春節を祝う縁起のよいモノたち
横浜の中華街では毎年盛大にお祝いが行われます!
中国では、春節は家族や親族で過ごすのが慣わしになっているので、この時期、民族大移動が起こります。「春運」と呼ばれる春節をはさんだ約1ヶ月の間に20億人以上が移動する言われています。すごい人数ですよね。
横浜中華街のシンボル「關帝廟」。華やかですね。
こういったものにはそれぞれに縁起があって、餃子は形が昔のお金に似ていることから富を願って、逆さまの福の字は、逆さという意味の中国語の漢字「倒(dao4)」が、「やってくる」という意味の漢字「到(dao4)」と同じ音なので、音にかけて福がやってくるようにと飾っています。爆竹は魔よけの効果があるとされているそうですよ。
吉祥図案ばかりあつめた本もあります。それにに載っていた龍の絵です。
吉祥図案「五爪の龍」は皇帝のもの
今回はそんな吉祥図案の中から、春節にあわせて特におめでたいとされる「龍」の柄についてお伝えします。中国では「龍」は、高貴なもの、権威のあるものの象徴として描かれてきました。でも、同じ龍の柄でも爪(指)の本数が違うことがあるのです。前の写真の龍の爪は4本ですよね。でも次の画像の龍の爪は5本あります。
五本の爪が描かれた蓋碗。本来なら皇帝用ということになりますね。
幻の岩茶「大紅袍(だいこうほう)」
春節にあわせて、おめでたい5本の爪の龍をご紹介したので、お茶もまた特別なものをあわせてみたいと思います。中国茶好きなら一度は聞いたことがありますよね。「大紅袍(だいこうほう/da4 hong2 pao2)」というお茶です。大紅袍は福建省武夷山で作られる半発酵茶「武夷岩茶」の一つで、「中国茶の最高峰」「幻の岩茶」等と呼ばれることもある有名なお茶です。
丁寧に仕上げられた茶葉がとても綺麗な大紅袍。
まずは「幻の岩茶」ですが、この大紅袍というお茶の樹は武夷山の岩肌にたった6本(※)しかありません。ですから、本当の茶樹から製茶されたお茶は一般人の手に入ることはないと言われてきたお茶なのです。ところが、以前、上海で行われたオークションにこのお茶が出品されたことがありました。その時に落札された価格が、なんと20グラムで19万8000元!(当時の日本円にして約280万円です)。 当時、中国茶好きの間では大変な話題になったものです。このニュースで、日本でも大紅袍は一躍有名なお茶になったのではないかと思うぐらいです。
でも、幻はそれだけでは終わらなく、樹齢350年以上とも言われるこの貴重な6本の茶樹(「母樹」と呼ばれることもあります)を守る為に、2006年、この樹からの製茶を止める決定がされたのです。これで、母樹から作られるお茶は本当に幻になってしまったというわけです。
でも、今も「大紅袍」というお茶を手に入れることはできます。それは、以前から武夷山で次世代の繁殖がなされてきたからなのです。こういった試みがされてきたので、私達は今も「大紅袍」というお茶を飲むことができるというわけです。大紅袍は、よく本物か?偽物か?と茶談義になるお茶ですが、少なくとも今は母樹からのお茶は飲むことは叶わないという意味で「幻の岩茶」ということになるのでしょうね。
※大紅袍の母樹の本数に関しては4本とされていることもありますが、最近の情報では6本と聞いていますのでここでは6本としています。
美味しいお茶には伝説がつきもの
そんな背景のある大紅袍ですが、良いお茶を飲んだ時の味わいはやはり最高峰の美味しさだと思います。良い岩茶には、飲んだ後に戻ってくる独特の風味があると言われていて、その風味は岩茶独得のものとして特に「岩韻(がんいん)」と呼ばれています。今回、春節用に封切った大紅袍の岩韻は、甘い花のような香りにずっしりとした重厚感と深みのある味が合わさったたとてもバランスの良い見事なものでした。茶葉もとても丁寧に仕上げられていて、こういうお茶を手にした時は、何か特別な時に飲もうと思ってしまうものです。「私房茶」と書かれた美しい箱に入っていた大紅袍。「私房茶」の意味は「秘蔵茶」「プライベートティー」というところでしょうか。時々聞くことがあります。覚えておかれるとよいかもしれませんね。
実は、大紅袍にはこの他にもいくつかの伝話があります(皇帝の部分が科挙の試験を受ける若者というお話もありますね)。
中国茶の世界では、良いお茶、美味しいお茶にはいくつもの伝話があるような気がします。大紅袍に沢山の伝話があるということは、中国でそれだけこのお茶が素晴らしいお茶だとされてきたということなのでしょう。
一年に一度のおめでたい春節。もし中国茶がお好きでしたら、いろいろな縁起を考えて器やお茶を用意してみるのは如何でしょうか? 日本のお正月、忙しくて通り過ぎてしまった方も多いですよね。きっともう一度新たな気持ちになれると良い機会だと思います。お勧めです。