マンション購入術

「完成済み」新築マンションに絞るという選択

新学期や新年度、また不動産会社の3月決算に合わせて、2~3月にかけて完成する新築分譲マンションは多くなります。完成済で販売中のマンションであれば、実物が確認出来る上、入居までの時間が短いというメリットがあります。また、今のようなマンション価格が上昇している環境では、条件が合えばお得な買い物ができる可能性もあります。完成済みマンションだけに絞って選ぶメリットとデメリットについてまとめてみました。

井口 克美

執筆者:井口 克美

関西の住宅事情ガイド

室内

建設中に契約を済ます青田買いとは異なり、完成済みマンションは実物を自分の目で確かめて購入できる


新学期や新年度、また不動産会社の3月決算に合わせて、2~3月にかけて完成する新築分譲マンションは多くなります。完成済で販売中のマンションであれば、実物が確認出来る上、入居までの時間が短いというメリットがあります。

また、今のようなマンション価格が上昇している環境では、条件が合えばお得な買い物ができる可能性もあります。今回は、完成済みマンションだけに絞って選ぶメリットとデメリット、そして探し方についてまとめてみました。

完成済みマンションに絞るメリット

  1. 実物で確認できる
    一般的に新築分譲マンションは完成前に販売されますので、パンフレットやモデルルームで確認はするものの、購入する実際の部屋を見る事も無く契約することが多いものです。そのため、実際入居してみてイメージと少し違うなということも起こりがちです。

    完成済みのマンションでは自分が購入したい部屋を実際に見学でき、部屋の広さや各部屋への動線、窓からの景色など、実際の生活をイメージしながら確認できるので安心です。

    また自分の部屋だけでなく、建物のエントランスやロビー、エレベーター、駐車場やゴミステーションなど、共用設備に関しても確認することができるので納得度も高くなります。
     
  2. 入居が早い分コストメリットがある
    完成済マンションであれば、即入居もしくは、1~2ヶ月以内に入居できるのも魅力です。例えば、賃貸に住んでいる人の場合、契約から完成までの期間が長いほど、入居するまでの間に発生する家賃が多くなりますが、入居までの期間が短ければ、すぐに引越しができるのでコスト面でも節約できます。入居が早いことでロスが減らせるというわけです。
     
  3. 建築費が安い時のものが残っている
    新築分譲マンションのプロジェクトは、一般的に土地を購入してから最初の販売まで約2~3年かかります。そして、最初の販売から完成するまでさらに約1~2年かかります。新築分譲マンションは、少なくとも約3~5年という長い時間をかけて完結する事業です。大型マンションになると7年~10年というのも珍しくありません。

    「完成済みマンション」となると、プロジェクトは約2~3年以上前からスタートしていると考えられるので、ちょうどマンションの建築費が上昇し始めた頃です。

    今の建築費よりもまだ安かった時代のものが多いと考えられますので、これから同じようなものを建てるとすると、同じ価格では難しいでしょう。つまり、マンションによっては割安になっているものもあるということです。価格が上昇を続ける今のマーケットではこの価格的なメリットが魅力的です。
     
  4. 金銭的な面でお得な買い物ができる場合もある
    数はあまり多くありませんが、完成してから時間が経っているマンションなどでは、モデルルームとして使っている部屋を家具付きで販売したり、少し値引きをして売っていることがあります。また、購入の際の諸経費を一部サービスしてくれるなど、金銭的な面でお得な買い物ができることもあります。

    チラシや広告などで告知している場合もありますが、ない場合でも完成して6ヶ月以上経っているマンションなどではお得なサービスがある可能性もあります。一度聞いてみてもいいでしょう。

以上のように、完成済みマンションを購入するメリットしては、実物を確認できる安心感と、コストが魅力といえます。

完成済みマンションのデメリットと考え方

完成済みマンションのデメリットは、住戸の選択肢が限られてしまうことです。

完成までの間に販売してきていますので、完成時に購入できる住戸の数が少なく、いろいろな間取りから選べないことが多くあります。住戸の向きや階数、広さなど、限られた中から選ぶことになりますが、日当たりや部屋からの眺望などを実物で確認できるので、自分の選択条件を見直すこともできます。

例えば、日当たりの良さを求めて南向きの住戸にこだわっていても、東向きの部屋を確認すると思ったより明るく、昼間は家にいないことが多いとすれば、朝日が入ってくる東向きのほうがニーズに合うということもあります。実物で確認することはとても大事なのです。

また、既に完成していますので、間取りの変更や、内装の色・仕様を選ぶこともできませんが、これも実物を見て判断してください。設備仕様などは、気にいらなければ入居後プチリフォームもできますので、そのコストも兼ね合わせて検討するといいでしょう。

完成済マンションの探し方

住宅情報誌や家に入るチラシなどの広告から完成済みマンションを探す場合、全ての広告に概要がありますので、そこで確認します。概要の中に、完成予定時期・入居時期というものがありますので、そこで完成済みとか即入居とか書いてあるのを選びます。完成時期が少し先でも、実物を見ることができるものもありますので、1~2ヶ月以内に完成するマンションまで条件を広げることをおすすめします(対象マンションの数も増えます)。

また、数多くの中から絞り込むには、やはりインターネットが便利でしょう。新築分譲マンションならSUUMOやHOME'Sなどのポータルサイトを使うのが便利です。完成済みマンションなどの特集をしている場合もありますが、基本的には自分の希望条件を入力して検索していきます。手順としては以下です。

  1. エリアもしくは沿線を指定する
  2. そのほかの条件で、完成済み、または即入居、3ヶ月以内に入居 など、完成や入居に関する条件指定のところを探して、チェック

それ以外にもいろいろと購入条件はあると思いますが、条件を増やすと検索されて出てくる物件数が少なくなってしまいますので、最初は2つくらいから始めましょう。検索して数が多いようであれば、さらに価格や駅からの距離、広さなどの条件を増やして絞り込んでいきましょう。

まずは、大きなくくりでどれくらいマンションの数があるのか把握することが大事です。また完成間近に、購入者の都合でキャンセル住戸が発生することもありますので、興味があるマンションがあるならば、問い合わせしてみるのもいいでしょう。

完成済みマンションの見学の仕方

完成済みマンションの見学のポイントは、自分がそこで暮らすことをイメージしながら実物を確認することです。そして、その時には五感をフルに活用します。

実際その部屋に住むと、どんな暮らしが実現できて、どんな風に部屋を使うのか。また、部屋やバルコニーからの眺望、日当たり、風通し、外の音、匂い、体で受ける感覚などもしっかりと確認します。もちろん、建物のエントランスやエレベーター、駐車場やゴミ置き場などの共用部分も同じように確認します。

完成済みマンションを見る時の注意点としては、建物や部屋は商品ですので、扉の開閉や設備仕様を操作するときも丁寧に扱います。マンションによっては白い手袋をはめて見学する場合もあります。

また、隣接する住戸などには既に入居されている場合もありますので、大声を出したり、部屋を覗き込むなどプライバシーの侵害になるような行動も気をつけましょう。

完成済みマンションの購入には、メリットもデメリットもありますが、自分の条件に合うものがあれば、お得なお買い物ができる可能性が高いといえます。一度じっくり見学してみるのもいいでしょう。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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