「冷静なあの人がなぜ!?」―理知的な人がまさかの愚行に陥る理由
感情に向き合わず、理屈で自分を納得させてしまうことが、失敗のタネになることも
すると、ストレスには冷静に対処できても、抑圧した感情は解消されず、何かのきっかけにその感情が噴出してしまうことがあります。そして周りが驚くような愚行に陥り、結果的に失態を犯してしまうことがあるのです。
理屈で自分を守っていると、素直な感情は抑圧されたままになる
たとえば、恋心を抱いて異性にアプローチしたところ、まったく相手にされずに遠まわしに断られてしまったとします。こうしたときに理屈に頼る人のなかには、「恋愛に振り回されるなんて、時間の無駄」「どうせ異性は“外側”しか見ていない」などと理屈で自分を納得させて、失恋のストレスから逃れようとすることがあります。理屈で自分を守っていれば、傷つくリスクを回避することができます。しかし、「あの人が好きだ」「恋愛をしたい」といった素直な感情は満たされず、抑圧されたままになります。その結果、たとえば酒席で理性の抑制が外れたときに、恋愛への欲求が過激な形で噴出し、セクハラ的な行為が生じてしまったり、自分が優位な立場に立ったときに、支配的な形で恋愛欲求を満たそうとしたり……こういった事態が生じてしまうことがあります。
感情と理性のバランスを取り、双方を素直に表現していますか?
まずは、ストレスに遭遇したときの心の動きを見つめてみよう
大切なのは、感情と理性のバランスを取り、双方を素直に表現すること。ストレスに遭遇したときには素直な感情と向き合い、理性を使って対処方法を考えていくことです。
先の例で考えれば、失恋のショックを受けたときに、理屈を使って素直な感情から逃げないことがまず大切です。振られた悲しさと、まずはじっくり向き合ってみること。「胸がじんじん痛くなる」「眠れないほどつらくなる」こういった素直な心の動きを、ゆっくり味わってみることです。自然な感情に向き合うと、あるがままの自分を認めることができます。すると、心の傷は穏やかに癒されていきます。
心の傷が癒えたら、理性で合理的な対策を考える
心の傷が癒えてきたら、次に必要なのが理性で合理的な対策を考えることです。同じ状況で同じ感情を味わった人の体験談を読んだり、その後の対処法を調べるなどして、失恋から立ち直る方法を考えてみましょう。自分磨きに励んだり、コミュニケーション方法を工夫したりして、自信を持って恋愛にアタックできる自分づくりを始めてみるのもいいでしょう。
心の傷が癒えた後に理性の力を上手に使えば、ストレス対処力は向上し、次に同じようなストレスに遭遇したときのダメージを最小限に抑えることができます。そして、同じ轍を踏まないための効果的なアプローチも考えることができるのです。
特に、日頃から理屈で自分を守ろうとしている人は、自然な感情を抑圧し、頭のなかだけで物事に対処しようとする傾向が強いのかもしれません。 感情と理性のバランスを大切にし、双方を素直に表現することができれば、つらいときにも慌てずに乗り越えていくことができます。
まずは、何かのストレスに遭遇したときに、自分の感情をじっくり見つめていくことから始めてみませんか?