NASのデータ転送で0が1になってしまうことはあるのか
NASでファイルを受け渡す時、TCP/IPというプロトコル(規約)が利用される。ご存じのようにインターネットで利用されているプロトコルで、詳細は省くが強力なエラー訂正機能がある。もし、NASのデータ転送で少しでもデータが変化してしまえば、音質は確実に悪くなる。さて、これを検証してみよう。
【検証方法】
[1]pink_noise_60Sec.WAV/pink_noise_60Sec01.WAVという同じ内容のファイルをコンピュータに用意する。
この2つのファイルには、同じピンクノイズが録音されている。ピンクノイズとは、パワーが周波数に反比例する信号で、音響調整や音場測定でよく利用されるサンプル信号である。
IO DATA 「RockDisk for Audio」 HLS-C2.0HF 販売価格 \28,864 (同社のHPより引用)
利用したNASは、比較的リーズナブルなRockDisk for Audio だ。コンパクトな筺体、HDD仕様であっても騒音は極小だ。サーバーソフトも予めインストールされているのでネットワークオーディオですぐに利用できる。初心者に優しい仕様のNASと言える。
[3]WindowsコマンドのFCで2つのファイルの差異を見る。結果は以下の通りだ。
何度もコピーしたのにも関わらず、データの変化は見られない。もっともTCP/IPのファイル転送でデータが化けていたら、LANはもとより、インターネットの世界でも大混乱が起こる。D:\>fc /B pink_noise_60Sec.wav pink_noise_60Sec01.wav
ファイル pink_noise_60Sec.WAV と PINK_NOISE_60SEC01.WAV を比較しています
FC: 相違点は検出されませんでした
今回利用したRockDisk for Audioのみならず、ほかの安価なNASでも伝送中にデータが化けることはまず無い。
では、なぜNASによって音質が変わるのか。次のページで考えていこう。