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賢い耐震リフォームで、地震から家族と資産を守る!

地震が起きない地域はないくらいの日本。家そのものを地震に強い造りにすることは、国全体の課題になっています。今回は、「耐震リフォーム」を賢くおこなって、家族と資産を守る方法をご紹介します。

平野 直子

執筆者:平野 直子

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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地震による被害を少しでも減らすために

いつどこで起きるか分からないから、早めに備えよう!

いつどこで起きるか分からないから、早めに備えよう!

2016年4月14日に起きた熊本地震や、1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災では、建物の倒壊の被害が目立ちました。特に、1981(昭和56)年5月以前に建てられた(旧耐震基準の)建物は、倒れる割合が高かったそうです。

地震で建物が倒れると、中にいる人の命に関わるほか、道路がふさがれて緊急車両が通れなくなる可能性もあります。阪神淡路大震災で、火災が拡がってなかなか鎮火しなかったのは、倒壊建物で道路がふさがれたことも原因の1つだった、と聞いたことがあります。南海トラフ巨大地震や首都直下地震など、大地震への対策は、国を挙げて行われていますが、地震の被害を少しでも減らすために、私たちができることは、自宅の耐震性をチェックしたり、必要に応じて耐震性を高める耐震リフォームなどをすることではないかと思います。

内閣府・防災情報のページ「地震・津波対策」

まずは自宅の耐震性をチェック

耐震リフォームをする前に、自宅がどの程度耐震性があるかをチェックすることが大切です。

一番分かりやすいのは、自宅が建てられた年月をチェックすること。1981(昭和56)年6月以降に建てられた家であれば、現行の耐震基準(新耐震基準)はクリアしているそうです。その他、これまでに大きな災害に見舞われたことがあるかどうかや、家の形状や傷み具合などをチェックする必要があります。日本建築防災協会のHPに、インターネットやリーフレットで簡単にチェックできるツールもありますので、まずは、ご自身で確認をしてみましょう。 簡易チェックで、「専門家に診てもらいましょう」と判定された場合は、専門家に耐震診断をしてもらうことをお勧めします。

一般財団法人 日本建築防災協会 リーフレット「誰でもできるわが家の耐震診断」

耐震診断の費用の目安は、「延床面積120平方メートル前後の木造住宅の場合、通常、1棟あたり20万円~50万円(東京・大阪近郊で建築当時の設計図がある場合)(建物の形状や状況によって金額は変わります)」(一般財団法人 日本耐震診断協会HPより)とのこと。専門家による診断なので、相応の金額だと思いますが、サッと出せる金額でもないですよね。お住まいの自治体等で、耐震診断費用について助成金が出る場合がありますので、活用できるか確認をしてから、耐震診断費用の見積もりを取ってみてはいかがでしょうか。

一般財団法人 日本耐震診断協会

緊急輸送道路沿いにある古い家は、要チェック

倒れた建物が道路をふさいだら、さらに大変!

倒れた建物が道路をふさいだら、さらに大変!

大地震が発生した際に、緊急車両が通行できるよう、各自治体で「緊急輸送道路」が定められています。この道路に面している建物が、地震で倒壊してしまうと、緊急車両が通行できなくなる恐れがあります。

そのため、緊急輸送道路沿いにある旧耐震基準の建物に対して、耐震診断や耐震改修の補助金制度を設けている自治体もあります。お心当たりがある方は、お住まいの自治体のHPなどで、地域の緊急輸送道路や耐震化に関する補助金制度を調べてみましょう。

東京都耐震ポータルサイト「緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」

地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(平成28年度)

耐震リフォーム減税

1981(昭和56)年5月以前に建てられた住宅で、現行の耐震基準に適合するための耐震改修工事を行った場合、所得税や固定資産税の減税を受けることができます。

国土交通省住宅局「マンガでわかる住宅リフォームガイドブック」を元にガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)

国土交通省住宅局「マンガでわかる住宅リフォームガイドブック」を元にガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)


【控除要件】
●控除期間:1年(改修後、居住開始した年の分のみ)
●制度期間:改修後、平成31年6月30日までに居住開始日
●控除額:工事費用等の10%(平成26年4月1日~平成31年6月30日の場合)
●最大控除額25万円 

なお、耐震リフォーム減税には、返済期間5年以上のローンを組んでリフォームした場合に利用できる、「ローン型減税」はありません。

リフォームで使える住宅ローン減税

耐震リフォームだけ行うよりも、省エネやバリアフリーリフォームを一緒に行った方が、費用も時間も効率的ですが、その分大規模改修になります。ローンを利用したいという場合、省エネやバリアフリーリフォームの要件を満たせば、ローン型減税を利用することができます。この他、10年以上のローンを組んで所定のリフォームをした場合に受けられる、「住宅ローン減税」を利用する方法もあります。

国土交通省住宅局「マンガでわかる住宅リフォームガイドブック」を元にガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)

国土交通省住宅局「マンガでわかる住宅リフォームガイドブック」を元にガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)



「住宅ローン減税」というと、新規に家を取得する時に使う印象がありますが、リフォームでも使うことができるので、要件があうか確認してみてはいかがでしょうか。


国土交通省住宅局「マンガでわかる住宅リフォームガイドブック」等を元にガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)

国土交通省住宅局「マンガでわかる住宅リフォームガイドブック」等を元にガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)


固定資産税軽減

現行の耐震基準に適合させる耐震改修工事を行い、補助金等を除いた改修工事費が50万円を超える場合、リフォーム工事が完了した年の翌年度分(*)、家屋に対する固定資産税額の1/2(120平方メートル相当分まで)、軽減してもらうことができます。

・工事完了時期:平成30年3月まで
・工事完了後、3カ月以内に所在地の市区町村に申告する必要があります。
(*)緊急輸送道路の沿道にある場合は、2年度分

【住宅等の要件】*所得税の減税制度とは、要件が異なるので、ご注意ください。
・昭和57年1月1日以前から存在する住宅であること
なお、バリアフリーや省エネリフォームをした際の固定資産税の減額と、同じ年での併用はできません。

長期優良住宅化リフォーム減税(創設予定)も要チェック!

省エネやバリアフリー化と一緒に耐震性も高めよう!

省エネやバリアフリー化と一緒に耐震性も高めよう!

平成29年度の税制改正で、新たに「長期優良住宅化リフォーム減税」も登場する予定です。これは、「耐震性や省エネルギー性を確保して、劣化対策等耐久性を向上させる改修工事を行い、既存住宅の長期優良住宅の認定を受けた場合、所得税の控除や固定資産税減額が受けられる」というものです(平成29年度国土交通省税制改正概要より)。

自治体独自の制度も含め、様々な支援制度があって複雑ですが、新しい減税制度の詳細が決まったら、どの制度が自分たちに合っているか、じっくり比較してみてください。リフォーム業者にも、こうした制度について相談してみると良いでしょう。

耐震性が高い住宅は、地震保険料が割引になる!?

地震保険料の値上げにも揺るがない!

地震保険料の値上げにも揺るがない!

2017年1月から、地震保険が改定され、保険料が引き上げになるケースが多く見受けられました。保険料の見直し以外にも、損害区分が細分化され、地震保険料の割引制度を利用する際の確認資料について、範囲が拡大されました。地震保険料の割引制度は、全部で4種類あります。

1981(昭和56)年6月以降に新築された建物に使える「建築年割引(10%)」のほか、「耐震診断割引(10%)」「耐震等級割引(10%、30%、50%)」「免震建築物割引(50%)」があります。耐震等級を上げるなど、地震に強い家にすることで、地震保険料の割引も受けることができるかもしれません。

日本損害保険協会 地震保険「2017年1月制度改定」

耐震性の強い家にすることで、家族の命や資産を守ることができれば、その後の家計にとっても安心です。補助金などの支援制度を賢く利用して、末永く安心できる住まいで暮らせますように。

【関連リンク】
●地震保険入る、入らない? 地震とお金の話
●わが家の災害への備え、どうしている?
●家族同様のペット達、病気やケガ、災害にどう備える?
●省エネリフォームでお財布もぬくぬくする方法
●介護リフォームで家計も老後も安心に暮らす方法
2017年1月、地震保険が再値上げ。それでも入るべき?(損害保険ガイド 平野敦之さん)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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