企業のIT活用/システム運用管理

【うるう秒とは】2017年元旦には8時59分60秒がある

元旦2017年1月1日8時59分60秒の次は1月1日9時00分にならず、8時59分60秒となり、閏秒(うるう秒)が追加されます。閏年(うるうどし)とかよく聞きますが一体なんなのでしょうか。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

4年に一度しか歳をとらない閏(うるう)年

今年の大晦日には23時59分60秒がある

今年の元旦には8時59分60秒がある

1年365日ですが実際は約365.242194日です。1年に端数があると、やっかいなので太陽暦を作った人が365日を1年と決めました。ただ年ごとに端数分が累積するので補正するために4年経つと閏(うるう)年として2月で補正します。閏年の2月は29日(閏日)までとなります。

タレントの峰竜太さんが2月29日生まれですが2月29日が誕生日の人は4年たってはじめて1つ歳をとるということはなく日本では3月1日に1つ歳を重ねます。昔、アイルランドでは2月29日に女性が男性にプロポーズでき、男性は断れないという伝統がありました。断るには罰金を払うか、絹のドレスを贈らないといけませんでした。

月の満ち欠けを使って計算する太陰暦の1年は約354.367068日となり、太陰暦では354日を1年と決めています。太陽暦に比べて約11日短く、3年過ぎると、約1か月のずれがでます。そこで3年過ぎると、閏(うるう)月を付けたし、その年を13ヶ月にしました。赤穂浪士の討ち入りがあった元禄15年はこの閏月があった年でした。

明治に大安、仏滅が生まれる

明治に大安、仏滅など六曜が生まれた

明治に大安、仏滅など六曜が生まれた

映画化された小説「天地明察」で描かれたように江戸時代は太陰暦が使われていました。太陰暦は農作業に便利で、暦には二十四節気が書かれていました。二十四節気とは1年を24等分した季節の変わり目です。今でも寒の入り、節分、立春、啓蟄、春分、立夏、入梅、夏至、立秋、秋分、立冬、冬至はよく使っています。

また暦の日には歴注が書かれていました。歴注というのは日時・方位などの吉凶やその日の運勢などです。方角が悪いと方違え(かたたがえ)と言って目的地とは別の方角に行ってから方向を変えて目的地に向かうようなことが行っていました。

暦は専門業者が作成し、販売していました。ところが明治になると、お上が改暦を言い出します。西洋諸国にあわせて太陽暦の導入です。もう一つとんでもないことを言いだします。今後は暦注みたいな迷信は書いちゃだめというお達しです。さあ困ったのが暦の作成業者。新暦(太陽暦)で暦を作っても日だけしか書かれていない暦なんか、誰も買いません。このままでは倒産です。

苦肉の策で、”これなら歴注じゃないでしょう”と暦に入れたのが六曜です。お上も倒産まで追い込むのはと考えたようで黙認となりました。六曜というのは先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口で、意味がない単なる順番なんですが”結婚式はやっぱり大安”、”友引の葬式はダメ”と現在まで伝わることになってしまいます。

2012年の閏(うるう)秒ではシステム障害が発生

東京証券取引所では1秒間の注文処理件数は5万件

東京証券取引所では1秒間の注文処理件数は5万件

世の中のスピードが速くなると閏月、閏日だけの補正ではすまなくなり秒単位の補正を行っています。これが閏秒です。昔、地球公転速度から計算した秒と実際の秒との差異の補正です。新年そうそう、2017年1月1日8時59分59秒の次は1月1日9時00分にならず、8時59分60秒となり閏秒が追加されます。
(※うるう秒の挿入は、世界標準時では大晦日の2016年12月31日23時59分に行われ、新年が明けるのが1秒遅れます。)

今までに閏秒の追加は26回行われており、直近では2012年に行われました。2012年7月1日08時59分59秒と09時00分00秒との間に59分60秒が挿入されました。2012年の閏秒ではSNSサービスが長時間ダウンしたり、Webサービスにトラブルが発生したりとシステム障害が発生しています。

1秒というのはコンピュータにとってはすごく長い時間です。スーパーコンピュータ「京」は1秒間に1京回(1の後ろに16個のゼロがつく)の計算をします。東京証券取引所の最新の株式売買システムでは1秒間の注文処理件数は5万件になっています。1秒あれば株価が大きく動き暴落するにも十分な時間です。

Googleには23時59分60秒がない

閏秒を挿入すると2012年と同じようなシステム障害がもっと大規模に発生する可能性があるため、GoogleはNTPサーバを20時間低速化させ、20時間かけて閏秒の挿入と同じ1秒をかせぐことにします。NTPサーバーとは時刻サーバーとも呼ばれコンピュータが時刻をあわせるのに使います。

昔のアナログ時計では時報と共に手で時刻をあわせました。今はインターネットにつながったパソコンやサーバーなどは、基本は内臓時計ですが、だんだんずれるのでNTPサーバーを参照して時刻合わせをしています。最近のスマホにもこの機能があります。

GoogleのサービスはGoogleのNTPサーバを使っているので、閏秒を挿入せずに新年を迎えます。

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