「愛の戦士」マドンナのゲイ愛
2月13日と14日、さいたまスーパーアリーナでマドンナの「レベル・ハート・ツアー」来日公演が行われ、日本だけじゃなく中国などからもゲイの方たちが大勢集結しました。ゴトウは13日に行って、衰え知らずのマドンナのパワーやゴージャスなエンターテインメントの数々に酔いしれ(「S.E.X.」で男性ダンサーどうしのカラミが入っていたのはさすが!)、その足で、フィーチャリング・マドンナなゲイナイトShangri-La”EXTRAVAGANZA”に行き、アフターの余韻を堪能しました(しかし、13日の公演が2時間遅れだったため、「途中で出ざるをえなかった。金返せ!」「プロとして失格!」など、非難が続出…。とりあえず今回はその件は置いといて、これまでの功績についてまとめてみたいと思います)。マドンナはもともとゲイクラブから火がついて有名になっていったわけですが、高校時代のクラシックバレエの先生(クリストファー・フリン)がゲイだったことや、実の弟クリストファーがゲイだったということもあり、ずっとゲイの強い味方でした。マドンナのゲイ愛は、ちょっと人気取りして儲けようとかそういうレベルではなく、本物です。
世界を席捲した「ヴォーグ」はもともとNYの黒人のゲイたちが生み出したダンス。二丁目のクラブでもヴォーギング流行りました~
この「ブロンド・アンビション・ツアー」は世界中にセンセーションを巻き起こした「ヴォーグ」(1990)をフィーチャーしています。若い方はご存じないかもしれないので念のためにお伝えすると、ヴォーギング自体も映画『パリ、夜は眠らない』(1990)で描かれていたように、NY・ハーレムの黒人ゲイたちのカルチャーでした(ヴォーギングって過去のモノだと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。ダンスの一ジャンルとして確立していて、たとえば昨年公開の「マジック・マイク XXL』では、主演のチャニング・テイタムがヴォーギングを披露しています)。ちなみに「ヴォーグ」の振り付けを手がけ、『パリ、夜は眠らない』に主演したウィリー・ニンジャは2006年にエイズで亡くなっています。
右がマドンナの親友でゲイのマーティン・バーゴイン。マドンナはエイズに冒された彼を献身的に支えました。
湾岸戦争時、ピンクの風船で「MONEY FOR AIDS, NOT FOR WAR」という巨大なのぼりを掲げた「ACT UP」についてインタビューされたマドンナは、食い気味に「賛成よ」と答えたそうです。今でもマドンンはエイズのことにかかわり続けていて、アフリカのマラウイのエイズ問題を取り上げたドキュメンタリーを自身で製作したり、カンヌ映画祭でのHIVチャリティパーティに出席したりしています。
2015年の世界エイズデーには、ロンドン公演のMCで「何年も前に私の親愛なる最高に素晴らしい友人をエイズで亡くしたということだけでなく、私の養子の息子の家族全員がエイズで命を落としたということを認識しないといけないわ」「今も治療法を探して闘っている人々に感謝して、この病気への関心を高めて他界した人たちを称えましょう。いつの日か私たちは(エイズに)打ち勝つことが出来るでしょう。そのお礼を言うために、祈りを歌うわ」と語って『ライク・ア・プレイヤー』を歌い、オーディエンスを感動させました。
「NO FEAR」と書かれたレインボーフラッグを掲げ、サンクトペテルブルクの同性愛者たちを励ますマドンナ。
昨年は、ムスリムとユダヤのゲイカップルがキスしようとしている画像をインスタグラムに投稿し、「この写真は100点だわ」とコメントしています。(10年前の東京ドーム公演=コンフェッションズ・ツアーでも、イスラム教のシンボルを体にペイントした男性ダンサーと、ユダヤ教のシンボルをペイントした男性ダンサーがセクシャルにからみあうシーンがありました)
ゲイを迫害する権力に敢然と抗議し、宗教間の対立さえも愛で乗り越えようと訴えるマドンナ。パリで起こったテロに対しても「世界を変える方法は、単純に日々の基準にしたがってお互いを扱う関係を変えること。私たちはすべての人々を尊厳と敬意をもって接することから始めなければならない。それこそが世界を変える唯一の方法なの。世界を変えることができるのは愛だけなのよ」「沈黙するのは、彼らの思うツボ。自由を楽しむこと。人を愛すること」と語っています。
2013年のGLAADメディア賞でのスピーチが、マドンナらしさを物語っています。長年米ボーイスカウト連盟が同性愛者の入会を禁止する規定を堅持していることへの抗議としてボーイスカウトのユニフォームで登場し、「アタシは、みんながボーイスカウトに入るのをあきらめるべきじゃないと思うの。彼らがマヌケな規則を変えるべきなのよ。そう思わない?」と言って喝采を浴びました(詳しくはこちら)。
そうそう、2012年の「Girl Gone Wild」のMVも忘れてはいけません。「ヴォーグ」以来のゲイゲイしさで、超アガる!と歓喜したゲイの方は全世界で100万人を超えたハズ。以上、駆け足でマドンナのゲイ愛をまとめてみました。また日本に来てくれたらうれしいですね!