個性と独自性が重要、アッパーミドルクラス
ボディの80%にアルミを用いた軽量モノコック構造をもつジャガーFペース。スポーツカーのFタイプのモチーフや技術を取り入れ、スポーティなスタイルと走りをもつ。ディーゼルターボも用意され、価格は639万~981万円
完全に高級車の領域となるアッパーミドル。それゆえ、その個性をどこに置くか、各ブランドともキャラクター設定に独自性を打ち出しているのが特徴だ。
たとえば、ジャガーのFペース。最新のジャガートレンドとなるデザインで、他とは一線を画すスタイリッシュなSUVルックスをモノにしつつ、そのパフォーマンスの高さはポルシェマカンに勝るとも劣らない。GT性能も高く、ディーゼルターボの用意がある点も嬉しい。新型ディスカバリーも気になるけれども、ジャガーというブランドのもつスポーツ&ラグジュアリーなイメージには及ばない。今、最も旬な中型高級SUVだと思う。
メルセデス・ベンツのアッパーミドルSUVのGLE。車名はSUVモデルを表すGLと車格を表すEを組み合わせたもの。レーダーセーフティパッケージをはじめ安全装備も充実。ディーゼルターボや5.5Lターボを積むAMGモデルもラインナップされ、価格は868万~1740万円。クーペフォルムのGLEクーペ(890万~1780万円)も用意される
もう一台、メルセデス・ベンツGLEも、安定した実力の持ち主ということで、もはや定番というべきモデルになった。そもそも、先祖となるMクラスは、アッパーミドルSUV人気の原点となったというべきモデルで、セダンにおけるEクラスと同様に、メルセデスとしてもブランドの意地と矜持が掛かっていると言っても過言ではない。クーペテイストのモデルも追加された。パワートレインの選択肢が高級により過ぎているきらいもあるけれど、予算に余裕があれば魅力的な選択肢であると言っていい。
羨望の眼差しを受ける、ラージクラス
1941年に登場したウィルスMBをルーツとする、ジープの伝統を今に伝えるラングラー。調整式モノチューブショックアブソーバーや副変速機付き4WDなど悪路走破性は抜群、3ドア(サハラ 396.36万円)と5ドア(アンリミテッド 396.36万~443.88万円)をラインナップする
大型になればなるほど威圧感も増し、多くの人の憧れの的となる。小型SUVの人気が高まれば高まるほど、大型モデルは羨望の眼差しを受けるというわけだ。
とはいえ、そういったセダンライクなヒエラルキーと無縁なモデルもある。SUVの祖先であるジープテイストを全身にまとったラングラーなどはその際たる例だろう。もはや、ブランドの序列を超えて、永遠のアイドル、不滅のアイコン、である。日常遣いに優れたモデルでは決してないし、モデルの造りも見映えも大雑把なものだが、それがまた、オフローダーとしての本質をそっくり残した生きる化石感を乗り手にもたらす。所有したことが、いつまで経っても色あせない思い出となる、そんなモデルだ。時代を超えたスタンダードモデル、と言ってもいい。
新世代ボルボの第一弾となる、7人乗りフラグシップSUV、XC90。右折時対向車検知機能など14種類以上に安全装備を標準装備する。プラグインハイブリッド(T8)もラインナップし、価格は774万~1299万円
多くの人に今、最もオススメのラージサイズSUVは、文句なしにボルボXC90だ。先にも書いた通り、大型SUVのスタイリングは概して威圧的である。けれども、XC90は、存在感こそ立派だけれども、すべてに渡って“平和的”だ。追い越し車線をぶっ飛ばして走るような下品さが、まるでない。品がいい。走りの性能も一級品で、安全性能の高さは折り紙つき、となれば、真っ当な神経の持ち主が大型SUVを選ぶというシチュエーションにおいて、コレ以外の選択肢はほかにないだろう。ボルボのクルマ造りは、今、世界最高レベルに達しつつある。乗っておくべき、旬の大型SUVである。
過不足ない花形役者揃い、ラグジュアリークラス
よりオンロード色を強めた、スポーティな走りのレンジローバースポーツ。レンジローバーより全長150mm/全高65mmコンパクトなボディをもつ。さらに走りを極めたSVRもラインナップし、価格は860万~1648万円
好きなブランドに乗っておきなさい。正直に言って、このクラスは、乗り味がどうの、装備がどうの、安全がどうの、いずれをとっても、それぞれ過不足なく備わった花形役者揃い、どのモデルにも抗し難い魅力があって、あとはデザインやブランドの好みで決めてもらえばいい、と言いたいところだけれども……。
個人的なオススメは、レンジローバースポーツ。何といってもこのモデル、中身はレンジそのもので、いっそうスタイリッシュなエクステリアデザインながら、かなりお買い得、という、価格設定を間違ったんじゃないか、と思わざるをえないモデルだからだ。
オンロードでのパフォーマンスを重要視した、クーペのようなラインをもつ流麗なプレミアムSUV、マセラティレヴァンテ。ギブリをベースに、フェラーリ工場で生産されるエンジンを搭載する。価格は976.909万~1279万円
エクスクルーシブなSUVの定番といえば、これまでメルセデス・ベンツのGクラスとレンジローバーだった。今後もまだまだ、ハイエンドブランドのSUVモデルが登場する。人気のカテゴリーゆえ、次から次へと登場する新型モデルへの注目は高まるばかり。いちいちキャッチアップして乗り換えるわけにもいかない。そうなれば、やはり定番が強かった、というハナシになりがちだが、Gクラスにもモデルチェンジの噂が流れている。ここはひとつ、ラグジュアリースポーツカーブランドの雄、マセラティの最新SUV、レヴァンテあたりを乗り継いで、しばらく様子を伺ってみるというのも手ではないだろうか。
もちろん、ベントレーベンテイガやポルシェカイエンターボをポチッと感覚で買えるような人ならば、そのあたりを楽しみつつ、ランボルギーニやアストンマーティン、ロールスロイスのSUVの登場を待ってみるのもいいだろう。そういう身分になってみたいものだけれども。
人気は当分続く。話題性の高いモデルが続々登場
シリコンバレー発のEVブランド、テスラが送り出す全長5037mmのEVモデルがモデルX。ファルコンウイングと呼ばれる後席ドアも特徴的。トップモデルhno0-100km/h加速は3.1秒とスーパーカー並み。価格は1115万~1728.3万円
SUV人気は当分続く。というのも、それに代わる新たなカテゴリーが今のところ見当たらないからだ。ひょっとしたら、それがノスタルジックブームのような形でセダンへと回帰する可能性がなきにしもあらずだけれども、話題性の高いモデルが続々登場することからしても、注目度はしばらく高く、人気は続くことだろう。
スポーツモデルやオープンなど、ユニークなモデルばかりに注目が集まるかもしれない。けれども、実際には、適度なサイズで、デザイン的にも飽きのこない、たとえばVWティグアンのような路線のモデルが、輸入車好きには支持されると思う。一方で、マカンに代表される有名ブランドのコンパクトモデルの人気も、高いレベルを維持するに違いない。
注目すべきは、SUVでもパワートレインだ。完全電動化は、テスラモデルXのように、“使わないオフロード走破性”や“ヒッチパフォーマンス”を無視すれば成り立つ。すでに、FFモデルが多くなっているといった事情からも、電動化への障壁はさほどないと言っていい。
いっぽうで、ジャガーに続き、マセラティがディーゼルターボを導入したように、SUVらしいパフォーマンスを担保する意味で、適したパワートレインの搭載にも注目したい。同時に、安全性能や車両制御技術など、最新テクノロジーの搭載も、今まで以上に積極的に行なわれるはずだ。
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