メタ認知のトレーニングに必要なこと 1. 「モニタリング」
「私は今、なぜイライラしているのかしら」―こうして自分を振り返られるのは「メタ認知」の力
たとえば、他人に対して苛立ちを感じたとき、その苛立ちに任せて感情を発散させるのではなく、「自分は何に反応して苛立っているのだろう?」とモニタリングするクセをつけてみましょう。すると、自分が苛立ちを感じるときのパターンを理解することができます。
苛立ちのパターンは、それこそ十人十色です。たとえば、ある人は特定の“声”や“話し方”に、いつも苛立ちを掻き立てられているのかもしれません。このように、モニタリングを通じて「自分が何を不快に感じるのか」が分かると、「苛立ちの対象は相手の行動のすべてではないこと」を理解でき、対人関係におけるかなりの不快感を軽減できます。
メタ認知のトレーニングに必要なこと 2. 「コントロール」
メタ認知の機能を高めるために必要なもう一つの行動――それは、「コントロール」。メタ認知でモニタリングした結果に基づき、対処行動の目標や計画を設定することです。前述の例では、「特定の声や話し方に苛立つ」というモニタリングの結果に基づいて、それらに対する対処の方略を設定することが、コントロールにあたります。その方略もまた、十人十色。「“声”や“話し方”ではなく、“相手が話していること”に注目する」という対処を選ぶ人もいれば、「その“声”の持ち主、その“話し方”をする人との接触を減らす」ことを必要に感じる人もいるでしょう。
こうした方略を試しながら再びモニタリングし、その方略を修正したり別の方略を試みたりしてコントロールする――このようにモニタリングとコントロールの実践を繰り返していくと、メタ認知の機能を高めていくことができます。
メタ認知を積極的に活用すると、目の前に生じる不快な出来事にいちいち振り回されず、認知の力で自分の行動を制御することができるようになります。すると、自分に自信をもつことができ、常に前向きな気持ちで行動できるようになるでしょう。ぜひ、自分に備わっている「メタ認知」を育て、存分に活用してみてください。