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味も形も千差万別!極上中国緑茶ベスト5【2016年版】

実は、中国茶の中で最も種類が多いお茶は緑茶です。その味と形は千差万別。今回は2016年に飲んだ緑茶の中から美味しかった5種類を紹介しながらその違いをお伝えしたいと思います。中国緑茶の中で最大の茶葉もご紹介します。中国茶を勉強中の方、参考にしてくださいね。

清水 真理

執筆者:清水 真理

中国茶ガイド

2016年版「極上の中国緑茶」厳選5種

日本では、中国茶というと「烏龍茶」というイメージが強いですよね。でも中国で一番飲まれていて一番種類が多いお茶は「緑茶」なんです。中国緑茶は、日本の緑茶とは違い、摘む時期や製法によって様々な味・形に作られています。その種類は1000種類以上もあると言われています。そして今も新しいお茶が作られているんですよ。

今回は私が2016年に飲んだ緑茶の中から美味しいと思ったお茶5種類と中国緑茶最大の茶葉と最小の茶葉の大きさの違いをご紹介します。びっくりするほど違う茶葉の大きさです。中国茶を勉強中の方、ぜひ参考にして下さいね。


径山茶 <浙江省> (jing4 shan1 cha2 / けいざんちゃ)

徑山茶

徑山茶(けいざんちゃ)

始めて聞くという方もいらっしゃると思いますが、径山茶は日本茶のルーツかもしれないと言われているお茶です。名前の由来になっている浙江省にある径山寺へは、日本から何人もの僧侶が修行に行き、禅文化と一緒ににその後の日本茶文化に大きな影響を与えるお茶の文化を持ち帰ってきています。中国茶好きの間ではとても有名で人気の高いお茶です。

今年出会ったお茶は、鮮やかな緑と産毛の白い部分のコントラストが美しく、お湯の温度を少し下げて淹れると、舌の上で転がるようなまろやかさと甘味が感じられる美味しいお茶でした。この感じが日本茶に似ているので日本人は好まれるお茶だと思います。


太平猴魁 <安徽省> (tai4 ping2 hou2 kui2 / たいへいこうかい)

太平猴魁

太平猴魁(たいへいこうかい)

このお茶が、中国緑茶の中でも最大の茶葉と言われるお茶です。写真の茶葉の長さはだいたい8~9センチぐらいあります。お茶というよりは海草や野菜のようにも見えるので、初めて見る方は大抵驚かれます。

このお茶の特徴は茶葉の表面に網目の模様があることです。網の上に茶葉一本ずつを並べて扁平に仕上げるので網の形が茶葉につきます。豪快な外観ですが、味はとても繊細でやさしいお茶です。今年飲んだお茶は、とても口当たりが柔らかく、ほんのりとした甘さの中にかすかにこうばしさが香る、上品で美味しいお茶でした。

このお茶は、茶葉の形状を活かしてシャンパングラスのような長いガラスの器に縦に入れて振る舞われることもあります。グラスの中に茶葉が立つ様子が珍しいので、もしも手に入れることができた時はやってみてくださいね。お勧めです。


安吉白茶 <浙江省> (an1 ji2 bai2 cha2 / あんきつはくちゃ)

安吉白茶

安吉白茶(あんきつはくちゃ)

お茶の名前に「白茶」という文字が入っているので白茶と勘違いされる方も多いのですが、このお茶は緑茶です。浙江省安吉県で1990年代から作られるようになった比較的新しいお茶です。茶葉の色が白っぽいことからこの名前が付けられています。

アミノ酸の含有量が多い品種で旨みが強く美味しいお茶なので、発売後爆発的に人気が出ました。でも、その人気故に沢山のお茶が出回るようになり、近年少し味が落ちたのでは?という声も耳にしていましたが、今年出会ったお茶は爽やかな緑の香りにしっかりとした旨みを併せ持ったとても美味しいお茶でした。一度「いま一つかな?」と思ったお茶でも飲み続けているうちにまた美味しいお茶に出会えるのも中国茶を飲む面白さの一つです。


雨湖春芽 <湖南省> (yu3 hu2 chun1 ya2 / 日本語読みなし)

雨湖春芽

雨湖春芽

今年初めて出会ったお茶です。中国緑茶の種類は1000種類以上とお伝えしましたが、今もどんどん新しいお茶が作られています。湖南省と聞くと四川省とならんで「激辛料理」が有名ですが、お茶の産地としてもとても有名な省なんです。中国銘茶というと必ずと言ってよいほど名前が挙がる「君山銀針(くんざんぎんしん)」という黄茶は湖南省を代表する銘茶ですね。

今回出会ったお茶は緑茶で、苦味、旨み、甘味のバランスがとても良く、微かに柑橘の香りがするとても美味しいお茶でした。今も登場し続けている中国緑茶ですが、聞いたことのない名前のお茶や調べてもなかなか見つけられないようなお茶は、もしかしたら作り手さんがその時限りで名前を付けたお茶なのかもしれません。中国茶の世界には時々そんな事があります。もう二度と出会う事ができないかもしれないお茶、しかも美味しいお茶に出会った時は本当に嬉しいものです。


浙江龍井 <浙江省> (zhe4 jiang1 long2 jing3 / せっこうろんじん)

浙江龍井

浙江龍井

5つ目は浙江龍井です。今年最高の「西湖」龍井については記事に書きましたが、このお茶は西湖ではなく「浙江」龍井というお茶です。この違いは、「西湖龍井」という名前は、浙江省にある西湖周辺に広がる特定の地域で作らたお茶だけが名乗ることができるのに対して、その周辺で作られる龍井茶は「浙江龍井」と呼ばれています。

ただ、美味しいお茶というのは名前だけで決まるものではありません。このお茶もブランドとしては西湖龍井に劣るかもしれませんが、味も香りも素晴らしく、美味しいお茶でした。値段も西湖龍井に比べるとずっとリーズナブルなので、普段飲むお茶としてならこちらをお勧めしたいお茶です。

いろいろなお茶飲む事でどんどん味覚は広がっていきます。お茶を飲む時は自分の舌をしっかり信じて飲んで欲しいと思います。そうしているうちに、いつか必ず本当に「美味しい!」と思えるお茶に出会えると思います。


中国緑茶の茶葉の大きさの違いにびっくり!

太平猴魁と碧螺春

太平猴魁と碧螺春の茶葉。多きさの違いに驚きます。

最後に、中国緑茶の中で最大と言われている茶葉と最小と言われている茶葉の比較をご紹介します。上の写真の右側が今回ご紹介している「太平猴魁」で、左側が以前にご紹介した「碧螺春(へきらしゅん)」というお茶で、どちらも緑茶です。太平猴魁の茶葉が8~9センチ、碧螺春は5ミリぐらいでしょうか。大きさももちろん違うのですが、その形も全く違いますよね。驚きです。

さらに面白いのは、この2種類のお茶、飲んだ時に力強いお茶だなと感じられるのは茶葉が小さい碧螺春の方なのです。心地よい苦味に旨みもあるので、比較的日本人に好まれるお茶だと思います。これに対して太平猴魁は、先に書いた通り、まろやかな優しい味わいのお茶です。日本茶にはないタイプのお茶です。

摘み期や製法によって、お茶の味がこんなに変わるのは本当に不思議です。大きいから苦いのかな?なんて思ってしまいがちですが、飲んでみなければ分からないのが中国緑茶です。ぜひいろいろなお茶を飲んで見て下さいね。日本茶とはまた違った楽しみがありますよ。

さて、本当に千差万別な中国緑茶ですが、緑茶は以前にもご紹介したとおり長期保存に向いていません。忘れて放っておいたら黄色くなってしまった!なんていうこともしばしばあります。もしお手持ちの中国緑茶が美味しいものでしたら、ぜひフレッシュなうちに飲まれることをお勧めします。「今年のものも美味しいけれど、来年もまた美味しいお茶に出会えるわ」ぐらいの気分で飲んでしまわれると良いと思います。


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2015年版 「極上の中国緑茶」厳選5種
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