「今」「実際に」存在する求人情報の中で、どのような資格ホルダーが求められているのか? 資格取得をきっかけに就職・転職を考えている人にとっては大いに気になるところです。
そこで当サイトでは、全国のハローワーク(公共職業安定所)で受け付けた求人情報をウェブ上で閲覧できるサイト、「ハローワークインターネットサービス」を使って、定期的に「仕事に活かせる資格」としておなじみの資格の求人数をリアルに集計しています。
「ハローワークインターネットサービス」では、詳細条件入力機能を使えば「免許・資格を採用の必須条件とする求人」を検索することができます。
トップページからでは、このような検索機能があることが「わかりにくい」のが難点。また、資格の名称での検索ではなく、厚生労働省が定めた「免許・資格コード」で検索しなければなりません。
ちょっとわかりにくいので、以下に手順を紹介しておきましょう。
◆ハローワークインターネットサービス:資格で求人情報を探す手順◆
求人情報検索(トップ画面)
求人情報の種類、就業場所や就業形態の希望をチェック
↓
「検索」をクリック
↓
求人情報一覧表示(詳細条件入力画面)
↓
「応募条件」をクリック
↓
(別ウィンドウで開く「免許・資格コード一覧」で、自分が調べたい免許・資格のコードをチェック)
↓
応募条件条件入力画面
免許・資格コード欄に該当コードを記入
↓
検索開始
今回は特定の地域や給与水準などを指定せず、以下の資格について調査しました。( )内は免許・資格コードです。
建築士(1級:1301、2級:1302)、インテリアコーディネーター(1308)、基本情報技術者(1505)、ITパスポート試験(1538)、情報セキュリティアドミニストレータ(1515)、衛生管理者(第1種:2202、第2種2203)、司法試験(2401)、司法書士 (2402)、弁理士(2403)、通関士(2405)、公認会計士(2501)、税理士(2503)、CFP/AFP(2505)、社会保険労務士 (2510)、中小企業診断士(2511)、不動産鑑定士(3201)、宅地建物取引士(3207)、実用英語検定(1級:3307、準1 級:3308)、TOEIC(730点~:3322、600点~:3323、470点~:3324)、秘書検定(1級:3401、2級:3402、3 級:3403)、簿記検定(日商1級:3623、2級:3624、3級:3625)、MOS(エクセル上級:3815、一般:3816、ワード上 級:3817、一般:3818)、MOT(3819)、販売士(1級:4101、2級:4102、3級:4103)、貿易実務(4108)、証券外務員 (4201)、MBA(8001)、CPA米国公認会計士(8005)
※調査期間は2016年3月3日~3月17日。「免許・資格を採用の必須条件とする求人」の中から、この期間内の資格別フルタイム求人数を週1回集計。
※前回まで調査していた「上級シスアド・初級シスアド」のコード廃止に伴い、今回調査より後継資格の「ITパスポート」に変更。
※「免許・資格コード一覧」には、技術、医療・保健衛生・社会福祉、事務処理、営業・販売・サービス・保安、運輸・通信、製造関連技能、電気・建設・土木 工事・建設機械、海外資格関連など全8領域に渡る免許・資格が網羅されており、より詳細な求人ニーズの把握が可能。技術、技能系資格が多いのも特徴です。 この一覧を見ることにより、今まで知らなかった免許・資格に対する求人ニーズに気づくなど、二次的な使い方も可能です。ただし、昨今誕生している新資格へ の対応は必ずしも十分ではないため、その場合は類似の免許・資格の動向を参考にしてみると良いでしょう。
今、雇用市場で人気の資格は?
第10位:基本情報技術者(10位)
PG、SE職を中心に安定したニーズのあるこの資格。5回連続で10位でした。フレックスタイム制や土日勤務などの変則的勤務のほか、未経験歓迎求人が多いのも特徴です。キャリアチェンジを目指す人にとっては、門戸が広い分野と言えるでしょう。
※( )内は、前回(2015年12月集計分)順位。以下同様。
第9位:証券外務員(9位)
一時は上がり下がりが激しく、ランク内、ランク外をいったりきたりしていましたが、ここ3回は9位と、やや安定してきました。全国規模の大口求人の割合が多いのがこの資格の特徴。業界では必須の資格ですが、実際にはこうした単発の動きで求人数が変動します。
第8位:税理士(8位)
定番の人気資格の一つ税理士、こちらも3回連続で同じ順位です。従来の税理士事務所求人だけでなく、企業の経理職での求人がコンスタントにあるのは、依然として強み。科目合格でもOKという求人もあります。
同じ分野で最近になって企業求人が増加傾向にある「公認会計士」と比べても、まだまだ「税理士」の方が分が良いようです。
第7位:社会保険労務士(7位)
このところ、アップダウンを繰り返している社労士、今回は前回に続いての7位です。社労士の求人に波があるというよりも、その他の資格の増減によって順位が変動しているのが要因でしょう。コンサルティング、行政、事務所など、幅広い求人があるのが強み。安定的なニーズを支えています。
第6位:インテリアコーディネーター(6位)
こちらも前回に引き続き、安定的なニーズを保っています。今回は、インテリアコーディネーター職での求人が多かったですが、それ以外にも、営業職、営業アシスタント職、受付業務など、不動産業界内では幅広い職種での求人があり、資格自体のニーズは依然として安定的です。
業種柄か、平日休が多いのも特徴です。
第5位:実用英語検定(5位)
求人数は2級>準1級>1級の順で変化なし。英語教室講師など、教育分野での強さは変わりませんが、最近はビジネス求人でも定着してきました。
ただし、英語力がメインになる職種ではTOEICの併記がほとんどです。
これまで、準1級、2級で派遣などでは非正社員の求人が多くなる傾向がありましたが、今回は1級でも非正社員の求人割合が高い印象です。
派遣や契約社員という雇用形態の中でも、高スキルが求められるケースが増えているのかもしれません。
第4位:TOEIC(4位)
すべてのランクの総計でのランクイン。いつも通り600点以上が最も多いですが、最高レベルである730点以上の求人数も、ほぼ拮抗しています。
営業アシスタント、技術職、秘書、人事など、いわゆる「英語のプロ」系以外の仕事でも、高スコアを指定してくる求人は増えてきており、幅広い分野で英語力がカギとなっていることが伺えます。
英検同様、ランクが下がるにつれて派遣を含む正社員以外の求人の割合が増えてくるのですが、英検と同じく、730点以上でも非正規求人がちらほらありました。
正社員を目指すなら、800点、900点がボーダーになりつつあるのでしょうか。
第3位:宅地建物取引士(3位)
TOEICが背後に迫ってはいますが、こちらもニーズは安定的。住宅販売、営業、事務など不動産業界を中心に、安定的に幅広い求人があるのが特徴です。ただし、業界経験者が優遇されるのも宅建の特徴。いくら資格のニーズが高くても、それだけでは難しいといえます。
第2位:日商簿記検定(2位)
ランクは1級~3級すべての等級の総計です。等級ごとでは、2級の求人数がもっとも多いものの、このところ3級も2級に迫る勢いでほぼ拮抗しています。もともと、3級になると派遣社員など非正社員の割合が増加傾向でしが、最近の傾向として正社員求人の割合が増加しているような印象です。正社員志向の方にとっては歓迎すべき傾向でしょう。
また1級には、トライアル求人など、未経験の有資格者向けの求人もありました。
第1位:建築士(1位)
不動の1位の秘密は、幅広い求人ニーズに応える高い汎用性。調査のたびに安定的なニーズを誇っています。2級になると正社員以外の求人の割合が高くなる傾向がありましたが、前回に引き続き、今回も2級でも正社員求人が目立ちます。人材不足の建設業界を反映した動きのようです。
※今回の次点は司法書士(同位)、次次点は衛生管理者(同位)と通関士(圏外)でした。
今回、ベスト10は前回から全て不動という珍しい(?)結果になりました。
ただし順位は変わっていなくても、その求人内容には少しずつ変化がありますので、数だけではなく、求人の「質」にも注目して見ていきたいと思います。