男の靴・スニーカー/ドレスシューズ

日本の紳士靴が更に前進する。ORIENTAL ソール編

ワールド フットウェア ギャラリーで2016年の春から取り扱いが始まるORIENTALについて、2回に分けて特徴を追って行きます。まずは手の込んだ作り込みだからこそ表現できる「美しさ」からご紹介です。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

今度は抜群に器用なメーカーにオファー!

ORIENTAL Balmoral Cap Toe

ORIENTALの内羽根式キャップトウです。これはバルモラルの意匠を採用したイングリッシュスタイルで、精悍でメリハリのある一足に仕上がっています。ストライプのスーツにバシッと合わせたい! 色:茶(他に黒もあり)。サイズ5~9 1/2 税込価格5万9400円 (ワールドフットウェアギャラリー 神宮前店 TEL:03-3423-2021)

ワールドフットウェアギャラリー(以下WFGと記します)と言えば、創業以来イタリアをはじめヨーロッパの優秀な紳士靴を日本に紹介し続けている、文字通りの発「靴」力に卓越した存在。近年はそれらから得られた伝統的な様式美を、技術力に優れた日本のファクトリーを用いて丁寧に再表現することにも力を入れています。

そんなWFGがこの2016年の春、満を持してリリースするのが今回ご紹介する” ORIENTAL(オリエンタル)”なるブランドです。名前でピンと来る方は正直相当な靴好き、しかもかなりの広範囲で靴に興味をお持ちの方のはず。このブランドの靴を製造するオリエンタルシューズは、戦後すぐの1947年に奈良の大和郡山で創業と古くからのメーカーでありながら、これまではデザイナーズブランドの靴のOEM生産やゴルフシューズ、それにコンフォートシューズ系のもの等に重点を置いていたからです。

長年様々なジャンルのブランドからの要望に応えて来ただけあり、器用さでは我が国でもピカ一の存在。ひょっとしたら底付けの種類を最も多くの中から選べる靴メーカーかも? 例えばアッパーのデザインは極めて普遍的ながら、ソールに最先端のスニーカーのものを採用した某シューズクリエイターの名を冠したあの靴も、実はここ製ですから。さあそんなオリエンタルシューズにWFGが製作を依頼したORIENTAL、当然と言えば当然なのですが、どれも非常にレベルの高いものばかりなのだよ!
ORIENTAL Full Brogue

こちらは内羽根式フルブローグです。彫りの深いしっかりした顔立ちが特徴で、従来の日本製の紳士靴には見られなかったシャープさを存分に感じ取れます。ジャケット&トラウザーズ派なら一足あると重宝しそう。色:黒(他に茶もあり)。サイズ5~9 1/2 税込価格5万9400円 (ワールドフットウェアギャラリー 神宮前店 TEL:03-3423-2021)

とにかく「そこ」が美しい!

ORIENTAL 製法の境界線

土踏まず部とその周辺をアップしてみました。底部の周辺に出し縫いが見えるか否かが、その前後での底付けの方法の違いを端的に示しています。いずれにせよ非常に丁寧に仕上げている点は共通です。

WFGで2016年春から販売するORIENTAL、その第一の特徴はズバリ、底付けにあります。具体的には土踏まず部より前はグッドイヤー・ウェルテッド、それより後ろはマッケイと一足の靴で製法を二種類使い分けているのです。この種のハイブリッド系の底付けは国内外のブランドでこれまでも幾つか採用されてはいるものの、工程が複雑になるためか主流とはなっていません。しかし敢えてそれを導入したのにはもちろん、大きな理由があります。

ORIENTALにまず求めたのは、これまでの既製靴にはない美しさことさら「底面の美しさ」だったからです。土踏まず部を思いっきり絞ると共に、その端部のウェルト(細革)やそこに掛る出し縫いを底面で覆い隠すのを通じ、造形にメリハリを演出する「べヴェルドウェスト」の意匠。ハンドメイドの誂え靴=ビスポークシューズの専売特許的なこれを、マシンメイドの靴で実現すべく、土踏まず部はウェルトを無くせると共により内側で縫合できるマッケイ製法とした訳です。
ORIENTAL アウトソール

底面を撮ってみました。土踏まず部の「くびれ」の激しさが、フィット感の良さを物語っているかのようです。背骨=シャンクの入る中心部はビシッと一本の筋を通したようなフィドルバック仕様になっています。


実際、ORIENTALの土踏まず部は、ウェルトのない分底面が非常に薄くかつ美麗に仕上がっているのが一目瞭然。グッドイヤー・ウェルテッドとマッケイとの縫い方の境界線を、本当に何気なく意識させた仕上げを施しているのが、デザイン上の良いアクセントにもなっています。こういう嫌味のない美意識こそ、これまで様々な名靴を取り扱って来たWFGの経験が存分に活かされている点なのでしょう。アッパーのデザインだけでなく、底面の美しさでも楽しませてくれる紳士靴って、そうはありませんよ!

と言うことでこのORIENTAL、お伝えしたいことがまだまだあるのですが、ちょっと長くなりそうなので続きは次回に。
ORIENTAL TASSEL MOCCASIN

今回はこのようなタッセルモカシンも用意されています。サドル部の弧を反らせたようなデザインが何とも美しい! 違いの解る大人にこそ履きこなしていただきたい、いぶし銀的な一足です。色:こげ茶スエード。サイズ5~9 1/2 税込価格5万9400円 (ワールドフットウェアギャラリー 神宮前店 TEL:03-3423-2021)



ORIENTAL 商品概要】
★モデル
a.内羽根式バルモラルキャップトウ
b.内羽根式キャップトウ 
c.内羽根式アデレイドキャップトウ
d.内羽根式フルブローグ 
e.タッセルモカシン
f.内羽根式プレーントウ
★アッパー素材
a・b・c・d:仏アノネイ製カーフ
e:英チャールズFステッド製スエード
f:日(株)藤岡勇吉本店製バックスキン
★色
a・d:ブラック・ブラウン b:ブラックのみ c:ブラック・バーガンディ
e:ダークブラウン f:ホワイト
★底付け:いずれもグッドイヤー・ウェルテッド(土踏まず部はマッケイ)
★サイズ:いずれも5~9 1/2
★価格(税込):いずれも5万9400円

【お問合せ先】
ワールド フットウェア ギャラリー 神宮前店
住所:〒151-0001 東京都渋谷区神宮前2-17-6 神宮前ビル1F
地図:Yahoo!地図情報
Tel:03-3423-2021(直通)
営業時間:11:00~20:00 年中無休
HP: World Footwear Gallery Official

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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