優れたドライブフィールと積載能力で実用車の代表格

ジャガーXFスポーツブレーク

ジャガーXFをベースとしたアッパーミドルクラスの正統派ワゴンがXFスポーツブレーク。ラゲージ容量は通常565L、後席を畳むと最大1700Lとなる

ミニバンやSUVといった背の高い系カテゴリーに人気が集まるに従って、セダンやセダンをベースとしたステーションワゴンといった背の低い系は今やニッチなカテゴリーになりつつある。特に日本のステーションワゴン市場には往時の勢いがまるでない。どっちが先なのかは鶏と卵だけれど、国産車に魅力的なステーションワゴンが見当たらないというのが現実だから、それもまた仕方のないことだろう。
 
もちろん、ヨーロッパ市場でもこのところのSUVブームでステーションワゴン人気にかげりが見えてきた。とはいえ日本ほど惨憺たる状況というわけではなく、セダンのドライブフィールと積載能力を併せもつ優秀なステーションワゴンを欲するコンサバ層はまだまだ多く、無視できないがゆえに欧州ブランドを見渡せば今なお、魅力的なステーションワゴンが多数ラインナップされている。たとえばステーションワゴンにSUV風味を織り込んだグランドワゴンは、ここにきて新型車も増えつつあり、再び注目を浴びそうな気配だ。
ポルシェパナメーラスポーツツーリスモ

ポルシェ初となる4ドア4ドアGTのパナメーラのワゴンバージョンがパナメーラスポーツツーリスモ。アダプティブサスペンションなどを備え、サーキットも走れるような仕立てがポルシェらしい

背が高いクルマが増え過ぎた。大きさをもてあましている人もいるだろう。地面に近いところで意のままに操る感覚を懐かしく思う人もいるに違いない。ステーションワゴンという選択肢をもう一度、思い出してみるのも一興ではないだろうか。
 
好きなものだけを詰め込んで、今までよりもより遠くへ、より快適なドライブを楽しむ。新たな出会いがあると思う。
 

コンパクトクラス:スタンダードはゴルフ ヴァリアント

このクラスは1年前とまるで顔触れが変わっていない。VW ゴルフ ヴァリアントは、今なおこのクラスのスタンダードに君臨する。ゴルフの走りの性能はそのままに、上級クラスにも匹敵する使い勝手のいい大容量のワゴンスペースを組み合わせた。

まずはこのクルマを選んでおいて間違いはない。フツウのゴルフじゃちょっと、という向きにはゴルフ オールトラックという選択肢もある。

■VW ゴルフ ヴァリアント
VWゴルフヴァリアント

ハッチバックのベンチマークとなるVW ゴルフをベースとしたゴルフ ヴァリアント。ハッチバック同様に、大きく低くスポーティなスタイルに。ラゲージは最大1620L、価格は293.9万~569.9万円


VW ゴルフ オールトラック
 
VW ゴルフ オールトラック

ゴルフ ヴァリアントをベースにクロスオーバーモデルに仕立てられたゴルフ オールトラック。ラフロードも考慮したサスペンションや4WDを採用。1.8Lターボを搭載し、価格は359.9万円


■ルノー メガーヌ スポーツツアラー
ルノー メガーヌ スポーツツアラー

ハッチバックのメガーヌに用意されたワゴンモデルがメガーヌ スポーツツアラー。ラゲージ容量は580~1695L。国内にはルノー・スポールが手がけたGT(359.9万円)のみをラインナップ

もうずっとゴルフばかり勧められてきた気がするよなぁ、などと仰る輸入車好きもきっと多いはず。人とは違うクルマに乗りたいから輸入車を選んだのに、こういつもいつもゴルフ推しじゃナァ……という方がいても当然だ。逆にいうとそれだけゴルフが凄い、ということなんだけれど、対抗馬としてはルノー メガーヌのスポーツツアラーを挙げておく(これもまたいつもながらだけれど)。
 
ゴルフとメガーヌはそもそも欧州Cセグメント市場で凌ぎを削ってきた。フランスのバカンスカーらしく長距離をたんたんとこなし、ドライビングファンも上々という点でメガーヌという選択肢も捨て難い。

■MINI クラブマン
MINIクラブマン

「ファミリー世代に向けた実用MINI」、MINIのワゴンモデルとなるクラブマン。テールゲートは左右開きのスプリットドアを採用する。ラゲージ容量は360~1250L。価格は322万~538万円

もっともっと運転を楽しみたい。遊び心に溢れたモデルがいい。デイリーカーとして洒落たカタチが欲しい。そんな人はサイズアップしてワゴンとしての使い勝手もかなり向上したMINI クラブマンを選ぶというのもひとつの手だ。

MINIらしいキビキビとした走りには、他の欧州車とも一線を画す魅力がある。魅力的なオプションの数々で自分だけの1台を造る楽しさもある(選びすぎるとかなり高い買物になってしまうけれど)。
 

ミドルクラス:魅力的モデルが充実

ヨーロッパでは定番というべきDセグメントのステーションワゴン。ドイツ勢を筆頭にモデルラインナップも充実している。最近になってモデルチェンジやマイナーチェンジ、グレード追加を行なったモデルも多く、依然としてなかなか選びごたえのある=魅力的なモデルの多いクラスとなった。

■ボルボ V60
ボルボV60

人気を博した850やV70の実質的な後継モデルとなる、国内販売の主力モデルがボルボ V60。ラゲージ容量は522~1441L、プラグインハイブイリッドもラインナップし、価格は499万~819万円


目新しい新型車という意味では、ボルボV 60に尽きる。スタイルよし、走りよし、現代性(安全性&先進性)高し、という三拍子揃ったモデルで、ドイツプレミアム勢に肉薄する仕上がりをみせた。

■メルセデス・ベンツ Cクラス
メルセデス・ベンツCクラス

セグメントのベンチマークとなるメルセデス・ベンツ CクラスのワゴンモデルがCクラスステーションワゴン。ラゲージ容量は通常460L、最大1460~1480Lに。ハイパフォーマンスモデルのAMGも揃え、価格は473万~1398万円

対してこのクラスのスタンダードというべきメルセデス・ベンツ Cクラスもマイナーチェンジでいっそう乗りごたえのあるモデルへと進化した。乗ればじわじわ滋味染み入るライドテイストで、クラスを超えた安定感と安心感がある。いまだ選んで間違いのないモデルだろう。

アウディ A4アバントやモデル末期のBMW3シリーズも捨て難いが、今選ぶ新鮮みという点でV60とCクラスには及ばない。むしろ登場したばかりのパサート・オールトラックのほうが面白い。パサート ヴァリアント(ステーションワゴン)もこのクラスの定番で、そのグランドワゴンスタイルというのが新しい。定番プラスαの魅力。コストパフォーマンスも高い。ツウ好みの隠れた人気モデルになりそうな気配だ。
 

アッパーミドルクラス:ドイツ勢以外にも注目

ヨーロッパで長期間長距離のバカンスを楽しむクルマといえば、アッパーミドルクラスのステーションワゴンライフ、というのが定番だった。今では同クラスのSUVも重宝されるようになったが、ステータス性のあるブランドのワゴンは今なお人気。このクラスともなると流行りのスタイリッシュデザインになっても十二分な積載量が確保されているし、走りのパフォーマンスは完全にセダン譲り。デイリーユースから長距離バカンスまで、ほとんど万能にこなす。
 
長らく独プレミアム3ブランドがオススメを独占してきたけれど、この美味しいマーケットを狙って非ドイツ勢の攻勢がはじまった。

■ボルボ V90
ボルボV90

ボルボのフラッグシップとなる90シリーズのワゴンモデルがV90。ラゲージ容量は560~1526L、価格は679万~964万円。最新ボルボモデルは15種類以上の安全・運転支援システムを備えたインテリセーフを備える

ボルボ V90クロスカントリー
ボルボV90クロスカントリー

ボルボV90のクロスオーバーモデル、V90クロスカントリー。最低地上校を55mmアップ、専用サスペンションやエクステリアデザインをもつ。価格は709万~864万円



まずはDセグメントと同様、ボルボだ。昨年デビューしたV90とV90クロスカントリーは、その完成度の高さで独プレミアム3に優るとも劣らないモデルであると言っていい。特に内外装のデザイン性の高さには目を見張るものがある。FFベースだからライバルとしてはアウディだが、ベンツビーエムにはもう飽きたという人にも刺さるはず。

■ジャガー XFスポーツブレーク
ジャガーXFスポーツブレーク

ジャガーの正統派ワゴンがXFスポーツブレーク。軽量モノコックボディにセルフレベリング機能付きエアサスペンションを装備。価格は741万~793万円

FRベースでBMWに真っ向勝負を挑んだジャガー XFスポーツブレークも今オススメの1台だ。とにかく走りのクォリティが高い。ワゴンなのに運転していてワクワクするという感覚は、BMW 5シリーズツーリングの上級グレードでも選ばない限り、なかなかないと思う。スタイリッシュさという点でも群を抜く。

■メルセデス・ベンツ E220d 4MAATIC オールテレイン
メルセデス・ベンツE220d 4MAATIC オールテレイン

Eクラスステーションワゴンをベースに、ワゴンの利便性、高いアイポイントとロードスリアランスを備えたのがメルセデス・ベンツE220d 4MAATIC オールテレイン。2Lディーゼルターボを搭載、価格は875万円

SUVライクなグランドワゴンスタイルがよく似合うというのもほどよく大きなサイズ感をもつこのクラスの特徴だ。前述したV90クロスカントリーはもちろん、メルセデス・ベンツが満を持してリリースしたグランドワゴン、Eクラスステーションワゴンのオールテレインも忘れてはいけない。最近のベンツが忘れかけていた懐の深い乗り味が自慢の1台で、個人的には今日本で買えるステーションワゴンのなかでもイチオシのモデルだ。
 

ラグジュアリーなシューティングブレークという選択

ラグジュアリークラスともなると昔から該当するようなステーションワゴンはほとんどなく、今ではSUV真っ盛りで力を入れるブランドもない。それだけワゴンというスタイルが実用重視であるからだろう。逆に言うとSUVはスペシャリティ度が高いということだ。
 
大型モデルに純然たるステーションワゴンを求めることは難しいが、シューティングブレークという選択なら可能である。ワゴンとは言えないまでもクーペやセダンよりはマトモな積載スペースを有し、その代わりスタイリング的にはワゴンほどビジネスライクではなくクーペに近いスペシャリティ系の雰囲気を持つ。ある意味、欧州で昔流行った5ドアグランツーリズモの発展系でもあった。

■ポルシェ パナメーラスポーツツーリスモ
ポルシェパナメーラスポーツツーリスモ

ワインディングから街乗りまでこなす、ポルシェのシューティングブレークモデルがパナメーラスポーツツーリスモ。ラゲージ容量は520~1390Lとなる。価格は1295万~2907.3万円

 
ポルシェ パナメーラスポーツツーリスモが今のところ唯一の大型5ドアシューティングブレークで、ポルシェらしい走りと家族ドライブに適したラゲッジスペース、そして4ドアクーペに勝るとも劣らないスタイリッシュなエクステリアデザインが魅力だ。

■フェラーリ GTC4ルッソ​​​​​​​
フェラーリGTC4ルッソ

フェラーリ初の4WDモデルとなる“シューティングブレーク”がGTC4ルッソ。V12エンジンと4WDを組み合わせたモデル(3470万円)に加え、V8でFRのカジュアルなT(2970万円)を用意

その上には2ドアになってしまうけれども、フェラーリ GTC4ルッソがある。V8のFRとV12の4WDを選ぶことができるが、乗って楽しいのは断然ハナの動きが軽い(実際にはさほど重量差はない)V8で、跳ね馬らしいエンジンフィールを楽しみたいというならV12だろう。いずれにしても、予算はパナメーラのほぼ倍になってしまうけれど。
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