パワハラ職場の共通点は「上下間コミュニケーションレス」

疲れ切った部下

上司と部下とのコミュニケーションが希薄だと、パワハラが発生しやすい

全国都道府県労働局等の総合労働相談コーナーに寄せられる労働相談の中で、「職場のいじめ・嫌がらせ」(パワハラなど)の相談は年々増加傾向にあります。解雇や退職勧奨など他の労働相談が減少傾向になるなか、いじめ・嫌がらせの相談は群を抜いて増加しています。

「パワハラ」という概念が世の中に定着してから十数年もたつのに、なぜパワハラはなくならないのでしょう? それは職場の「コミュニケーション」に問題があると考えられます。平成24年度厚生労働省委託事業の調査によると、パワハラが発生している職場の特徴のナンバー1が「上司と部下とのコミュニケーションが少ない職場」です。2位以下を引き離し、ダントツのトップなのです。

タイプ1:「ダブルバインド」の状況に部下が苦しむ職場

では、どのような職場で、上司と部下間のコミュニケーションが希薄になりやすいのでしょうか? 一つは、上司が一方的に指示命令を下すだけで、部下が自分の意見を伝えたり、相談できたりする雰囲気のない状態の職場です。例えば次のような傾向が挙げられます。

・会議の席では上司だけが話しており、部下は常に聞き役
・部下が発言をすると、その欠点のみが指摘されてしまう
・職場の飲み会の場では上司のみ機嫌がよく、部下は居心地が悪そうである
・部下が上司に相談をすると、気がつけば説教になっている
・上司の意見に反論をすると、その場の雰囲気が凍りつく

こうした職場になっている場合、部下は遠慮して物を言えず、上司と部下間のコミュニケーションは希薄になっていがちです。こうした上司の多くはワンマン上司で、部下の意見に聞く耳を持ちません。自覚はしていなくても「上司である自分は常に絶対的存在である」という信念を持っているため、部下が常に自分に従う態度を示さないと気に障ってしまうのでしょう。

このタイプの上司は、口では部下の意見を聞く準備があるように言いながらも、その発言の裏には、自分の意見が否定されることへの拒絶感があります。その態度が顔や姿勢に現れてしまうため、部下は判断に迷います。このように、言葉とは正反対の態度を提示し、相手を困惑させることを「ダブルバインド」(二重拘束)と言います。このような上司が指揮する職場では、部下は常に上司の顔色をうかがいながら仕事をしなければならず、上司―部下間のコミュニケーションは進みにくくなります。

タイプ2:「ミスコミュニケーション」が部下を困らせる職場

上司と部下との会話

「なぜ言われたことをきちんとやらないんだ」「それは聞いていないんだけれど…」

もう一つは、上司―部下間に「ミスコミュニケーション」の多い職場です。上司は「Aをしてください」と伝えたつもりなのに部下は「Bをする」ものだと受け取っているというように、正しい意思の疎通が成立していない状態、これを「ミスコミュニケーション」と呼びます。たとえば、次のような職場になっていませんか?

・上司の指示はいつも大雑把で、部下は指示を正確に理解するのが難しい
・上司―部下間のフェイス・トゥ・フェイスのやりとりが少ない
・情報や意思の伝達はたいていメールのみである
・部下が上司の指示を確認しようと働きかけると面倒な顔をする

こうした職場の場合、上司は部下が「一を言えば十を知るもの」と思っている可能性があります。しかし、他者の意図をすべて立ちどころに理解することなど不可能です。しかし、このタイプの上司は、部下はそれができて当然だと思っている節があるため、上司の意図通りにできないと「なぜできないんだ」「このくらい言われなくてもちゃんとやってくれよ」という態度を示し、パワハラになってしまうのです。

パワハラ職場の上司は「怒鳴らなければよい」わけではない!

いずれのタイプでも、まずは上司に意見を伝えて交渉してみることが必要ですが、それが難しい場合には、社内の相談窓口に相談したり、社内の人たちと意見を交換して、複数名で交渉するといったことが必要になるでしょう。

また、それ以前に大切なのは、上司も部下も正しいパワハラの知識を持つことです。「叩いたり、怒鳴ったりしなければパワハラではない」という認識を持っている人は少なくありません。ダブルバインドやミスコミュニケーションがベースとなり、部下を精神的に追いつめてしまうこともパワハラになりうるのだということを理解し、パワハラの被害者・加害者にならないように注意することが大切です。
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