チョコレート/バレンタインのおすすめチョコレート

「ショコラティン」和田理恵子シェフインタビュー

アメリカ・シカゴのチョコレート専門店「ショコラティン」のジュエリーライクなチョコレートは、アカデミー賞やグラミー賞、カンヌ映画祭のギフトに選ばれるほどの美しさ。日本人ショコラティエール、和田理恵子さんが「まごころ」をこめて作るチョコレートの魅力をお伝えします。

市川 歩美

執筆者:市川 歩美

チョコレートガイド

和田理恵子シェフに聞く、「ショコラティン」がアカデミー賞のギフトに8年連続で選ばれる理由

「ショコラティン」のチョコレート。私が出会ったチョコレートの中でも、こんなに長い時間、見つめ続けてしまい、なかなか口にすることができなかったものは稀です。

アメリカ・シカゴで、日本人ショコラティエール 和田理恵子さんによって作られる、美しい、そして存在感のあるアートのようなチョコレート。全てのチョコレートは丁寧に手作りされています。ショコラティンの「ジュエリーボックス」について、そして、和田理恵子さんのお話をお届けします。

Jewelry Box by Chocolatines(ジュエリー ボックス バイ ショコラティン)

ショコラティンのチョコレートの中で、まず紹介したいのは、「ジュエリー ボックス」。その名のとおり、宝石箱のようなチョコレートボックスです。宝石をテーマにした8種類のチョコレートが入っています。
ジュエリーボックス ショコラティン

「ジュエリーボックス」 ショコラティン

チョコレートの入っているボックスの高級感、そしてチョコレートの存在感にしばし見とれてしまいます。

8種類のジュエリーのようなチョコレート

8種類のジュエリーのようなチョコレート。手前から時計周りにトパーズ、エメラルド、アメジスト、パール、ルビー、サファイヤ、オニックス。真ん中がダイヤ

「パール」
日本酒、生姜を使ったキャラメルで風味を出し、とろりとした食感で丸みを出しています。パールのような光沢を表現したデザインです。

「ルビー」
石榴(ざくろ)から作られた約8年熟成したバルサミコ酢を使ったミルクガナッシュ。洗煉されたやさしい甘酸っぱさ。ルビーのような赤いカラーに金箔を添えて華やかに。

オニックス

オニックス

「オニックス」
上にはラバソルト(ハワイのココナッツの実の内側を乾燥させ、それを炭として燻してフレーバーを出した塩)をトッピング。中にはそれとは別の、自家製燻製塩を使ったキャラメルとミルクチョコレート入り。

「アメジスト」
南仏のラベンダーのナチュラルな香りを、ラベンダーの花の蜂蜜でやさしい甘味を。ラベンダーをイメージしたカラーです。大人にファンが多いという一粒。

サファイヤ

サファイヤ

「サファイヤ」
イギリスのボンベイサファイアを使用。複雑なジンの香りをブルーベリーとあわせた甘さをおさえた、爽やかなジェリーを入れたチョコレートです。

「エメラルド」
緑茶と抹茶にレモングラスをあわせた、洗煉されたビターチョコレートガナッシュ。ビターチョコレートと日本茶に、レモングラスの香りが新鮮。

「トパーズ」
レモン、セージを使ったビターチョコレートのガナッシュ。スモーキートパーズをイメージしたニュアンスのあるゴールドカラーです。

そして、ショコラティンの代表作でもある「ダイヤモンド」。

ジュエリーのようなショコラ

ジュエリーのようなショコラ

「ダイヤモンド」
中身はシャンパーニュを使ったガナッシュ。上にはアイソモルトといわれる、やさしい甘さの砂糖の一種で作られた、ダイヤモンド型の美しいキャンディをのせています。いただくときは、そっとこのダイヤモンドシュガーをはずして、まずはチョコレートをいただきましょう。

ショコラティン 4個入り

ショコラティン 4個入り。左上:ダイヤモンド、右上:ルビー、左下:アメジスト、右下:サファイヤ

4個入りボックスには、「ダイヤモンド」「ルビー」「アメジスト」「サファイヤ」が入っています。

ふんわりときれいに結ばれた、心まで豊かになれるような美しいリボン。高級感のあるしっかりとしたボックス。箱を受けとってからチョコレートをいただくまで、どのプロセスにおいても、細やかなセンスが感じられ、私はいつも、ショコラティンのチョコレートをいただくまでに、時間がかかります。そしてそれはとてもうれしいことです。

オーナーショコラティエ、和田理恵子さんインタビュー

2017年2月に来日していた「ショコラティン」のオーナーショコラティエ、和田理恵子さんにお話を伺いました。

和田さんは、1984年にアメリカへ渡り、MBAを取得。旅行会社経営を経てシカゴのパティスリースクールを首席で卒業。著名なシェフのもとでアシスタントを務め2005年に会社を設立。2006年に「Chocolatines(ショコラティン)」をオープンし、2007年からチョコレート製造を本格的に開始しました(この年、ショコラティンのチョコレートは、トランプタワーホテルへ納品されています)。

ショコラティン 和田理恵子シェフ

ショコラティン 和田理恵子シェフ

そして、2010年にはアカデミー賞授賞式で、ノミネート者へのお土産となるSwag Bag(スワッグバッグ)にショコラティンのチョコレートが採用され、その後2017年までの毎年、アカデミー賞のスワッグバッグに選ばれています(スワッグバッグの内容は、ラグジュアリーなアイテム、IT関連の最新アイテム、高級ランジェリーやエアラインチケットなどが入っていることもあるそうですよ!)。

ダイヤモンド

ダイヤモンド

ーー「ダイヤモンド」について教えてください。

「見て楽しいだけでなく味も素晴らしいエディブルアートとしてのチョコレートを作りたいという考えがあって、Chocouture(Chocolate + Couture チョコレートとクチュールをあわせたオリジナルの造語)ラインのひとつとして、ジュエリーボックスを作りました」

「『ダイヤモンド』は2009年くらいにできたチョコレートで一番人気があります。シャンパンフレーバーではなくて、シャンパンが実際に入っています。上に添えられているダイヤモンドシュガーは、ドイツのアイソモルトというもので、2001年くらいにアメリカに入ってきました。光があってとてもきれいなんです。私はひとつひとつがダイヤモンドという美しさに注目して、これをなんとかしてチョコレートに使いたいと思っていました。アイソモルトは糖分が少なく、元々糖尿病の方にも安心なものとして作られていて、空気中の水分を吸収しないのでべたつかないんです。それまではペストリーのトレイにデコレーションするような形でしか使われていなかったんですよね。結構高価なものです」

ーーオリジナリティがあって他で見たことのないチョコレートです。真似されたりしませんか?

「ずっと見ているんですけど、ないですね。とても手間がかかりますから(笑)。チョコレートからこのダイヤモンドシュガーがはずれないようにも工夫もしているんです。箱を開けたときにはずれていると残念ですからね。そういうところも工夫して作っていまして、はずれたという話は今まで1度も聞かないです」

ーーグラミー賞のスワッグバッグに選ばれたきっかけを教えてください。

「私たちが知らないうちに、この『ダイヤモンド』がブログにのっていたんです。そのブログ記事をご覧になった方が、是非グラミー賞のスワッグバッグに、とコンタクトしてきてくださいました。この『ダイヤモンド』はメッセンジャーとしての役割がありますね」

ーーショコラティンのチョコレートボックスは手にとったときから、存在感があります。リボンがふわっとしていて、美しく、心を動かされました。

「そういうことをわかってくださるとうれしいです。受け取ったときの印象というのはあって、もしリボンに折り皺がついていたり、つぶれていたりするとがっかりすることがありますよね。実はこのリボンを結べるひとは、2人しかいないんです。人が必要なときは、2日くらいトレーニングしたりします。配送するときは、リボンのループの中にバブル(エアパッキン)をテープに切って間に通していれておきます。受け取ったときに、きれいにそれを抜いて、リボンがきれいな形のままでプレゼントできるようにしています」

ーーチョコレート自体はもちろんのこと、私はそういうことが感覚として伝わると嬉しいです。

「まごころをこめて作っていますので、そこをわかっていただけると私たちはとても嬉しいです」

ーーどんなお客さまが多いですか?


「アメリカにもよいチョコレートをわかってくれる方がいます。観念というか概念を理解して、たとえば、価格が高いのはただ高いのではなく、よい素材を使っているから、という理由を理解して、自分がよいと思うもの、欲しいものを選ぶという層の方々です。自分が自信がないものは人に差し上げられない。これなら喜んでもらえるという風に買いにいらっしゃる方が多いですね。価値観やセンスを持っている方が、自分もこれなら人にとおすすめくださるんです。私たちも自分が自信をもっておすすめできるものを、と思って作っていますから、これはとてもうれしいことです」

Hidemiさんと

お嬢さまのHidemiさんと

「私たちもあまり甘いものは好きではないのですが、アメリカも全体的にそのように変わってきました」とおっしゃる和田さん。ダークチョコレートを好んで選ぶアメリカ人も、とても増えてきたそうです。

和田理恵子シェフは現在、お嬢さまのHidemiさんと一緒に、チョコレート作りをしています。「まごころをこめていないものを食べたときにそれがわかって、残念な気持ちになることがあります。逆にまごころをこめたものは、すぐにわかるんです。だからこそ私たちは、いつもまごころをこめてチョコレートを作っています」と、Hidemiさん。

アメリカでは世界的に有名な女優、モデル、セレブリティのみなさんからプライベートギフトとしてご注文があるそうです。

和田理恵子シェフとHidemiさん、お二人が何度かお使いになられる「まごころ」という言葉が印象的でした。これまでのご経験をアートとして表現する感性、そして、チョコレートのベースにある「まごころ」が多くの方の心に届いているのかもしれません。

DATA
ショコラティン
Chocolatines
※日本国内に店舗はありません。
※2017年は日本橋三越で2月14日(火)まで販売されています。
・ジュエリーシリーズ アソート4P 5,400円(税込)
・ジュエリーシリーズ アソート9P 10,800円(税込)

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