韓国語の3つの試験、それぞれの特徴を知ろう
韓国語を習い始めてしばらくすると、自分の能力がどのレベルまでいったのか、確かめたくなりますね。日本人が受けられる韓国語能力試験は3つあります。
<目次>
初級者にお薦めの「ハングル能力検定(ハングル検定)」
日本での認知度1、2を争うのが『ハングル能力検定試験(ハングル検定)』。過去の問題集を見て、「あ、これなら私にも受けられるかも」 と思われた方もいらっしゃるのでは。 なぜかというと、設問が日本語で書かれているなど、日本で学習する人向けに試験が作成されており、試験の所要時間も90分~120分と、さほど負担がないためでしょう。
まとまった量の作文を書く必要もありませんので、韓国語の勉強を初めて間もない方でも、最初の5級から気軽に受けることができます。それでは、基本情報を見てみましょう。
■公式ホームページ
ハングル能力検定試験
■基本情報
- 主催:ハングル能力検定協会
- 開始年:1993年
- 実施国:日本のみ
- 評価基準:5級、4級、3級、準2級、2級、1級
- 受験料:3,700円(5級)~10,000円(1級)
- 所要時間:90~120分
■試験内容
「筆記」と「聞き取り」のマークシート式
※5級~準2級の設問は日本語/2級・1級の設問は韓国語
※1級のみ『筆記』内に記述式問題あり。1次試験合格者は2次試験(面接)あり
■採点方式
- 5級・4級:100点満点中60点以上で合格。
- 3級:100点満点中60点以上で合格(筆記24点、聞き取り12点以上必須)
- 準2級:100点満点中70点以上で合格(筆記30点、聞き取り12点以上必須)
- 2級:100点満点中70点以上で合格(筆記30点、聞き取り16点以上必須)
- 1級:100点満点中70点以上で合格(筆記40点、聞き取り16点以上必須)※1次試験合格者は2次試験に進む
■過去問・試験対策本など
過去問題集、参考書などが紹介されています。詳しくは、ハングル能力検定協会『書籍購入』のページへ。
■問い合わせ先
ハングル能力検定協会
韓国政府関連の「韓国語能力試験(TOPIK)」
「韓国語能力試験(TOPIK)」は「ハングル検定」と並んで日本における認知度が高い試験です。韓国政府系の団体「国立国際教育院」が認定しているため、韓国企業などにも実力を認めてもらいやすい、という理由があります。この試験は世界各国で行われているため、問題の質問文は韓国語です。読むことに時間を費やしてしまう方がいますが、それはとてももったいないこと。過去問題を何回も解き、質問文のパターンを覚えておきましょう。この「韓国語能力試験」は2014年に大幅な試験問題改編が行われました。どのように変わったのかは、以前の記事『新・韓国語能力試験(TOPIK)の攻略法』をご覧ください。また、日本で受験できるのは年に2回でしたが、2017年より年3回に増えました。「韓国語能力試験(TOPIK)」の基本情報は以下です。
■公式ホームページ
韓国語能力試験/韓国教育財団
■基本情報
- 主催:財団法人 韓国教育財団 (韓国では、国立国際教育院)
- 開始年:1997年
- 実施国:韓国・日本・中国、その他アジア・アメリカ・ヨーロッパなど70ヵ国以上
- 評価基準:TOPIK1(初級/1・2級)、TOPIK2(中上級/3~6級)
- 受験料:TOPIK1は4,500円、TOPIK2は6,000円。
※総合得点によって、1級もしくは2級、または不合格と振り分けられます
■所要時間及び試験内容
- TOPIK1は、『聞き取り』40分、『読解』60分。休憩なしの2教科100分間。
- TOPIK2は、『聞き取り』60分、『書き取り』50分。この後30分の休憩を挟み、『読解』70分。よって、試験のみの時間は3教科180分
■採点方式
1級は80点以上、2級が140点以上(以上TOPIK1)で合格。3級は120点以上、4級は150点以上、5級は190点以上、6級は230点以上(以上TOPIK2)で合格
■過去問題集の入手方法
Webサイトからダウンロードする
インターネット上で、過去問題を解くことができます。ただ、遷移先は韓国語が標準表記なのでご注意をしてください。
TOPIK資料室-かじりたてのハングル
聞き取り問題の音声、台本もあり、非常に分かりやすく整理されています。
■問い合わせ先
財団法人 韓国教育財団
韓国語で日本を語るプロになる「通訳案内士試験」
こちらはがらりとおもむきの違う国家試験です。韓国語上級者で、かつ韓国語で日本の地理・歴史・政治などを正確に紹介できる能力を持つ方、またそれを目指す方のための試験で、平成29年に実施された試験の合格率は15.6%という狭き門です(参考資料:平成29年度 受験者数及び合格者数)■公式ホームページ
通訳案内士試験概要
■基本情報
- 主催:日本政府観光局(JNTO)
- 開始年:1947年(当時は英語のみ)
- 実施国:日本、韓国
- 受験料:11,700円 (2ヶ国語受検は23,400円)
■試験内容
○一次試験(筆記)
1.外国語についての筆記試験 (記述式とマークシート方式の併用)
英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語のうち、受験者の選択する1ヶ国語
※ただし、今年度一つの外国語科目が免除となり、併せて他の外国語科目の受験を希望する場合、又は二つの外国語科目が免除となる場合は、2ヶ国語の申請が可能となります。
※ハングル能力検定試験1級、韓国語能力試験6級保持者は韓国語試験が免除となります。
2.日本語による筆記試験(マークシート方式)
日本地理、日本歴史、産業・経済・政治及び文化に関する一般常識
○二次試験(口述)
筆記試験で選択した外国語による通訳案内の現場で必要とされるコミュニケーションを図るための実践的な能力について判定
■筆記試験過去問題(一部)
こちらをご覧下さい。
■問い合わせ先
日本出版販売株式会社内 全国通訳案内士試験事務局
TEL:03-3518-9018(10:00~18:00 土日祝休業)
通訳案内士という資格について、補足します。これまで有償で(給料をもらって)外国人に観光案内をするためには、この通訳案内士の資格を所持している必要がありました。しかし、昨今の外国人観光客増加等の理由から、この資格がなくても外国人への観光案内を可能とすべきではないか、という議論が数年前から盛んになり、平成29年6月2日に改正通訳案内士法が公布され、平成30年1月4日に正式に施行されました。
今後、通訳案内士は「全国通訳案内士」となるほか、通訳案内士の業務独占規制が廃止され、今後は資格を有さない方であっても、有償で通訳案内業務を行えるようになるなど、通訳案内士制度が大きく変わりました(参考:通訳ガイド制度(観光庁ホームページ))
しかし、通訳案内士は難易度の高い国家資格として、そのステイタスは残り続けるでしょう。何よりも、試験勉強をすることで日本について深く知り、それを外国語でどう表現すれば外国の人が分かってくれるか考え抜く、という学習の過程は大変有益なはず。ぜひ、今後もチャレンジする人が増えてほしいと思います。
韓国語上達のために試験は受けるに超したことはない
以上、3つの韓国語関連試験をご紹介しました。試験を受けるために勉強したり、実力試しをしたり、学習の張り合いにしたりと、試験とはいろんな付き合い方ができますが、私としては「受けるに越したことはない」と思っています。合格だけが目的になることは良くないかもしれませんが、その後の何かを見据えながら試験に向けて準備し、受験し、そして結果を受け止めるという過程は、必ずしや外国語を学習される皆さんのためになるでしょう。ぜひ定期的にこれらの検定試験を受けてみてください!
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