フルマラソンの次は「ウルトラマラソン」に挑戦!
フルマラソンを完走後、「もっと長い距離に挑戦してみたい」とウルトラマラソンを目指すランナーが増えています。しかしランナーからは、「フルマラソンとウルトラマラソンは別物」といった声も。いったいウルトラマラソンとは何なのか。取り巻く環境の変化を踏まえつつ、完走に向けたアドバイスまでをご紹介しましょう。ウルトラマラソンとは?
フルマラソンからウルトラマラソンへ挑戦するランナーが増加
「みやぎ湯めぐりマラニック」プレ大会のスタート模様
前後泊必須とされた珍しい大会で、前日は「作並温泉」(仙台市青葉区)、そして当日のゴール後は「秋保温泉」(仙台市太田区)に全ランナーとスタッフが宿泊します。さらにコース上にも「青根温泉」「遠刈田温泉」があり、中にはレース中に温泉へ入浴する参加者の姿も。大会でありながら、その地域を満喫できる大会内容と言えるでしょう。県外からの参加者も多く、走ることのみならず観光的な楽しみも魅力となったようです。
ウルトラマラソンで出会える素晴らしい景色
魅力を感じてもらえれば、今度はレース以外でその地域を訪れたり、またリピーターとしてレースに参加してくれたりする可能性もあるでしょう。実際、私も改めてレース後に家族を連れ、観光目的でその地を訪れたことがあります。
ウルトラマラソンの魅力
ウルトラマラソンでしか味わえない楽しみを見つけよう
<速く走れる必要はない>
100kmマラソンであれば、制限時間は14時間とされている大会が大半を占めます。これをイーブンペースで考えてみると8分24秒/km。ハーフマラソンやフルマラソンと比べて、1km当りのペースは非常にゆったりしていることが分かるでしょう。もちろん距離が長くなれば疲労が蓄積しますし、途中で給水も必要です。しかし完走を目指すのであれば、何より「100kmを走り(動き)続けられる」ことが求められます。速く走るのは苦手、あるいは少しずつハイペースで走ることが辛くなってきたという方なら、むしろ挑戦しやすいと感じられるかもしれません。
<他ランナーとの交流が多い>
よほど追い込んで走らない限り、レース中でも息があがりません。そのため、走りながら会話を楽しむランナーは少なくありません。“同じウルトラマラソンに挑戦している”という共通点があるため、見知らぬ者同士でも話題が生まれやすいでしょう。また、給水所でも足を止めて休む人が多く、スタッフとの会話も楽しむことが可能です。
さらにウルトラマラソンはまだ競技人口が少ないため、知り合ったランナーと他大会で再会なんていうこともあり得るでしょう。次第に、ランナー同士の輪が広がっていきます。たとえ住んでいる場所が違っても、大会でたびたび顔を合わせられる仲間。とても貴重な関係になるはずです。
<その土地を満喫できる>
大自然の中を走ったり、観光スポットを巡ったり。100kmという距離だからこそ、走ることでその土地の素晴らしさを存分に感じられるでしょう。大会側もランナーに喜んでもらおうと、走り応えがあり、かつ、自然など見どころ満載のコースを用意する傾向にあります。例えば離島で行われる大会では、コースが島一周なんていうことも。車や電車移動では味わえない、その土地の姿に出会えます。
ウルトラマラソンで完走するためには
ウルトラマラソンを完走することは容易ではありません。ここで「ウルトラマラソンを完走したい」という方に向けて、練習や準備などアドバイスをお伝えしておきます。基本的なことですが、是非とも参考にしてみてください。まずはウルトラマラソンの特徴を理解しよう
◎いつもより長く走る
インターバルやレペティション、ペース走、LSDなど。ランニングにはさまざまなトレーニング方法があります。ウルトラマラソンに向けたトレーニングであれば、まず“長く走る”ことに慣れましょう。例えばフルマラソンまでしか走ったことがないならば、50km・60kmという距離を走ってみる。このとき、ペースは考えなくても構いません。休憩を入れたり、ちょっと歩いてしまったりしても良いでしょう。いつもよりペースを落とし、その代わり長く走ってみる。ペースを落とすとフォームが崩れるランナーは多く、ウルトラマラソンに向けた課題も見つかるはずです。
◎食べながら走ってみる
ウルトラマラソンは長く走る分、どうしても走りながらエネルギーを補給しなければいけません。中には途中でお腹が減ってしまう方もいるでしょう。給水所でも、おにぎりなど固形物を提供する大会が多く見られます。しかし普段、“食べながら走る”という経験はなかなかしないもの。いきなり大会でこれを経験すると、お腹が痛くなったり、揺れによって内臓がダメージを受けてしまったりするかもしれません。LSDなどの際、途中で固形物を補給して走ってみましょう。
◎アップダウンを積極的に
距離が長くなるほど、フラットコースは作りにくくなります。そのためウルトラマラソンに出場する場合、ほとんどの大会はアップダウンがあると考えましょう。その程度はさまざまですが、中には累積標高差が2,000mを超える大会も。急坂での坂道トレーニングも良いですが、長い登り坂を永遠と走り続けるといった経験も活きてくるはず。私はよく休日を使い、少し離れた峠やトレイルコースを走っています。
<準備>
◎シューズ
フルマラソン等と同じシューズで走ろうと考えている方は、ちょっと待って下さい。走りきれないとは言いませんが、もしスピード重視で選んだシューズの場合、ウルトラマラソンのような長時間レースには向いていない可能性があります。ただし、ただソールの厚いクッション性に優れたものを選べば良いというわけではありません。ソールの形状や硬さ、フィット感などから、自分のイメージする走りに合ったシューズを用意しましょう。
◎気候に合わせた服装
14時間にも及ぶ大会では、当然ながら気温や天気が移り変わります。スタートした早朝は気温が低くても、日中に直射日光が当たり、汗だくになるかもしれません。あるいは、途中で土砂降りに遭うことだってあるでしょう。そのため、例えば状況により脱ぎ着できるような服装にしておくと安心です。アームウォーマーやバフ、ランニンググローブなどの小物を活用するのも良いでしょう。なお、ウルトラマラソンには中間点に荷物をドロップ(=預ける)できる場合もあり、ここでウェアの着替えを行うのもオススメです。
その他、給水所の少ない大会であれば、自分で水分や補給食などを持ち運ぶ必要性も出てきます。そうなれば、バックパックも用意しなければいけません。バックパックは身体に合ったものを選ばないと、走行中に擦れるなどトラブルが起きることも。必ず店舗で試着してみましょう。ただし基本的には、“できるだけ身軽である”ことを推奨します。これは荷物が重くなるほど、走る際の負担も増加するため。何かを持って走る場合でも、最小限を心掛けてください。
一筋縄ではいかない……だから楽しい!