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遺族の生活費をカバーするため、遺族年金

日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は全員、国民年金への加入が義務づけられています。さらに働き方によっては、厚生年金にも加入します。

一家の生計を担う人が亡くなった場合、遺族の生活費をカバーすべく、その人が加入していた年金制度から遺族に対して遺族年金が給付されます。加入している年金によって給付される遺族年金は次のように異なります。
  • 国民年金に加入していた人(自営業者、フリーターなど)
    18歳までの子のいる妻や子に対して、子が18歳になった年度末まで遺族基礎年金が給付。
  • 厚生年金に加入していた人(会社員・公務員・私学教職員など)
    遺族基礎年金と遺族厚生年金が給付。遺族基礎年金の支給対象と支給期間は国民年金と同じ。
なお、公務員や私学教職員などが加盟する共済年金は、平成27年10月1日から厚生年金に一元化されました。平成27年9月30日までに遺族年金の受給権を持った人には従来の要件が適用されて「遺族共済年金」が、10月1日以降は一元化した要件が適用され「遺族厚生年金」が給付されます。

※遺族年金の受給は、亡くなった人の加入状況や遺族の年齢、子の有無などで異なります。詳しくは下記記事をご覧ください。

遺族年金の受給資格要件を確認
遺族基礎年金の受給額はいくら?
遺族年金の受給における6つの注意点
 

夫に先立たれた妻は年金だけで生活できる?

子どもが独立して会社員や公務員だった夫を見送った妻は、その後に受給する公的年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金、遺族厚生年金)で生活費をカバーすることはできるのでしょうか。妻が65歳以上の場合で検証してみましょう。
遺族年金

夫に先立たれた妻の生活費は、一人暮らしの場合、遺族年金などだけではトントンに



「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」<厚生労働省>によると、各種年金の平均給付額は合計約167万円です。
  • 老齢基礎年金=約67万円
  • 遺族厚生年金=約100万円
高齢単身無職世帯の消費支出(非消費支出は含まない)は年間170万円(「令和元年家計調査(家計収支編)」<総務省>)ですので、年間収支は約3万円(1か月2500円)の赤字になります。この程度の赤字であれば、教養娯楽費や交際費などを見直すことで、生活費全額を公的年金でカバーすることができます。
 

遺族年金は収入としてカウントせず非課税

老後には生活費だけでなく、所得税や国民健康保険税などへの支出も発生します。ただ、実はありがたい「特典」があるのをご存知でしょうか。

シニア世代の妻が手にする老齢厚生年金と遺族厚生年金の合計額は、夫の老齢厚生年金の4分の3相当額。「かなり少なくなる」という印象ですが、それを十分にカバーする「非課税」というメリットがあるのです。

遺族年金や障害年金を非課税扱いとする根拠は、国民年金法25条と厚生年金保険法41条2項にあります。
【国民年金法25条】
租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢基礎年金及び付加年金については、この限りでない。

【厚生年金保険法41条2項】
租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢厚生年金については、この限りでない。
非課税扱いである遺族年金は、50万円であっても250万円であっても収入としてカウントされません。「収入は無いものとみなす」ということです。

妻本人の年金額によりますが、多くのケースで所得税や住民税がゼロ、夫が存命中は負担が重かった国民健康保険税や介護保険料もかなり低額になるでしょう。
 

年金暮らしの妻が払う所得税・住民税はいくら?

では次に、妻の収入が公的年金(=本人が受給する老齢基礎年金や老齢厚生年金)だけの場合の所得税と住民税についてご紹介します。

■所得税
65歳以上の年金受給者は、年金額158万円(※)までは所得税はかかりません。
(※)所得税の公的年金等の控除110万円+基礎控除48万円、他の控除は考慮していない
(※)夫と死別あるいは夫が生死不明で扶養親族や生計を一にする子がいない合計所得金額が500万円以下の寡婦は、寡婦控除27万円の適用がある。実質185万円まで所得税はかからない。

前出の「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上の女性が受給している老齢厚生年金と老齢基礎年金の合計額は約131万円。158万円には遺族年金は含みませんので、ほとんどの女性は所得税ゼロ、と見ることができます。

■住民税
「寡婦で前年の合計所得金額が125万円以下の人」は均等割も所得割もかかりません。ゼロです。
 

年金暮らしの妻が払う国民健康保険税や介護保険料は?

国民健康保険税と介護保険料は自治体によって異なります。一例をご紹介します。

■国民健康保険税
65~74歳までのひとり世帯で年金収入が153万円(公的年金等の控除120万円+基礎控除43万円)以下、固定資産なしの場合、Y市は年額1万3300円、S市は1万980円(ともに7割軽減後の金額)です。

註)2021年以降、住民税や健康保険税の計算に用いる公的年金等の控除額は、公的年金等の収入金額が330万円以下の場合120万円➡110万円に、基礎控除は33万円➡43万円になります。

■介護保険料
世帯全員が住民税非課税で本人の前年中の合計所得金額と課税年金収入額の合計が年額80万円以下の人は、T市は年額2万3800円、K市は年額2万9173円です。

くどいようですが遺族年金は収入に含む必要はありません。公的年金が153万円以下であれば、所得税、住民税、国民健康保険税、介護保険料の合計額は年額4万~5万円程度で収まりそうです。

また、医療費の自己負担限度額や高額介護サービス費の上限額も低所得者のレベルが適用されるのでかなり下がります。

このように税金や社会保障費の負担が激減するので、家計は遺族年金を含む公的年金でほぼ賄えると思われます。金融資産を取り崩さなくても生活できるとわかっていれば、夫を見送った後も、安心して暮らしていけるはずです。

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