セクシュアルマイノリティ・同性愛/LGBT

号泣必至の超名作映画『キャロル』(4ページ目)

2月といえばバレンタイン。今月は愛をキーワードにコラムをいろいろお送りします。映画『キャロル』のレビューをはじめ、マドンナのゲイ愛、企業のアライの方たちの愛、ゲイ目線のミュージカル愛などなど。今月もボリュームたっぷりです!

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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「同性婚」にYES!と表明してくれたパナソニック~アライの方たちの愛

パナソニック

 

2月18日、iPhoneがブルったと思ったら「パナソニックが同性婚を認めた!」というニュースが入っていてビックリした、という方も多かったと思います。見出しのインパクトもあって、広く話題になりました。たとえば元彼からわざわざ「パナソニックすごいね。感慨深いです」とメッセージが入ったり、ハッテン系の方なども「日本もこういう時代に!」「少しずつ進んでいきそうだね」といったコメントを上げていました。

今までLGBTフレンドリーな施策を打ち出す会社って外資系が多かったのですが、パナソニック(元は松下電器)みたいなバリバリの日系企業、職場の雰囲気だって別にほかと大差なさそうな会社でこういう動きがあったということのインパクト。もしかしたらウチの会社も変わるかも…と思えますよね。

でもパナソニックってそもそも、そんなにLGBTフレンドリーだったっけ?って意外に思った方も多いと思います。実はパナソニックは、性的マイノリティに関するダイバーシティ・マネジメント(LGBTが働きやすい職場環境の実現)を議論するフォーラム「work with pride」の2014年のホスト企業をつとめています。その辺りの経緯について拙著『職場のLGBT読本』(実務教育出版)にCSR担当者の有川さんという女性のインタビューが掲載されています。きっかけは、2013年6月、ロシアで反同性愛法が制定されてソチ五輪からLGBTが排除されると報じられた頃に、パナソニックからもIOC(国際オリンピック委員会)に働きかけてほしいという声をたくさんいただいたことなんだそうです(いわば、みなさんの声がきっかけとなったのです)  

パナソニックに限らず、ソニーなどもそうですし、いまLGBT施策を打ち出している企業のほとんどは、こうしたアライの方(自身は当事者ではないが、味方として支援に携わってくれている方)の奮闘のおかげで、変わってきました。いろんな方がおっしゃっていますが、そうしたアライの方々の頑張りは、時に当事者である我々の予想を超える目覚ましさがあり、たくさんのドラマがあり、感動させられます(企業だけでなく、淀川区の職員さんなどもそうです)。

一昔前までは、ゲイを支援してるとか言うと「お前もそっちなのか?(手の甲を頬に当てて)」とからかわれたり(男社会でありがち)、「子どもに悪影響が」とか真顔で言われたりしたと思います。そういう、自身も差別されるかもしれないという障壁を乗り越えて、アライの方たちは味方に回ってくれているのです。それが「愛」じゃなくて何なのでしょう? もう、アライのみなさん一人一人にハグしたい気持ちです(『偽装の夫婦』の超治みたく)。

世の中がここまで変わってきたのは、ほっといたらそうなったというのではなく、やはり、そうなるために動いた方がいた、きっかけとなるアクションがあったからこそです。約5年前に村木真紀さんが虹色ダイバーシティを立ち上げ、コンサルの経験を活かし、企業向けの講演を行ったり、当事者向けのアンケートで実態を調査したりして、職場環境改善のために尽力してきた、その活動が実を結んだのです(そういう意味では「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」の受賞は本当に感涙モノでした)。虹色ダイバーシティは今年も「LGBTに関する職場環境アンケート」を実施しています。ぜひあなたの声を世間に届けてください!

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