領収書の保管コストは馬鹿にならない
営業の仕事ではよく地方の得意先や取引先などをまわる長期出張があります。出張先で受け取ったホテルの領収書や取引先への手土産のレシートなどがたまり、ほったらかしにしていると経理から「早く出さないと経費処理ができないので、もう払いませんよ」と言われてしまいます。月末をまたがっても申請がないと、経理としても月末で締められませんので、やいのやいの言ってきます。そうはいっても営業としては営業報告を優先しまいがちで、交通費などの経費清算は後回しになってしまいます。
2017年1月から電子帳簿保存法の要件緩和で経費精算が少し楽になりました。スキャナ保存制度というのがあり、今までも3万円未満の契約書・領収書ならスキャナ保存ができましたが、金額の上限がなくなりました。またスキャナは「原稿台と一体型」という要件がなくなり、スマホ撮影でもOKとなりました。つまり領収書をスマホで撮影すれば原本は捨ててかまわないということです。カラー撮影ではなく白黒撮影でも大丈夫です。
個人事業や従業員が少ない会社なら、領収書や契約書はそれほどの数になりませんので紙でじゅうぶんに管理できます。会社の領収書の保存期間は法人税法で決まっていて、7年間保存しなければなりません。請求書、契約書、見積書なども保存期間は7年間です。従業員が50名ぐらいになると扱う領収書や契約書は膨大な数となり、おまけに7年間保存しないといけないので、別に倉庫を借りて保管している企業もあります。しかも紛失リスクがあります。
スマホ撮影の領収書をOKにするには
領収書をスマホ撮影したら領収書原本を破棄できるのなら保管スペースはいりません。ただ全ての会社ができるのではなく、まず所轄税務署の承認を受けなければなりません。紙の保存からデジタル保存に切り替える日の3ヶ月前の日までに承認申請書を税務署に提出します。例えば、2017年4月1日よりデジタルデータで保存したい場合、2016年12月31日までに承認申請書を提出する必要があります。
デジタル保存の要件としてスマホで撮影された領収書のデジタルデータが改ざんされていないことを証明しないといけません。今までは電子署名とタイムスタンプを併用する必要があり、特に電子署名はめんどうでした。改正によりタイムスタンプの付与のみで保存することが認められるようになりました。タイムスタンプとはデジタルデータがある時刻に確実に存在していたことを示す電子証明書です。
これからの経費精算
税務署の承認を受ければ領収書などのデジタル保存が可能となり、出張先の隙間時間で精算できるようになります。クラウド会計を提供している各社では経費処理サービスを提供しており、スマホにはアプリをあらかじめダウンロードしておきます。出張先で領収書やレシートを受け取れば、アプリを立ち上げてスマホ撮影すると金額など領収書の内容をOCR機能で読み取ってデジタルデータ化します。OCR機能は少ししわの寄ったレシートであって読みとってくれますが、念のために間違っていないか確認すれば経費入力は終了。撮影した領収書やレシートをクラウドにアップロードした時点でタイムスタンプが付けられます。今までのように月末に”この領収書って、なんの出張の時だったけ”と思い悩まなくてもすむようになります。
出張する社員が多く、経費精算で月末に経理がドタバタしている職場では、ぜひ導入を考えましょう。
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