蛍狩りは日本の夏の風物詩! ホタル観賞の時期・時間帯は?
蛍の光にしばし見とれる夏の夜……蛍狩りは日本の風物詩ですね。環境の変化により一時は激減しましたが、蛍の飛ぶ環境を取り戻そうという動きが各地であり、蛍がみられる場所が少しずつ増えています。蛍狩りを楽しむための豆知識と、蛍の名所やイベントスポットを紹介しますので、幻想的な蛍の光をぜひ楽しんでみてください。東京でも蛍狩りができますよ。<蛍狩り 目次>
蛍狩りの楽しみ方!主役・ゲンジボタルとヘイケボタルの基礎知識
蛍狩りの時期
蛍が見られるのは、早くて5月下旬から7月中旬頃となります。蛍が生息している場所は?
流れが緩やかできれいな川や水田などの草むらに生息しています。水温は15度~20度がよく、餌になるカワニナがいることが条件です。蛍がみられるのはどんな時? 時間帯は?
最適なのは、風がなくどんより曇った蒸し暑い夜(目安は20度以上)。川や水田の草むらから、日没後1~2時間をピークに活動するので20時台が目安となります。雨や風の強い日、気温が低い日、月の明るい日はあまり活動しません。蛍狩りのマナー
- 蛍狩りは蛍をめでるもの。捕まえたりするのは厳禁です。
- 蛍はとてもデリケートな生き物です。警戒しないよう静かに観賞しましょう。とくに明るい場所が苦手なので、懐中電灯やカメラのフラッシュも控えます。
- 蛍が生息できる環境を保ちましょう。草むらに立ち入ったり、川を汚したりしない。
- ゴミも必ず持ち帰ります。
- 地元住民の迷惑にならないよう配慮します。
蛍の光はラブコール
私たちは蛍といえば光るものだと思っていますが、それが当たり前ではありません。世界では2000種ほど、日本でも40種ほどの蛍がいるといわれていますが、幼虫のときは発光するものの、その多くの成虫は発光しないのだとか。ほとんどの蛍が一生を陸上で過ごし、昼間に活動するため、光ではなく匂いを発しているそうです。蛍狩りの主役となるゲンジボタルとヘイケボタルは、長い幼虫期を水中で過ごし、発光する珍しい種類なのです。きれいな川に住むカワニナという貝を食べて成長するため、自然環境のバロメーターにもなっています。では、蛍の成虫が発光するのはなぜでしょう? それは、求愛信号だと考えられています。成虫期間はおおむね1~2週間程度で、オスが飛んで発光しながらラブコールを送り、それに応えてメスが光れば婚約成立で、オスがメスのもとに飛んでいきます。そして交尾、産卵をしてお互いの一生を終えることになります。
短い成虫時代を精一杯輝いて生きているのですね。命をかけた恋のときめきが伝わってきます。
腐草為蛍……腐った草から蛍が生まれる!?
季節の移ろいを示す七十二候には、6月10日頃~6月14日頃に「腐草為蛍」(くされたるくさほたるとなる/かれたるくさほたるとなる/ふそうほたるとなる)があります。これは、草の中から蛍が舞い、光を放ち始める頃という意味で、昔の人は暑さに蒸されて腐った草から蛍が生じるととらえていたようです。ホタルの種類、日本の代表的な蛍はゲンジボタル
有名なゲンジボタルとヘイケボタルは、源氏と平家に由来します。もともと源氏物語から名づけられたというゲンジボタルに対し、光も弱く小型の蛍に、源平合戦で負けた平家の名を付けヘイケボタルになったといわれています。■ゲンジボタル(源氏蛍)
5月下旬~6月下旬ごろ成虫になる。体長12mm~18mm。本州、九州、四国に生息。約2~4秒間、黄色に大きく光る。
■ヘイケボタル(平家蛍)
6月下旬~8月ごろ成虫になる。体長7mm~10mm。北海道から九州にかけて生息。黄色に光る。
■ヒメボタル(姫蛍)
5月下旬~7月下旬ごろ成虫になる。体長6mm~9mm。青森から九州に生息。水辺ではなく陸に生息し、ゲンジボタルやヘイケボタルに比べると光は弱い。
蛍狩りの名所! ホタル観賞・蛍まつりなどイベントスポット
※お出かけの際は、各地の最新情報をご確認ください。 ■宮城県東和町 鱒淵川6月下旬~7月上旬にかけて幻想的な乱舞シーンがみられます。ゲンジボタルの群生地として国の天然記念物に指定されています。
■群馬県利根郡みなかみ町 月夜野
6月下旬ごろに「ホタル鑑賞の夕べ」などがあります。
■埼玉県秩父郡小鹿野町 秩父ミューズパーク
6月下旬~7月上旬。秩父市では蛍が発生する場所がたくさんあります。園内の沢辺でも蛍の群れがみられます。
■千葉県いすみ市 源氏ぼたるの里
5月下旬~6月中旬。ゲンジボタルの生息地「山田地区」では、自然の中で蛍の群舞を鑑賞できます。
■千葉県君津市 ロマンの森共和国
5月下旬~7月上旬まで延べ数万匹のゲンジボタル、ヘイケボタルが観賞できます。
■東京都清瀬市 金山緑地公園
自然繁殖の蛍もいますが、6月には保護されている蛍を鑑賞することもできます。
■東京都文京区 ホテル椿山荘東京
5月下旬~6月末にかけて「ほたるの夕べ」などが開催されます。
■東京都稲城市 よみうりランド
6月~7月にかけて、ほたる鑑賞のイベントが開催されます。
■神奈川県横浜市中区 三渓園
5月中旬ごろから「蛍の夕べ」が開催されます。
■静岡県伊豆市 修善寺温泉 赤蛙公園
5月下旬ごろから「ほたるの夕べ」が開催されます。
■静岡県伊東市 松川湖
6月に「ほたる観賞会」が開催され、展望広場から湖面に瞬く蛍が観賞できます。
■名古屋市中区 名古屋城外堀
5月下旬~6月上旬。名古屋城の外堀は水のない空堀ですが、水辺ではなく陸に住むヒメボタルがたくさん生息しています。
■長野県辰野町 松尾峡 ほたる童謡公園
6月中旬に「ほたる祭り」が開催されます。明治時代から知られる蛍の名所で、昭和60年にはゲンジボタルを町の特別シンボルに定めました。
■京都府京都市 各地
6月上旬。「哲学の道」や「祇園白川沿い」など、名所が点在しています。
■鳥取県鳥取市 樗谿公園
5月下旬~6月上旬。国の重要文化財に指定されている樗谿(おうちだに)神社の境内を流れる樗谿川にゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルが生息しており、鳥取市ホタルの里と呼ばれています。
■岡山県真庭市 北房ほたる公園
6月上旬~下旬にゲンジボタルが乱舞する様子は幻想的。環境省の「ふるさといきものの里100選」に指定されています。公園内に資料館あり。
■高知県四万十市 四万十川
5月下旬~6月中旬。四万十川流域はホタルの名所で、佐田の沈下橋周辺をはじめあちこちで観賞できます。
■大分県佐伯市 本匠ほたるの里
5月中旬~6月中旬。西日本最大級とも言われる蛍狩りスポットで、ゲンジボタルが川一面に波打つように光ります。
■沖縄県島尻郡 久米島ホタル館
4月中旬~5月中旬。県指定天然記念物であるクメジマホタルがみられ、4月下旬に「ホタルまつり」が開催されます。
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