急速に広がる電子手形(電子債権)

利用登録企業が35万社を超えた電子手形

利用登録企業が35万社を超えた電子手形

紙の手形は火事で燃えたらパーになるし、盗まれたり紛失してしまい、そのことを知らない第三者(善意の第三者)から請求があれば、手形の振出人は支払わなければなりません。また手形の契約代金が10万円以上になると印紙代がかかります。取扱いが面倒なことがあり、紙の手形は年々減少しています。



紙の手形は火事で燃えたらパーになる

紙の手形は火事で燃えたらパーになる

ただ手形は現在、現金がなくても使える便利な金融手段です。そこで債権の内容を紙ではなくコンピュータで記録管理する電子手形(電子債権)が登場.。大手企業は手形の印紙代などをコスト削減できるので取引先に電子手形を使うよう要請しています。トヨタ自動車では約1000社の取引先に要請して、2012年1月から、電子手形を取引を導入しています。ある日、取引先から「電子手形で支払ってもいい?」と問い合わせがくることになります。

記録管理は電子債権記録機関のコンピュータで行われます。電子手形がスタートした当時は大手都市銀行の電子債権記録機関しかなく電子手形の振出会社と受取会社が同じ電子債権記録機関を利用する必要がありました。つまり同じ大手都市銀行の口座通しでないとダメということで使い勝手が悪かったのですが全国の金融機関が加入する全国銀行協会が運営する「でんさいネット」が2013年2月にスタート。

これで、どこの銀行でも電子手形の利用がOKになりました。1年で電子手形の普及がすすみ「でんさいネット」の利用登録企業は35万社に増え、2014年3月末には月末残高金額が1兆円を突破しています。


電子手形とファクタリングの違い

電子手形は紛失・盗難の心配がなく現金化しやすい

電子手形は紛失・盗難の心配がなく現金化しやすい

電子手形は略して電手(でんて)、または電子債権を略して電債(でんさい)と呼ばれています。電子手形は紙の手形が持つ問題点を解消したもので、振出企業のメリットは印紙代、手形発行費用、保険料、人件費等コスト削減ができることです。受取企業は紛失、盗難の心配がなくなり、支払期日に銀行へ取り立てし忘れすることもなくなります。ネットにつながったパソコンがあれば始められます。

電子手形とよく似た仕組みにファクタリングがあります。期日振込という仕組みがあり、決められた期日(90日後など)に代金を銀行振込します。手形のように印紙税などがかからないのでよく使われています。ただ手形は途中で現金化できますが期日振込は期日になるまで現金化できません。そこで現金化できるようにしたのがファクタリングです。

ファクタリング(一括支払信託)とは企業が売掛債権(期日振込の約束)をファクタリング会社に売って、ファクタリング会社が企業に代わり債権回収を行う金融サービス。企業は債権の現金化ができますので手形割引とよく似ています。ファクタリングは民間業者間で契約を結んだクローズな取引に対して電子手形は法に準拠したオープンな取引で、割引だけでなく売掛債権の分割ができます。


電子手形をはじめるには

電子手形を始めるにはまず取引のある銀行支店に申込

電子手形を始めるにはまず取引のある銀行支店に申込

取引先から「電子手形で支払ってもいい?」と問い合わせがあった場合はどうすればよいでしょう。

電子手形は振出企業と受取企業の両方が電子債権記録機関(でんさいネットなど)に登録していなければなりません。登録していない場合は取引のある銀行支店に申込をします。

電子手形はインターネット経由で行いますので、銀行によってはインターネット・バンキング申込やメールの登録などが必要になります。電子手形は法人だけでなく個人事業でも利用できます。ただし審査があるので申込して銀行の審査を受けなければなりません。審査では銀行との今までのつきあいが評価されますので、いきなり取引のない新しい銀行に電子手形を申し込むというのは難しくなります。

審査が通ると「でんさいネット」の場合は9桁の利用者番号をもらえるので自社の会計システムがあるのなら決済口座と紐付けなどが必要になります。利用者番号は「でんさいネット」で照会などを行う時に必要な番号になります。