Microsoft Officeの互換ソフト「KINGSOFT Office」とは

キングソフトのKINGSOFT Office 2016

キングソフトのKINGSOFT Office 2016

2016年2月25日、キングソフトからMicrosoft Officeの互換ソフト「KINGSOFT Office 2016(WPS Office)」 が発売されました。過去記事「キングソフトオフィス 2013」レビュー で紹介したソフトの最新版になります。

※「KINGSOFT Office」は2016年11月に「WPS Office」にリブランドし、2020年6月には「WPS Office 2」にメジャーアップデートしました。無料で移行することができます。WPS Officeは、名前以外はそれほど変わっていません。ところが、本家のMS Officeの方は、けっこう変わりました。「KINGSOFT Office」と「WPS Office」の比較については記事「WPS Office 2はMicrosoft Officeの代わりになるか?」「WPS OfficeはMS Officeの代わりになるか?」で補足しています。あわせてご覧ください。

ワープロの「Writer」、表計算ソフトの「Spreadsheets」、プレゼンソフトの「Presentation」の3つのソフトで構成され、3つのソフトが含まれた「Standard版」をベースに、29書体のフォントが追加された「フォント同梱版」、プログラミング言語のVBAに対応した「VBA対応版」などが用意されています。

本記事では、以下のような内容で、「KINGSOFT Office 2016(WPS Office)」をレビューします。

<目次>

Microsoft Office互換ソフトの最新バージョン、その互換性のほどは?

「KINGSOFT Office 2016(WPS Office)」は、3つのソフトともに大幅に機能強化されていますが、やはり最大のポイントは互換性の強化です。Microsoft Office 2007から採用された「docx」「xlsx」「pptx」の新しいファイル形式に完全対応し、読込・保存が可能になっています。

といっても、実際の互換性はかなり使い込まないとわからないのも事実で、即断はできません。そこで、ひとまず、Microsoft Word 2016/Excel 2016/PowerPoint 2016のテンプレートの中からレイアウトが複雑なものを選んで、KINGSOFT Office 2016の各ソフトに読み込んでみました。レイアウトが崩れるかと思ったのですが、かなり正確に再現できているのがわかると思います。
Microsoft Word 2016での表示です

Microsoft Word 2016での表示です

Writerでの表示です。レイアウトはほぼ完璧に再現されています

Writerでの表示です。レイアウトはほぼ完璧に再現されています

Microsoft Excel 2016での表示です

Microsoft Excel 2016での表示です

Spreadsheetsでの表示です。スパークラインは表示されていませんが、表のデータやデザインは維持されています

Spreadsheetsでの表示です。スパークラインは表示されていませんが、表のデータやデザインは維持されています

Microsoft PowerPoint 2016での表示です

Microsoft PowerPoint 2016での表示です

Presentationでの表示です。違いを見つけるのが難しいくらいです

Presentationでの表示です。違いを見つけるのが難しいくらいです

以降では、3つのアプリ共通の強化ポイントとアプリごとの強化ポイントについて、細かくチェックしていきます。そして最後に、「KINGSOFT Office 2016(WPS Office)」の効果的な使い方について、筆者の考え方を述べたいと思います。
 

Writer、Spreadsheets、Presentation共通の強化ポイント

3つのソフトに共通の強化ポイントは、前述の「docx」「xlsx」「pptx」のファイル形式に完全対応したことに加え、次の3つが挙げられます。
  • グラフ機能をフルリニューアル
  • 新しいテーマ、色、スタイルの追加
  • スポイト機能 
グラフ機能は、Spreadsheetsのグラフ機能をWriterとPresentationから呼び出して利用する形式になっています。作成できるグラフの種類はMicrosoft Office 2016にはおよびませんが、作成方法とデザインは非常に近いといえます。次は、Excel 2016とSpreadsheetsのグラフ挿入のダイアログボックスです。ダイアログボックスのデザイン・操作性も、非常に近いのがわかるでしょう。
Excel 2016のグラフ作成用のダイアログボックス

Excel 2016のグラフ作成用のダイアログボックス

Spreadsheetsのグラフ作成用のダイアログボックス。グラフの種類は少ないものの、作成法宇補はほぼ同じです

Spreadsheetsのグラフ作成用のダイアログボックス。グラフの種類は少ないものの、作成方法はほぼ同じです

「新しいテーマ、色、スタイルの追加」というのは、文書やワークシート、スライドのデザインや配色のことです。次のように、とても豊富なテーマや色が用意されています。これらのテーマや色は、Writer、Spreadsheets、Presentationの3つで同じものが利用できます。
さまざまなテーマが用意されています。画面はワープロのWriterです

さまざまなテーマが用意されています。画面はワープロのWriterです

色の組み合わせも豊富です。画面は表計算ソフトのSpreadsheetsです

色の組み合わせも豊富です。画面は表計算ソフトのSpreadsheetsです

スポイト機能は、色を設定するとき、画面上の任意の場所をクリックして、そこと同じ色を設定できる機能です。たとえば、次はテキストボックスの塗りつぶしの色をスポイト機能で設定しているところです。画面上の好きな場所の色を指定できるのがわかると思います。
スライドのテキストボックスの背景色をスポイト機能で設定しているところです。画面上の好きな場所を指定できます

スライドのテキストボックスの背景色をスポイト機能で設定しているところです。画面上の好きな場所を指定できます

テキストボックスの色が、クリックした場所と同じ色になりました

テキストボックスの色が、クリックした場所と同じ色になりました

ワープロソフト Writerの強化ポイント

ワープロソフト Writerの主な強化ポイントは次のとおりです。
  • 新しい描画キャンバスを追加
  • レイアウトオプションに「本」のレイアウトを追加
  • 水平線の表示に対応
  • コンテンツコントロールに対応
  • PDFファイルの閲覧に対応
  • インク読込に対応 
「新しい描画キャンパス」と「レイアウトオプション」は互換性の向上です。次のように、図形を挿入するとき「新しい描画キャンバス」を選択できて、画像や図形のレイアウトで「本のレイアウト」を指定できるようになりました。Word 2016と同じ機能が用意されたので、さらに互換性がアップしたわけです。
図形の挿入メニューに[新しい描画キャンバス]という機能が用意されています

図形の挿入メニューに[新しい描画キャンバス]という機能が用意されています

画像や図形のレイアウトで「本のレイアウト」が指定できます

画像や図形のレイアウトで「本のレイアウト」が指定できます

「水平線の表示に対応」と「コンテンツコントロールに対応」も互換性向上です。文字どおり、水平線の表示が可能になり、コンテンツコントロールの表示・作成もできるようになりました。コンテンツコントロールとは、文書中に配置できる入力フォームや選択ボックスなどのことです。なお、コンテンツコントロールに対応しているのはVBA対応版のみです。

注目したいのは、PDFファイルの閲覧対応とインク読込への対応でしょう。Writerでは、PDFファイルを直接読み込んで表示できるようになりました。ただし、編集はできません。また、Word 2016のインク機能で書かれた手書きの線を表示できるようになりました。ただし、表示できるだけで、手書きの線を書き込むことはできません。
PDFファイルを読み込んで表示できます。ただし編集はできません

PDFファイルを読み込んで表示できます。ただし編集はできません

Word 2016のインク機能で挿入された手書きの線を表示できるようになりました。ただし、インク機能は用意されていないので手書き線を書き込むことはできません

Word 2016のインク機能で挿入された手書きの線を表示できるようになりました。ただし、インク機能は用意されていないので手書きの線を書き込むことはできません

表計算ソフト Spreadsheetsの強化ポイント

表計算ソフト Spreadsheetsの主な強化ポイントは次のとおりです。

・テーブル機能を追加
・テキストボックス内の文字列方向の変更
・セルの色、フォントの色の並べ替えに対応
・XNPV関数を追加

「テーブル機能」への対応は大きい機能強化です。表を一瞬でデザインできて、並べ替えや絞り込みのボタンも自動追加されるテーブル機能はExcelではおなじみの機能です。表のデータ分析に不可欠なだけに、搭載された意義は大きいと思います。
[テーブルの書式設定]ボタンをクリックしてデザインを選びます

[テーブルの書式設定]ボタンをクリックしてデザインを選びます

テーブルが設定されると自動的にデザインされ、見出し部分に並べ替えや絞り込み用のボタンが追加されます

テーブルが設定されると自動的にデザインされ、見出し部分に並べ替えや絞り込み用のボタンが追加されます

「テキストボックスの文字列方向の変更」は、テキストボックス作成後に横書き/縦書きを変更できる機能、「セルの色、フォントの色の並べ替えに対応」は文字どおり、セルの背景色やフォントの色で並べ替えられる機能です。いずれも、Excel 2016には用意されていますので、互換性がさらに向上したことになります。
テキストボックスの文字列方向として横書き/縦書きを変更できます

テキストボックスの文字列方向(縦書き/横書き)を、後から変更できるようになりました

セルの背景色やフォントの色でデータを並べ替えられるようになりました

セルの背景色やフォントの色でデータを並べ替えられるようになりました

また、新たにXNPV関数が追加されました。これは「定期的でないキャッシュフローに対する正味現在価値を返す関数」です(必要とする人はあまり多くないとは思いますが……)。なお、以下は前バージョンのSpreadsheetsが対応している関数の一覧です。2016では、これにXNPV関数が追加されたことになります。

Kingsoft Office 2013が対応している関数の一覧表
 

プレゼンテーションソフト Presentationの強化ポイント

プレゼンテーションソフト Presentationの主な強化ポイントは次のとおりです。
  • テキストボックス内の文字列方向の変更
  • 閲覧表示、配布資料マスタ、ノートマスタ機能の追加
  • スライドマスタのテーマを追加
  • メディアオブジェクトの再生ツール、トリミング機能に対応
  • 3Dスライド効果
「テキストボックス内の文字列方向の変更」は、前述のSpreadsheetsと同じです。「閲覧表示、配布資料マスタ、ノートマスタ機能の追加」も、PowerPoint 2016との互換性を高めた機能です。「閲覧表示」は、リボンやメニューを消してスライドだけを大きく表示します。「配布資料マスタ」は1枚の用紙に複数スライドを並べて印刷する「配付資料」のひな型、「ノートマスタ」はスライドごとに入力できるメモを表示・印刷する「ノート」のひな型を編集する機能です。

「スライドマスタのテーマを追加」は、スライドのひな型(スライドマスタ)にテーマを設定できるようになったということです。
閲覧表示です。リボンやメニュー類を消してスライドだけを大きく表示できます

閲覧表示です。リボンやメニュー類を消してスライドだけを大きく表示できます

配布資料マスタは、配付資料のひな型を編集する機能です

配布資料マスタは、配付資料のひな型を編集する機能です

スライドマスタにテーマを設定できます

スライドマスタにテーマを設定できます

「メディアオブジェクトの再生ツール、トリミング機能に対応」は、スライドに貼り付けた動画や音声に再生用ボタンが表示され、再生範囲を編集(トリミング)できる機能です。トリミングするには、貼り付けた動画や音声を右クリックし、[ビデオのトリミング]や[サウンドのトリミング]を選択します。

「3Dスライド効果」は、スライドが切り替わるときの特殊効果である「ハチの巣」と「フライスルー」の表示が可能になったということです。ただし、表示だけでPresentation側で設定することはできません。
メディアオブジェクトの再生ツールが用意されました

メディアオブジェクトの再生ツールが用意されました

メディアオブジェクトのトリミングもできます

メディアオブジェクトのトリミングもできます

リボン/ドロップダウンメニューの両方を選択できるのは従来どおり

ここまで3つのアプリの強化されたポイントを見てきましたが、画面デザインや操作面での「KINGSOFT Office 2016(WPS Office)」の特徴も簡単にチェックしておきましょう。

まず、画面デザインの点では、右上の[UI切り替え]ボタンで、リボンとドロップダウンメニュー(クラシックインターフェイス)を切り替えられます。「やっばりリボンにはなじめない」という方は、「クラシックインターフェイス」がおすすめです。
 
右上の[UI切り替え]ボタンでインターフェイスを変更できます。変更後はソフトの再起動が必要です

右上の[UI切り替え]ボタンでインターフェイスを変更できます。変更後はソフトの再起動が必要です

 
「クラシックインターフェイス」を選択しました。すでにマイクロソフトのサポートが終了したOffice 2003と同じメニューデザインになります

「クラシックインターフェイス」を選択しました。すでにマイクロソフトのサポートが終了したOffice 2003と同じメニューデザインになります

 

結論:個人利用は問題なし! 企業利用ではMicrosoft Officeとの組み合わせ、使い分けがポイント

KINGSOFT Office 2016(WPS Office)を試用した率直な感想は、「ずいぶんMicrosoft Officeを研究しているなぁ」です。もちろん、細かく見ると違うところもたくさんありますが、全体の仕上がりは、Microsoft Officeに慣れた人でも違和感なく利用できるレベルだと思います。特に、印刷物の作成などを目的にプライベートで利用するだけなら、KINGSOFT Office 2016(WPS Office)で十分でしょう。

ただし、仕事で使うときは注意が必要です。取引先がMicrosoft Officeを利用しているなら、やはりMicrosoft Officeを利用すべきです。KINGSOFT Office 2016(WPS Office)が悪いというわけでなく、Officeソフトは企業間の情報交換の要(かなめ)ですから、そこは削ってはいけないと思うからです。

というわけで、以前の記事「キングソフトオフィス 2013」レビュー と同様に結論を書くと、次のようになります。
 
  • 個人利用、印刷物の作成を目的とした利用……◎
  • 2台目、3台目や家族用パソコンでの利用……◎
  • 会社内でのみ利用し、他社とはやりとりしないファイルの作成……○
  • 他社とやりとりする可能性のあるファイル……△または×
  • マクロを含むファイル(個人利用)……○または△
  • マクロを含むファイル(企業利用)……△または×

なお、KINGSOFT Office 2016(WPS Office)の完成度は確実に上がっています。どうしてもOfficeの互換ソフトとして見られますが、単体のOffice製品として見ても、その完成度はかなりのものだと思います。以下のサイトで、30日間無料で利用できる体験版をダウンロードできますので、ぜひその実力を試してみてください。

KINGSOFT Office 2016(WPS Office)体験版ダウンロード
 


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※OSやアプリ、ソフトのバージョンによっては画面表示、操作方法が異なる可能性があります。