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パズドラが露わにしたガチャ自主規制の抜け道(3ページ目)

モバイル端末向けゲームなどで多く採用されているアイテム課金方式のガチャに関して、日本オンラインゲーム協会(以下JOGA)は新しい「ランダム型アイテム提供方式を利用したアイテム販売における表示および運営ガイドライン」を2016年4月1日から施行しました。しかし、どうやらそこには、大きな抜け穴があったようです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

穴のある自主規制では、業界を守れない

ゲームユーザーの図

安心して、ゲームを楽しんでもらえるような自主規制でなければ、業界も守れません(イラスト 橋本モチチ)

繰り返しになりますが、パズドラがガイドラインを守りたくないからこういう方法を取ったのか、誠実に運用をした結果こうなってしまったのか、ということは簡単には判断できません。しかし、簡単には判断できないということ自体が問題です。さらに言えば、パズドラがどうであれ、この方法を使えばいくらでもズルができそうだな、と多くの人に思わせてしまったことは、ガイドラインの意義そのものを危うくします。

業界にとっての自主規制というのは、問題が拡大する前に自分たちで規制をすることによって、外部から一方的に介入されることを防ぐという意味があります。そのためには、外側から見た人に、きちんと守るべきことを守っているから安心だね、と、信用してもらう必要があります。

しかし、試行されるなり、トップメーカーが、ガイドラインを無意味化しかねない形で運用してしまっては、全く信用してもらえません。実際のところ、何か隠したいことがあるからこういう方法を取るのではないか、と思った人も少なくないでしょう。結局こうやって誤魔化していくんだ、と考えた人も多いのではないでしょうか。

2016年4月27日に、ゲームメーカーの業界団体「一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(以下CESA)」も、「「ネットワークゲームにおけるランダム型アイテム提供方式運営ガイドライン」を発表しています。CESAは、JOGAや、一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラムと連携して取り組むことを明示していまして、CESAのガイドラインも、JOGAのそれとかなり似ています。今回取り上げた、レアガチャアイテムの定義や、有料ガチャ運営の際の規制には、ほぼ同じ表現が採用されています。つまりこれも、ガイドラインとして機能するものか、疑問符がついてしまったということになります。

自主規制は、ユーザーに安心して利用してもらうためのものでありますが、そのことが結果的に業界を守る、という性質のものでもあります。しかし、このガイドライン、この運用で、本当に業界を守ることができるのでしょうか。ガイドライン自体も、その運用についても、もう1度議論しなおす必要がありそうです。

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【関連サイト】
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