、融資金額:717 億円(同118.2%)となり、件数・金額ともに増加傾向にあり、2008年の発足以降で過去最高となりました。
また、経営ノウハウや資金調達情報、先進的な取り組み事例などを提供するなど、情報面の支援も充実しています。
さらに、各地域で事業者を支援するため、地方公共団体や地域金融機関、NPO支援機関等と連携し、課題解決を支援するネットワークの構築にも取り組んでおり、2017年3月時点では、102のネットワークが構築されています。
少子高齢化や地方の過疎化など、様々な問題が社会に存在している中で、新たなアプローチ手段として注目されているソーシャルビジネス。これまで、ボランティアやNPOの活動に参加し、興味を持っており、詳しく知りたい方は、以下をご参考下さい。
日本政策金融公庫ソーシャルビジネス支援サイト
事業資金相談ダイヤル:0120-154-505